【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。

彩華(あやはな)

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「侯爵夫人の涙の使い所は後でお聞きしてください。話を戻しますが、あとの日すべて、わたしは学園に行ってませんわ」

暴言はともかく、こちらは重要だ。
アルス様は醜いほど顔を歪ませる。

「すごい確率ですね。すべて学園に行けていない日を狙ったのですか?お見事としかいえません」

笑うしかないでしょ、これは?

「なぜだ?」
「ミネルバ嘘をつくな!」
「ミネルバ様嘘はおやめください」
「お姉様!私の婚約だってかかってますのよ!」

あほくさ。
ほんとに大丈夫?この人たち。

「ステンディング侯爵様。医者か精神科医がいりますわ」
「どう言うことだね?」

呆れてらっしゃいます。
また、ため息を付いてみましょう。

「この全ての日、わたしはグランバード伯爵家でおりました」
「はっ?」
「お忘れですか?教科破りの日は掃除が出来ていないと、地下に閉じこめら掃除をしておりました。髪飾りを池に捨てた日はお茶会の案内状書きで部屋から一歩も出していただけませんでしたし、テストの全日程は妹よりいい成績をとるなと、屋敷のすべての窓拭きをかしましたよね。
 ドレスを切り裂き日は、孤児院のバザーにだすノルマの刺繍がまだだと、ひたすら部屋で作業をしていましたよ。
 そしてあの日は彼女のほうから呼び出しがありましたけど・・・アルス様、助けに来るタイミングすごく良かったですわ」

まあ、皆様いいお顔。
グランバード伯爵、伯爵夫人、妹は思い出したのでしょう。
私をいじめていた事を。
醜聞つきで。
初めからいたと言えば言わないで置いたのに、忘れてたのでしょう。
真っ青を通り越して真っ白。

アルセナ様は下を向き真っ青。
アルス様は驚いて口をあけて、アルセナ様を見てます。
私がいないことにも気づいてなかったのか。
それで、よくこのようなのが書けたものだ。

返す言葉あります?反論はありますか?
くすっ。
いい気味。

ステンディング侯爵は目を手で覆って首を振ってます。

「ですのでいない者が見えて、いる者が見えないのですもの、医者が必要ですわよね
。幻覚を見るなんて、精神の病気かもしれませんもの精神科医がよろしいのかしら?ストレスが溜まっていたのかしら?」

小首をかしげてみる。
どうしますか・・・?
ステンディング侯爵様も真っ青。
アルス様は口が開きっぱなしだし、アルセナ様はプルプル震えてる。
ふふっ、
私がここまではっきりと申し上げた事はありませんから、皆様驚きですね。

全員の顔をひ、と、り、ず、つ、みてゆきます。

 しばらくの無言。
 重い。重いです。
素晴らしいほどの空気の重さ。
空気の重さが見えるなんて初めて。

しばらくしてステンディング侯爵が口を開きます。

「婚約は破棄しよう・・・。こちらの有責として慰謝料をだす・・・。ミネルバ・・・本当に君か?」

あら、失礼ですね。
でも・・・。
気づいた。
わたしは声を出して笑う。
侯爵の言葉に遅れて気付く者。

「おまえ、まさか・・・」

震えるグランバード伯爵。

遅すぎる反応に笑いが止まらない。
どうしよう。
楽しい、楽しすぎる。


「やっと気づいていただけましたか??」
「なぜだ?何故、お前がいる?ミネルバはどこだ?ミネルバをどこにやった?」
「なんのことかしら?」


もう、騒がないでほしい。
今まで、ちゃんとヒントをあげていたのに。
サナはすぐに気づいてくれたのに。
どれだけ私に興味がないのか?

笑える。
笑っちゃう。

「もう、やめろ。」

澄んだ声が響く。
やっときた。
待っていた。

「遅いんだけど。ブライド」

わたしはやっときた彼に笑顔をみせた。


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