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わたしたち・・・グランバード伯爵と夫人、妹とステンディング侯爵家にむかった。
アルス様のお屋敷です。
煌びやかで大きい。成金趣味ね。
中に入ると応接室にとおされた。
しばらく待つと、ステンディング侯爵様をはじめ、夫人、アルス様、そしてアルセナ様が入ってこられた。
あら、彼女もいるのね。
ふふっ。
「やっと起きたのか?」
「心配はしていただけないのですね」
「何故しなくてはならない。アルセナを虐めた奴を心配するわけないだろう。死ねばよかったんだ」
「アルス!」
ステンディング侯爵夫人が諌めます。
「わたしは虐めたことありませんわ」
「はっ、嘘をつくな。証言は上がってるんだ!お前はアルセナに暴言を吐き、教科書を破り、デートの記念に買った髪飾りを池に捨て、筆記用具を隠してテストを妨害し、わたしが送ったドレスを切り裂き、あまつさえ先日は彼女を階段に呼び出して突き落とそうとした!!」
どうきいても不貞の証言ですが?
ほら、ステンディングは侯爵様も夫人も青筋を立ている。
まあ、彼の話に乗ってみましょう。
「誰がご覧になっての証言ですの」
「アルセナだ」
お粗末な回答。
知らないのかしら?
聞いてみましょう。
「それはいつのことですか?テスト・・・は一ヶ月前のですわね?」
「そう来ると思って書き出していた」
したり顔ですか?
書かれたメモを手にとる。
ほんと困ったちゃんたち、笑えてくる。
頬に手をやりわざとらしくため息を付いてみる。
「残念ですわ・・・アルス様。わたしには到底無理です」
「はぁ?」
「ミネルバ!!何を!!お前が悪いんだから謝れ。土下座して謝らないか!」
グランバード伯爵は冷汗を大量にかきながらヘコヘコしだした。
機嫌を損ね慰謝料を取られたらたまった物じゃないと思ったのだろう。
馬鹿なのかしら。
あちらの有責にしかならないじゃないの。不貞をはたらいたのだから。
ふぅ、と息を吐く。
「初めに暴言ですが、あれは暴言ではありませんわ。廊下は走らない。身分を問わないとはいえ、節度ある言葉遣いをすること。婚約者のいる男性と無闇に触れたり二人きりにならないこと、と申し上げただけですわ」
「アルス様、ミネルバ様が怖いわ。やっぱりいじめるのだわ」
シュンとなる彼女を慰めながら、アルス様は冷たい視線を送ってくる。
「これだけで、それでしたら、貴族社会では到底無理ですわ・・・」
「ひどいっ」
ウルウルと涙を流す姿にストンディング侯爵夫人も手を額にやり頭を振った。
「そうね、ミネルバの意見は真っ当だわ。そんな言葉に改心出来ず、よく泣くようなら侯爵夫人はつとまらないわね・・・」
「母上?」
「あなたも知ってる通り貴族社会は駆け引きよ。表情一つ、行動一つで足の引っ張り合いにもなるわ。ましてや、女性はお茶会があるの。情報を得てこそ夫のためにつながる。すこし言われただけで涙を見せるようでは、貴族の中ではやっていけないわ。ましてや、注意されたことを直せないようではマナーもあったものじゃないわ。恥にしかならない」
「アルス様~」
アルセナ様はボロボロと涙がでました。
無理ですよ。
侯爵夫人に涙をいくら流そうとながされません。
「下手ね。涙の使い所をまるでわかってないわ」
侯爵夫人は冷たく笑います。
そうですわね。
『真珠の涙』と言われたぐらいですもの。
泣き顔で侯爵に惚れられたと噂の御仁ですから。
わたしには無理なので涙先鋒は辞退しますけどね。
アルス様のお屋敷です。
煌びやかで大きい。成金趣味ね。
中に入ると応接室にとおされた。
しばらく待つと、ステンディング侯爵様をはじめ、夫人、アルス様、そしてアルセナ様が入ってこられた。
あら、彼女もいるのね。
ふふっ。
「やっと起きたのか?」
「心配はしていただけないのですね」
「何故しなくてはならない。アルセナを虐めた奴を心配するわけないだろう。死ねばよかったんだ」
「アルス!」
ステンディング侯爵夫人が諌めます。
「わたしは虐めたことありませんわ」
「はっ、嘘をつくな。証言は上がってるんだ!お前はアルセナに暴言を吐き、教科書を破り、デートの記念に買った髪飾りを池に捨て、筆記用具を隠してテストを妨害し、わたしが送ったドレスを切り裂き、あまつさえ先日は彼女を階段に呼び出して突き落とそうとした!!」
どうきいても不貞の証言ですが?
ほら、ステンディングは侯爵様も夫人も青筋を立ている。
まあ、彼の話に乗ってみましょう。
「誰がご覧になっての証言ですの」
「アルセナだ」
お粗末な回答。
知らないのかしら?
聞いてみましょう。
「それはいつのことですか?テスト・・・は一ヶ月前のですわね?」
「そう来ると思って書き出していた」
したり顔ですか?
書かれたメモを手にとる。
ほんと困ったちゃんたち、笑えてくる。
頬に手をやりわざとらしくため息を付いてみる。
「残念ですわ・・・アルス様。わたしには到底無理です」
「はぁ?」
「ミネルバ!!何を!!お前が悪いんだから謝れ。土下座して謝らないか!」
グランバード伯爵は冷汗を大量にかきながらヘコヘコしだした。
機嫌を損ね慰謝料を取られたらたまった物じゃないと思ったのだろう。
馬鹿なのかしら。
あちらの有責にしかならないじゃないの。不貞をはたらいたのだから。
ふぅ、と息を吐く。
「初めに暴言ですが、あれは暴言ではありませんわ。廊下は走らない。身分を問わないとはいえ、節度ある言葉遣いをすること。婚約者のいる男性と無闇に触れたり二人きりにならないこと、と申し上げただけですわ」
「アルス様、ミネルバ様が怖いわ。やっぱりいじめるのだわ」
シュンとなる彼女を慰めながら、アルス様は冷たい視線を送ってくる。
「これだけで、それでしたら、貴族社会では到底無理ですわ・・・」
「ひどいっ」
ウルウルと涙を流す姿にストンディング侯爵夫人も手を額にやり頭を振った。
「そうね、ミネルバの意見は真っ当だわ。そんな言葉に改心出来ず、よく泣くようなら侯爵夫人はつとまらないわね・・・」
「母上?」
「あなたも知ってる通り貴族社会は駆け引きよ。表情一つ、行動一つで足の引っ張り合いにもなるわ。ましてや、女性はお茶会があるの。情報を得てこそ夫のためにつながる。すこし言われただけで涙を見せるようでは、貴族の中ではやっていけないわ。ましてや、注意されたことを直せないようではマナーもあったものじゃないわ。恥にしかならない」
「アルス様~」
アルセナ様はボロボロと涙がでました。
無理ですよ。
侯爵夫人に涙をいくら流そうとながされません。
「下手ね。涙の使い所をまるでわかってないわ」
侯爵夫人は冷たく笑います。
そうですわね。
『真珠の涙』と言われたぐらいですもの。
泣き顔で侯爵に惚れられたと噂の御仁ですから。
わたしには無理なので涙先鋒は辞退しますけどね。
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