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一週間、医者が一度来ただけで、誰も見舞いにこなかった。
わたしが起きた事は嫌でも耳に入っているだろうに。
ミネルバ、哀れね。
医者は見るだけで「もう大丈夫だろう」と言ってくれた。まだ頭が痛いのに。
痛み止めの薬さえもくれなかった。
机にあったお菓子だけごっそり持ち帰って行った。
上辺だけの薮医者ね。
大丈夫なのかしら?
わたしはどうでもいいから適当なのね、きっとー。
まあ、いいわ。
わたしは起きてすぐに手紙を書いて、サナに送ってもらっていた。
隣の国にいる友人に。
小さい頃わたしがお世話になった人に。
ソロソロ向こうに着いたかしら。
返事はまだかしらー。
早く来ないかしら。
楽しみにしてるんだけど。
わたしが起きてから10日目。
ノックも無しに突然開いた扉からグランバード伯爵が入ってきた。
「ミネルバ!起きたと言うのに挨拶は来ないのか!!」
入ってくるなり、グランバード伯爵がどなる。
第一声がそれ?
何故怪我人がわざわざ「起きました」と言いにいかなければならないの?何言ってるのかしら。おかしい人だわ。
普通は相手が見舞いに来るものじゃないのかしら?
期待してないから、別にこなくていいけど。
「申し訳ありません。まだ長く起きてますと頭が痛いのですわ」
首を傾げほぅ、とため息をつく。
「御用はなんですの?まだ頭が重くて・・・」
「医者は大丈夫だと言ってぞ!」
やはりね。
そう聞いてるのね。
じゃあ、大袈裟に言ってあげましょう。
「まあ、彼から報告がありましたの。グランバード伯爵様、彼は解雇した方がよろしいですわよ」
「な、なんだと?」
「わたしはまだ、頭が痛いと言ったのですのに、大丈夫とおっしゃるなんて、薮医者ですわ。痛み止めもいただけませんでしたし。ちゃんとした医者ですの?もし、お金目当てで適当な事を言っているのだとしたら、大変ですわ。そうなるとグランバード伯爵家の恥になりますわ。そう言えば、出されたお菓子は全て・・・一つ残らず持ち帰りますし、他に取られてるものは・・・大丈夫かしら・・・」
「・・・っ」
グランバード伯爵は息を詰まらせ、真っ青な顔になりました。
ふふっ、大変ね。
「まあ、大変。サナ!グランバード伯爵様の顔色が悪いですわ。医者を呼んで見てもらいましょう」
手を打って提案してみると、彼はギリギリ歯を鳴らした。
「くっ、明日、ステンディス侯爵に会いに行く。婚約者解消だろう!役立たずが!!」
そうどなると、振り返ることもなく出ていった。
「お嬢様?」
「ふふっ、あの顔見た?おかしいわね」
わたしは笑った。
わたしが起きた事は嫌でも耳に入っているだろうに。
ミネルバ、哀れね。
医者は見るだけで「もう大丈夫だろう」と言ってくれた。まだ頭が痛いのに。
痛み止めの薬さえもくれなかった。
机にあったお菓子だけごっそり持ち帰って行った。
上辺だけの薮医者ね。
大丈夫なのかしら?
わたしはどうでもいいから適当なのね、きっとー。
まあ、いいわ。
わたしは起きてすぐに手紙を書いて、サナに送ってもらっていた。
隣の国にいる友人に。
小さい頃わたしがお世話になった人に。
ソロソロ向こうに着いたかしら。
返事はまだかしらー。
早く来ないかしら。
楽しみにしてるんだけど。
わたしが起きてから10日目。
ノックも無しに突然開いた扉からグランバード伯爵が入ってきた。
「ミネルバ!起きたと言うのに挨拶は来ないのか!!」
入ってくるなり、グランバード伯爵がどなる。
第一声がそれ?
何故怪我人がわざわざ「起きました」と言いにいかなければならないの?何言ってるのかしら。おかしい人だわ。
普通は相手が見舞いに来るものじゃないのかしら?
期待してないから、別にこなくていいけど。
「申し訳ありません。まだ長く起きてますと頭が痛いのですわ」
首を傾げほぅ、とため息をつく。
「御用はなんですの?まだ頭が重くて・・・」
「医者は大丈夫だと言ってぞ!」
やはりね。
そう聞いてるのね。
じゃあ、大袈裟に言ってあげましょう。
「まあ、彼から報告がありましたの。グランバード伯爵様、彼は解雇した方がよろしいですわよ」
「な、なんだと?」
「わたしはまだ、頭が痛いと言ったのですのに、大丈夫とおっしゃるなんて、薮医者ですわ。痛み止めもいただけませんでしたし。ちゃんとした医者ですの?もし、お金目当てで適当な事を言っているのだとしたら、大変ですわ。そうなるとグランバード伯爵家の恥になりますわ。そう言えば、出されたお菓子は全て・・・一つ残らず持ち帰りますし、他に取られてるものは・・・大丈夫かしら・・・」
「・・・っ」
グランバード伯爵は息を詰まらせ、真っ青な顔になりました。
ふふっ、大変ね。
「まあ、大変。サナ!グランバード伯爵様の顔色が悪いですわ。医者を呼んで見てもらいましょう」
手を打って提案してみると、彼はギリギリ歯を鳴らした。
「くっ、明日、ステンディス侯爵に会いに行く。婚約者解消だろう!役立たずが!!」
そうどなると、振り返ることもなく出ていった。
「お嬢様?」
「ふふっ、あの顔見た?おかしいわね」
わたしは笑った。
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