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62.アーサー視点
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その後は新学期が始まるまでノエルに会えなかった。
「アーサー。なにをやらかした?少しは変わったかと思っていたんだが?もっと相手のことを考えて発言すべきだろう」
父や兄、叔父さんからも苦言が呈される。
そんなに悪いことを言っただろうか・・・。
そんなことを悩んみながら、叔父さんの研究室でまとめ資料を作成していると、ノエルが入ってきた。
「こんにちは」
「いらっしゃい・・・」
「きたか・・・」
久しぶりに聞くノエルの声に嬉しくなる。普通に・・・とノエルを見れば、彼女の印象は変わっていた。
「ノエル・・・」
「どう?」
前髪を切って、片眼鏡が彼女の知性を押し出しているようにみえる。傷が見えそうで見えない。そんなところもいい。
「前髪切ったんだね。スッキリして眼鏡が似合うね」
叔父さんが先に感想を口にする。
出遅れた!?
僕も・・・。
「アーサー様?」
彼女が不安そうな顔で小首をかしけまる。
反則だろう。
可愛すぎる!!
名 ばっと視線を逸らし、手で顔を覆っとしまう。
「いや、その・・・、凄くいいと、思う」
言えたのはそれだけだった。
朝からこんな彼女が誰かの目に晒されていたのだと思うと、無性にイライラする。
かなり重症かもしれない。
「冬休みも終わりましたし、また研究を始めましょうか。先生、続きの資料はどこですか?」
「あぁ、これだ」
「アーサー様もがんばりましょう」
「そうだな・・・」
このままやっていけるだろうか・・・。
ノエルに気持ちを伝えたい。でも・・・こんな僕が告白してもいいのだろうか・・・。
公爵家次男のなんの取り柄のないのに・・・。父や兄のように皇宮で働いて役職持ちでもない。叔父さんのように知名度があるわけでもない。自分の好きなことをしているだけの人間だ。
そんな自分が叔父さんを慕い真摯に研究をして、前に進もうとしている彼女の足枷になるわけにいかない。彼女の行く道の邪魔になるかも・・・。
それに、第一彼女の気持ちはどうなる。
「変人」と言われる自分にそんな感情を抱くわけないだろう。
彼女に失礼だ・・・。
僕はどうしたいのだ?
気持ちを隠す。
研究を必死にした。
屋敷に帰っても、ノエルのことを考えそうになるので、ライールと回った国々で書き留めたメモをまとめてみる。
それでも、ノエルのことを考えた。
ノエルの笑みが頭から離れず幾度もため息が出る。
やはり、僕は・・・ノエルが好きなんだ。
諦めきれない。
じゃぁ、どうすればいい?
僕はそれを考えだした。
「アーサー。なにをやらかした?少しは変わったかと思っていたんだが?もっと相手のことを考えて発言すべきだろう」
父や兄、叔父さんからも苦言が呈される。
そんなに悪いことを言っただろうか・・・。
そんなことを悩んみながら、叔父さんの研究室でまとめ資料を作成していると、ノエルが入ってきた。
「こんにちは」
「いらっしゃい・・・」
「きたか・・・」
久しぶりに聞くノエルの声に嬉しくなる。普通に・・・とノエルを見れば、彼女の印象は変わっていた。
「ノエル・・・」
「どう?」
前髪を切って、片眼鏡が彼女の知性を押し出しているようにみえる。傷が見えそうで見えない。そんなところもいい。
「前髪切ったんだね。スッキリして眼鏡が似合うね」
叔父さんが先に感想を口にする。
出遅れた!?
僕も・・・。
「アーサー様?」
彼女が不安そうな顔で小首をかしけまる。
反則だろう。
可愛すぎる!!
名 ばっと視線を逸らし、手で顔を覆っとしまう。
「いや、その・・・、凄くいいと、思う」
言えたのはそれだけだった。
朝からこんな彼女が誰かの目に晒されていたのだと思うと、無性にイライラする。
かなり重症かもしれない。
「冬休みも終わりましたし、また研究を始めましょうか。先生、続きの資料はどこですか?」
「あぁ、これだ」
「アーサー様もがんばりましょう」
「そうだな・・・」
このままやっていけるだろうか・・・。
ノエルに気持ちを伝えたい。でも・・・こんな僕が告白してもいいのだろうか・・・。
公爵家次男のなんの取り柄のないのに・・・。父や兄のように皇宮で働いて役職持ちでもない。叔父さんのように知名度があるわけでもない。自分の好きなことをしているだけの人間だ。
そんな自分が叔父さんを慕い真摯に研究をして、前に進もうとしている彼女の足枷になるわけにいかない。彼女の行く道の邪魔になるかも・・・。
それに、第一彼女の気持ちはどうなる。
「変人」と言われる自分にそんな感情を抱くわけないだろう。
彼女に失礼だ・・・。
僕はどうしたいのだ?
気持ちを隠す。
研究を必死にした。
屋敷に帰っても、ノエルのことを考えそうになるので、ライールと回った国々で書き留めたメモをまとめてみる。
それでも、ノエルのことを考えた。
ノエルの笑みが頭から離れず幾度もため息が出る。
やはり、僕は・・・ノエルが好きなんだ。
諦めきれない。
じゃぁ、どうすればいい?
僕はそれを考えだした。
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