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48.エマ視点
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まさか。
まさかとは思っていたのー。
初めて会ったノエルは自信のなくて、どこかおどおどしていた。左目のことも原因なのかクラスメイトともまだ一線をおいているように見える。叔父様の研究室にも入り浸っているのも原因なのか、浮いた話さえない。だから、わたしたちの年代によくある「恋愛」の話に興味ないのだと思っていた。
それにアーサーとの最悪だった。
あいつはありえないことに、ノエルの腕を掴んで強引に引っ張ったのだ。
その時のノエルの顔は震え、蒼白な色をしていたのを見て、わたしは力の限りアーサーを殴った。
そんなことがあったから絶対にノエルはアーサーに近づかないと思っていたのに、・・・逆のことが起こっている。
ノエルを迎えに叔父様の研究室に入ると、二人は普通にわたしの理解できない話をしていた。それも向かい合って、対等にしている。
それでもちゃんと距離はとっていた。
ノエルが距離をとるような仕草をすればアーサーが気を利かせて離れてるのが見てとれる。
あのアーサーが、だ。
他人なんて気にもしない、興味も持たず、何かと問題行動を起こす伝説級の無粋ものが、年下のわたしにまで聞こえていたくらい独りよがりなあの男がノエルに気遣いをみせている。
留学中にアーサーに何があったの?って聞きたいぐらいの変貌だ。
それにクラスでおどおどとしているノエルの姿もいない。真っ直ぐにアーサーを見て意見している。
なんなの!?
留学先で一度、ノエルに会ったことは聞いたけど、二人のこの距離感は何?
気心が知れた仲かと思うくらい自然体だった。
アーサーはノエルを見ているし、ノエルもアーサーの姿を追っていることがある。それを互いにはき気づいていないし。
なのに、なんの進展もない。
色恋どころか世間話でさえしない。あるのは真面目な話をしているだけ。
なんだか、見ている方がもどかしい気分にさせられる。
どうなんだろう?
二人の気持ちがわからない。
しかし本当にアーサーは変わった。
わざわざ、ノエルに会いに授業棟にきたのには驚く。
これまでのアーサーにはなかった行動だ。彼は自分よりできない学生を馬鹿にしていたので、授業棟によりつこうともしなかったと叔父様は言っていた。
だからそんなアーサーが、他人に勉強を教えるなんて驚いた。
それをみた教師も、その報告をうけた学園長さえも驚き、わたしに「あいつは、変なものでも食べたのか?」とわたしを呼び出して聞きにきたくらいだ。このことを知った叔父様はお茶をこぼしていた。
そんななかわたしはアーサーよりノエルの表情だけは気になった。
他の学生に囲まれるアーサーを見て、胸を押さえ泣きそうなノエル顔が。
大事なおもちゃを取られたけど、「返して」って言えない、そんな子供みたいな表情だった。
その時、やっぱり「好き」なのかな?って思った。
自分では自覚なったんだー。
「思ってたんだけど、ノエルちゃん・・・。もしかして、アーサーちゃんが好きなの?」と母様が言ったことで、自分の気持ちに驚いてノエルは泣いた。
「好き」だけで泣けちゃうんだ・・・。
正直にいえば、アーサーには勿体無く思える。
母様の胸で泣くノエルが呟く。
「ダメ。私なんかが・・・」
傷のことがやっぱり・・・?
「この傷があるのに・・・・・・」
「傷があるから好きになっちゃいけないって思ってる?」
うんうんと頷く。
「エマ?アーサーちゃんって、こんなこと気にする?」
「しないわね」
アーサーなら、気にしない。わたしたちだってしないんだけど。
それでも、ノエルは信じられないといった顔をしている。
「この際、ロマニズ家に行きましょう!」
「ちょっと!アーサーが風邪引いたって連絡が来たばかりでしょう!」
「なんとかなるわよ!」
母様は笑った。
まさかとは思っていたのー。
初めて会ったノエルは自信のなくて、どこかおどおどしていた。左目のことも原因なのかクラスメイトともまだ一線をおいているように見える。叔父様の研究室にも入り浸っているのも原因なのか、浮いた話さえない。だから、わたしたちの年代によくある「恋愛」の話に興味ないのだと思っていた。
それにアーサーとの最悪だった。
あいつはありえないことに、ノエルの腕を掴んで強引に引っ張ったのだ。
その時のノエルの顔は震え、蒼白な色をしていたのを見て、わたしは力の限りアーサーを殴った。
そんなことがあったから絶対にノエルはアーサーに近づかないと思っていたのに、・・・逆のことが起こっている。
ノエルを迎えに叔父様の研究室に入ると、二人は普通にわたしの理解できない話をしていた。それも向かい合って、対等にしている。
それでもちゃんと距離はとっていた。
ノエルが距離をとるような仕草をすればアーサーが気を利かせて離れてるのが見てとれる。
あのアーサーが、だ。
他人なんて気にもしない、興味も持たず、何かと問題行動を起こす伝説級の無粋ものが、年下のわたしにまで聞こえていたくらい独りよがりなあの男がノエルに気遣いをみせている。
留学中にアーサーに何があったの?って聞きたいぐらいの変貌だ。
それにクラスでおどおどとしているノエルの姿もいない。真っ直ぐにアーサーを見て意見している。
なんなの!?
留学先で一度、ノエルに会ったことは聞いたけど、二人のこの距離感は何?
気心が知れた仲かと思うくらい自然体だった。
アーサーはノエルを見ているし、ノエルもアーサーの姿を追っていることがある。それを互いにはき気づいていないし。
なのに、なんの進展もない。
色恋どころか世間話でさえしない。あるのは真面目な話をしているだけ。
なんだか、見ている方がもどかしい気分にさせられる。
どうなんだろう?
二人の気持ちがわからない。
しかし本当にアーサーは変わった。
わざわざ、ノエルに会いに授業棟にきたのには驚く。
これまでのアーサーにはなかった行動だ。彼は自分よりできない学生を馬鹿にしていたので、授業棟によりつこうともしなかったと叔父様は言っていた。
だからそんなアーサーが、他人に勉強を教えるなんて驚いた。
それをみた教師も、その報告をうけた学園長さえも驚き、わたしに「あいつは、変なものでも食べたのか?」とわたしを呼び出して聞きにきたくらいだ。このことを知った叔父様はお茶をこぼしていた。
そんななかわたしはアーサーよりノエルの表情だけは気になった。
他の学生に囲まれるアーサーを見て、胸を押さえ泣きそうなノエル顔が。
大事なおもちゃを取られたけど、「返して」って言えない、そんな子供みたいな表情だった。
その時、やっぱり「好き」なのかな?って思った。
自分では自覚なったんだー。
「思ってたんだけど、ノエルちゃん・・・。もしかして、アーサーちゃんが好きなの?」と母様が言ったことで、自分の気持ちに驚いてノエルは泣いた。
「好き」だけで泣けちゃうんだ・・・。
正直にいえば、アーサーには勿体無く思える。
母様の胸で泣くノエルが呟く。
「ダメ。私なんかが・・・」
傷のことがやっぱり・・・?
「この傷があるのに・・・・・・」
「傷があるから好きになっちゃいけないって思ってる?」
うんうんと頷く。
「エマ?アーサーちゃんって、こんなこと気にする?」
「しないわね」
アーサーなら、気にしない。わたしたちだってしないんだけど。
それでも、ノエルは信じられないといった顔をしている。
「この際、ロマニズ家に行きましょう!」
「ちょっと!アーサーが風邪引いたって連絡が来たばかりでしょう!」
「なんとかなるわよ!」
母様は笑った。
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