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彼はしゃがみ込んだ。
「そうか、君がノエル・・・」
不気味な声音に誰もが不審がる。
「アーサー?」
エマが名前を呼ぶと、彼はゆらりと立ち上がったかと思うと、おもむろに私の腕を掴んできた。
「論文見せろ!」
「えっ?」
がっちりと捕まれ振り払うことができない。
痛い。
怖い。
彼は有無もいわせず、私を引っ張っていこうとする。
「叔父さんっとこいくぞ!」
怖くて声もでない。力を入れて振り払おうとしてもギッチリと捕まれ抵抗できなかった。そのことがまた恐怖でしかなかった。
腕が痛くて涙が流れる。
「いやっ」
そう口に出た時ー。
「阿呆たれ!」
「馬鹿アーサー!!」
特大の音と共に、腕を掴んでいた手が離れ、彼は床に撃沈していた。
「お前は他国の令嬢に何してるんだ!」
「全然変わってないじゃない!なに学んできたのよ!」
倒れた彼の横にアルバート先生とエマが仁王立ちしている。
二人が鉄拳制裁してくれたようだ。
「ノエル!ごめん!」
エマが謝ってくる。
震えが止まらない私を抱きしめてくれた。
「アーサー?言い訳あるかい?」
「ご・・・ごめん・・・」
「違うよな??」
アルバート先生は怒っていた。
ドスの聞いた声で床に寝転がったままの彼に問いかけつつ、冷たく見下ろしている。
「すみませ、ん。・・・興奮、して、見境を失って・・・ました」
「最低行為だな。このことは、直接兄さんに伝えて置くよ」
「それ、だけは・・・」
「無理だな」
彼はゆっくりと身を起こし出した。
顔の左右が色が変わり腫れ上がり、鼻血をだしている。
「ノエル?ごめん・・・。トルスター国に行ったら・・・君はいないって言われて・・・。でも論文の序章だけ見せてもらたら、君とやってたやつだし・・・書いた相手は帝国に行ったと聞いて・・・どうゆうことか聞いてやろうって・・・思ってたら、ノエルが君だから・・・その・・・我を忘れた・・・というか・・・」
廊下で正座で懺悔してきた。
公開懺悔になっている。
誰もが成り行きを見守っていた。
「本当に、悪かった。怖がらせるつもりも、無理強いするつもりもなかったんだ」
床に頭をこすりつけ、平身低頭する。
「ノエル。僕からも謝る。このアホがやったことはロマニズ家である僕の不徳のいたすところだ。こいつにはしかるべき反省をさせる」
アルバート先生も謝ってくる。
その頃にはやっと震えが止まってきて、状況を把握する。
公爵家の人間が頭を下げるなんて、どうしたらいいの?
「もう、しないと誓って、ください」
「はい、しません。だから論文読ませてくれ」
「反省しろ!」
またアルバート先生の拳骨が入る。
「ノエル、それでいいの?」
「うん・・・。それに視線が・・・」
「あぁぁ・・・」
公爵家の変人たちに謝られる伯爵令嬢は好奇の視線しか向けられない。
正直恥ずかしいものだ。
「変人を土下座させる令嬢降臨・・・?」
ボソリと呟く声がどこからか聞こえてきた。
「そうか、君がノエル・・・」
不気味な声音に誰もが不審がる。
「アーサー?」
エマが名前を呼ぶと、彼はゆらりと立ち上がったかと思うと、おもむろに私の腕を掴んできた。
「論文見せろ!」
「えっ?」
がっちりと捕まれ振り払うことができない。
痛い。
怖い。
彼は有無もいわせず、私を引っ張っていこうとする。
「叔父さんっとこいくぞ!」
怖くて声もでない。力を入れて振り払おうとしてもギッチリと捕まれ抵抗できなかった。そのことがまた恐怖でしかなかった。
腕が痛くて涙が流れる。
「いやっ」
そう口に出た時ー。
「阿呆たれ!」
「馬鹿アーサー!!」
特大の音と共に、腕を掴んでいた手が離れ、彼は床に撃沈していた。
「お前は他国の令嬢に何してるんだ!」
「全然変わってないじゃない!なに学んできたのよ!」
倒れた彼の横にアルバート先生とエマが仁王立ちしている。
二人が鉄拳制裁してくれたようだ。
「ノエル!ごめん!」
エマが謝ってくる。
震えが止まらない私を抱きしめてくれた。
「アーサー?言い訳あるかい?」
「ご・・・ごめん・・・」
「違うよな??」
アルバート先生は怒っていた。
ドスの聞いた声で床に寝転がったままの彼に問いかけつつ、冷たく見下ろしている。
「すみませ、ん。・・・興奮、して、見境を失って・・・ました」
「最低行為だな。このことは、直接兄さんに伝えて置くよ」
「それ、だけは・・・」
「無理だな」
彼はゆっくりと身を起こし出した。
顔の左右が色が変わり腫れ上がり、鼻血をだしている。
「ノエル?ごめん・・・。トルスター国に行ったら・・・君はいないって言われて・・・。でも論文の序章だけ見せてもらたら、君とやってたやつだし・・・書いた相手は帝国に行ったと聞いて・・・どうゆうことか聞いてやろうって・・・思ってたら、ノエルが君だから・・・その・・・我を忘れた・・・というか・・・」
廊下で正座で懺悔してきた。
公開懺悔になっている。
誰もが成り行きを見守っていた。
「本当に、悪かった。怖がらせるつもりも、無理強いするつもりもなかったんだ」
床に頭をこすりつけ、平身低頭する。
「ノエル。僕からも謝る。このアホがやったことはロマニズ家である僕の不徳のいたすところだ。こいつにはしかるべき反省をさせる」
アルバート先生も謝ってくる。
その頃にはやっと震えが止まってきて、状況を把握する。
公爵家の人間が頭を下げるなんて、どうしたらいいの?
「もう、しないと誓って、ください」
「はい、しません。だから論文読ませてくれ」
「反省しろ!」
またアルバート先生の拳骨が入る。
「ノエル、それでいいの?」
「うん・・・。それに視線が・・・」
「あぁぁ・・・」
公爵家の変人たちに謝られる伯爵令嬢は好奇の視線しか向けられない。
正直恥ずかしいものだ。
「変人を土下座させる令嬢降臨・・・?」
ボソリと呟く声がどこからか聞こえてきた。
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