28 / 76
28.エマ視点
しおりを挟む
綺麗な銀色の髪ー。
留学生の案内役に選ばれ、学園長室に入ってすぐに目に飛び込んできたのが、それだった。そして、澄んだ水色の目が雪解けの氷のような色。冬の終わりから春になる瞬間を絵に起こせば絶対彼女をモデルに描くだろう。
でも、彼女がもったいなく思えたのは片方の目を髪で隠していたこと。
だから、なんで隠しているのか聞いてしまう。
彼女の表情が固まる。
また、やっちゃった・・・。
気になったことはすぐに口に出してしまう、自分が嫌になる、治そうと思っているのに・・・。
それでも、彼女は見せてくれた。眉から頬に向かって伸びる青黒い傷。
一瞬、真っ白な肌にあるなんて・・・・・・、かっこいい!!
本当にこんな傷がある女の子がいるの!!小説の中だけかと思っていた。
興奮するわたしをよそに、彼女は泣いた。
なんで!あぁっ、もう、わたしの馬鹿、馬鹿!なんで人のことを考えずに口にしちゃうのよ!
どうしよう!そう思っていたわたしに彼女は嬉しいからと言った。
そうか・・・。彼女の国ではそんなことを言ってくれる人はいなかったんだ・・・。
帝国は多様性を認めている。レフリサ商会という店が出している『髪染め』が巷で流行っていて、大人たちは髪を染めて楽しんでいると聞く。クラスの子も休みの日はその日の気分に合わせて1日染めをしているらしい。
わたしは傷なんて・・・気にならないけど・・・。この子は違うんだ・・・。
そんなことを考えたりもした。
泣き止んだ彼女と共に案内する。
固い彼女を和ませようと会話した。
すると、彼女・・・ノエルはわたしの髪を褒めてくれた。
みんなみたいな黒髪がいいな・・・って思っていたわたしのダークブラウンのふわふわで扱いづらい髪をー。
恥ずかしかった。肉親以外に面と向かって褒められるのってこんなに恥ずかしいのだと体感する。
そりゃぁ、ノエルも泣きたくなるわよね・・・。
一気にノエルが好きになった。
ロマニズ公爵に連なるものは変わり者が多いと有名だ。わたしも自分で他の人とは何かが違うと思っていた。
どこか他の人とはずれている?
価値観が違う?
本当に何が違うのか表現にできないが、友人たちとわたしのあいだに線が引かれているような感覚があるのだ。
同じ世界なのに、見え方が違っているよう。
それに対して虐めや仲間はずれはない。みんなと仲良しだ。
でも、どこかよそよそしく思うし、わたし自身が馴染みにくいと感じる。
だけど、ノエルとはパズルのピースがはまったような感覚がした。
そんな子に出会えるなんて、と喜ぶ。
そんな彼女は叔父様ともよく似ていて、ますますびっくり。
これは、やばいのでは?と思ってしまう。
わたしが見てあげないと、この研究室から出てこなくてなるかも。わたしが目を光らせないと。
叔父様の部屋を出る寸前、二人は楽しそうに会話をし出した。
何を言っているのか、専門すぎてわからない。
綺麗なのに変な子。わたしと同じくらい。わたし以上?
楽しくなりそうで、ついついスキップしながら教室に帰った。
留学生の案内役に選ばれ、学園長室に入ってすぐに目に飛び込んできたのが、それだった。そして、澄んだ水色の目が雪解けの氷のような色。冬の終わりから春になる瞬間を絵に起こせば絶対彼女をモデルに描くだろう。
でも、彼女がもったいなく思えたのは片方の目を髪で隠していたこと。
だから、なんで隠しているのか聞いてしまう。
彼女の表情が固まる。
また、やっちゃった・・・。
気になったことはすぐに口に出してしまう、自分が嫌になる、治そうと思っているのに・・・。
それでも、彼女は見せてくれた。眉から頬に向かって伸びる青黒い傷。
一瞬、真っ白な肌にあるなんて・・・・・・、かっこいい!!
本当にこんな傷がある女の子がいるの!!小説の中だけかと思っていた。
興奮するわたしをよそに、彼女は泣いた。
なんで!あぁっ、もう、わたしの馬鹿、馬鹿!なんで人のことを考えずに口にしちゃうのよ!
どうしよう!そう思っていたわたしに彼女は嬉しいからと言った。
そうか・・・。彼女の国ではそんなことを言ってくれる人はいなかったんだ・・・。
帝国は多様性を認めている。レフリサ商会という店が出している『髪染め』が巷で流行っていて、大人たちは髪を染めて楽しんでいると聞く。クラスの子も休みの日はその日の気分に合わせて1日染めをしているらしい。
わたしは傷なんて・・・気にならないけど・・・。この子は違うんだ・・・。
そんなことを考えたりもした。
泣き止んだ彼女と共に案内する。
固い彼女を和ませようと会話した。
すると、彼女・・・ノエルはわたしの髪を褒めてくれた。
みんなみたいな黒髪がいいな・・・って思っていたわたしのダークブラウンのふわふわで扱いづらい髪をー。
恥ずかしかった。肉親以外に面と向かって褒められるのってこんなに恥ずかしいのだと体感する。
そりゃぁ、ノエルも泣きたくなるわよね・・・。
一気にノエルが好きになった。
ロマニズ公爵に連なるものは変わり者が多いと有名だ。わたしも自分で他の人とは何かが違うと思っていた。
どこか他の人とはずれている?
価値観が違う?
本当に何が違うのか表現にできないが、友人たちとわたしのあいだに線が引かれているような感覚があるのだ。
同じ世界なのに、見え方が違っているよう。
それに対して虐めや仲間はずれはない。みんなと仲良しだ。
でも、どこかよそよそしく思うし、わたし自身が馴染みにくいと感じる。
だけど、ノエルとはパズルのピースがはまったような感覚がした。
そんな子に出会えるなんて、と喜ぶ。
そんな彼女は叔父様ともよく似ていて、ますますびっくり。
これは、やばいのでは?と思ってしまう。
わたしが見てあげないと、この研究室から出てこなくてなるかも。わたしが目を光らせないと。
叔父様の部屋を出る寸前、二人は楽しそうに会話をし出した。
何を言っているのか、専門すぎてわからない。
綺麗なのに変な子。わたしと同じくらい。わたし以上?
楽しくなりそうで、ついついスキップしながら教室に帰った。
624
お気に入りに追加
1,163
あなたにおすすめの小説
さよなら 大好きな人
小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。
政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。
彼にふさわしい女性になるために努力するほど。
しかし、アーリアのそんな気持ちは、
ある日、第2王子によって踏み躙られることになる……
※本編は悲恋です。
※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。
※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。
私は何も知らなかった
まるまる⭐️
恋愛
「ディアーナ、お前との婚約を解消する。恨むんならお前の存在を最後まで認めなかったお前の祖父シナールを恨むんだな」 母を失ったばかりの私は、突然王太子殿下から婚約の解消を告げられた。
失意の中屋敷に戻ると其処には、見知らぬ女性と父によく似た男の子…。「今日からお前の母親となるバーバラと弟のエクメットだ」父は女性の肩を抱きながら、嬉しそうに2人を紹介した。え?まだお母様が亡くなったばかりなのに?お父様とお母様は深く愛し合っていたんじゃ無かったの?だからこそお母様は家族も地位も全てを捨ててお父様と駆け落ちまでしたのに…。
弟の存在から、父が母の存命中から不貞を働いていたのは明らかだ。
生まれて初めて父に反抗し、屋敷を追い出された私は街を彷徨い、そこで見知らぬ男達に攫われる。部屋に閉じ込められ絶望した私の前に現れたのは、私に婚約解消を告げたはずの王太子殿下だった…。
私と結婚したくないと言った貴方のために頑張りました! ~帝国一の頭脳を誇る姫君でも男心はわからない~
すだもみぢ
恋愛
リャルド王国の王女であるステラは、絶世の美女の姉妹に挟まれた中では残念な容姿の王女様と有名だった。
幼い頃に婚約した公爵家の息子であるスピネルにも「自分と婚約になったのは、その容姿だと貰い手がいないからだ」と初対面で言われてしまう。
「私なんかと結婚したくないのに、しなくちゃいけないなんて、この人は可哀想すぎる……!」
そう自分の婚約者を哀れんで、彼のためになんとかして婚約解消してあげようと決意をする。
苦労の末にその要件を整え、満を持して彼に婚約解消を申し込んだというのに、……なぜか婚約者は不満そうで……?
勘違いとすれ違いの恋模様のお話です。
ざまぁものではありません。
婚約破棄タグ入れてましたが、間違いです!!
申し訳ありません<(_ _)>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる