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28.エマ視点

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 綺麗な銀色の髪ー。

 留学生の案内役に選ばれ、学園長室に入ってすぐに目に飛び込んできたのが、それだった。そして、澄んだ水色の目が雪解けの氷のような色。冬の終わりから春になる瞬間を絵に起こせば絶対彼女をモデルに描くだろう。

 でも、彼女がもったいなく思えたのは片方の目を髪で隠していたこと。
 だから、なんで隠しているのか聞いてしまう。
 彼女の表情が固まる。
 また、やっちゃった・・・。
 気になったことはすぐに口に出してしまう、自分が嫌になる、治そうと思っているのに・・・。

 それでも、彼女は見せてくれた。眉から頬に向かって伸びる青黒い傷。
 一瞬、真っ白な肌にあるなんて・・・・・・、かっこいい!!

 本当にこんな傷がある女の子がいるの!!小説の中だけかと思っていた。
 興奮するわたしをよそに、彼女は泣いた。

 なんで!あぁっ、もう、わたしの馬鹿、馬鹿!なんで人のことを考えずに口にしちゃうのよ!

 どうしよう!そう思っていたわたしに彼女は嬉しいからと言った。

 そうか・・・。彼女の国ではそんなことを言ってくれる人はいなかったんだ・・・。

 帝国ここは多様性を認めている。レフリサ商会という店が出している『髪染め』が巷で流行っていて、大人たちは髪を染めて楽しんでいると聞く。クラスの子も休みの日はその日の気分に合わせて1日染めをしているらしい。

 わたしは傷なんて・・・気にならないけど・・・。この子は違うんだ・・・。

 そんなことを考えたりもした。

 泣き止んだ彼女と共に案内する。
 固い彼女を和ませようと会話した。
 すると、彼女・・・ノエルはわたしの髪を褒めてくれた。
 みんなみたいな黒髪がいいな・・・って思っていたわたしのダークブラウンのふわふわで扱いづらい髪をー。

 恥ずかしかった。肉親以外に面と向かって褒められるのってこんなに恥ずかしいのだと体感する。
 そりゃぁ、ノエルも泣きたくなるわよね・・・。

 一気にノエルが好きになった。

 ロマニズ公爵に連なるものは変わり者が多いと有名だ。わたしも自分で他の人とは何かが違うと思っていた。
 どこか他の人とはずれている?
 価値観が違う?
 本当に何が違うのか表現にできないが、友人たちとわたしのあいだに線が引かれているような感覚があるのだ。
 同じ世界なのに、見え方が違っているよう。
 それに対して虐めや仲間はずれはない。みんなと仲良しだ。
 でも、どこかよそよそしく思うし、わたし自身が馴染みにくいと感じる。

 だけど、ノエルとはパズルのピースがはまったような感覚がした。

 そんな子に出会えるなんて、と喜ぶ。
 
 そんな彼女は叔父様ともよく似ていて、ますますびっくり。

 これは、やばいのでは?と思ってしまう。
 わたしが見てあげないと、この研究室から出てこなくてなるかも。わたしが目を光らせないと。

 叔父様の部屋を出る寸前、二人は楽しそうに会話をし出した。
 何を言っているのか、専門すぎてわからない。

 綺麗なのに変な子。わたしと同じくらい。わたし以上?

 楽しくなりそうで、ついついスキップしながら教室に帰った。
 

 
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