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36.ミシェル視点
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まさかの言葉に唖然としてしまう。
「失礼ながらロディク殿下。騙されてはいけません。恥ずかしながらこの女は、元わたしの婚約者です。ある事情で婚約を破棄いたしましたが、事もあろうにこの女はこの国までわたしを追いかけてきた上、わたしの大事な女性をいじめたのです。そのような悪女に魅入られては殿下の信用を落としてしまいます」
「そうですわ。そんな女は放って置かれた方がよろしいですわ」
ファルスと同調するようにレイチェルも言ってくる。
だが、ロディク殿下は不気味な笑いを浮かべながら私の背後から抱きしめてきた。
「私の婚約者を愚弄するのか?」
「「へっ?」」
見事なほどに目の前にいる二人の声が重なる。
「お前らのような礼儀もわきまえない者が、私の愛しい婚約者を愚弄するな」
「殿下?」
「私はこちらにきてからずっと、ミシェルの側でいる。お前は私に挨拶にも来ていない。そんな奴が私に声をかけるな。わたしの大事なミシェルを見るな」
低い声に二人は身をこわばらしている。
ーそれよりいつまでくっついているのかしら?
私は、ロディク殿下の手の甲を摘んで、無理やり外した。
「・・・ミ、ミシェル?」
頭の処理が追いついていないのか、殿下の威圧で機能が止まっているのかファルスは私の名前を不思議そうに口にするだけ。
私は紹介してあげることにした。
「初めて紹介させてもらいますわ。わたしはミシェル・フロンチェスター。フロンチェスター公爵の娘ですわ。それとあなた方が言っているセイラは、私の母方の従姉妹にあたります。彼女はフロンチェスター公爵家の庇護をうけてますの」
「えっ?」
「確かによく似ていると言われますけど、性格は全く違いますわよ。知っている人ならまず間違えることはありませんのに、変な言いがかりをつけてきて、本当に困りましたわ」
動揺している二人。
周囲は面白がって見ているのがわかる。
「してもいないのに、私に文句を言って来ましたものね」
まだ理解していないのか、首を振るレイチェル。
「嘘よ!したじゃない。あっ、カルロォ。あなたも何か言って。あたしの味方でしょ!」
私の背後・・・黙って私を見ているシェリナ様たちの後ろにいたカルロを見つけ、媚びるように声をかける。
私が振り返り見ると、カルロは口を真一文字に結び目を逸らした。
「もう、無理よ。あなたの薬は効かないわ」
私はレイチェルを再び見る。
彼女は怯えたような表情になった。
「気づいてない?最近あなたの取り巻きが消えたのを?」
「やっぱりあなたの所為なのね!!みんなをどうしたのよ?あっ、まさか、薬・・・」
レイチェルは気づいたようだった。
怒りで震えて、下唇を噛み、人が変わったような形相で睨んでくる。
「あんたの・・・あんたの所為で・・・」
レイチェルは私にばっと飛びかかってきた。
ロディク殿下より早く、私は動いていた。
レイチェルの腕を掴み勢いをつけて投げる。
センスのないドレスが宙を舞い、床へ広がる。
痛みで反応できないでいると、どこからか現れた衛兵が彼女を取り押さえた。
「ミシェル!!危ないことはしないでって言ってるでしょっ!!」
背後からセイラがあらわれ、私に抱きついてきた。その後ろにはセルジオ兄様、オルセイド兄様とお兄様、シャルル様もいる。
「ミシェル、そこまでするとは思わなかったが」
「セルジオ・・・王太子殿下が遅いのですわ」
セルジオ兄様に文句を言いながら私は、セイラを抱きしめ返した。
「失礼ながらロディク殿下。騙されてはいけません。恥ずかしながらこの女は、元わたしの婚約者です。ある事情で婚約を破棄いたしましたが、事もあろうにこの女はこの国までわたしを追いかけてきた上、わたしの大事な女性をいじめたのです。そのような悪女に魅入られては殿下の信用を落としてしまいます」
「そうですわ。そんな女は放って置かれた方がよろしいですわ」
ファルスと同調するようにレイチェルも言ってくる。
だが、ロディク殿下は不気味な笑いを浮かべながら私の背後から抱きしめてきた。
「私の婚約者を愚弄するのか?」
「「へっ?」」
見事なほどに目の前にいる二人の声が重なる。
「お前らのような礼儀もわきまえない者が、私の愛しい婚約者を愚弄するな」
「殿下?」
「私はこちらにきてからずっと、ミシェルの側でいる。お前は私に挨拶にも来ていない。そんな奴が私に声をかけるな。わたしの大事なミシェルを見るな」
低い声に二人は身をこわばらしている。
ーそれよりいつまでくっついているのかしら?
私は、ロディク殿下の手の甲を摘んで、無理やり外した。
「・・・ミ、ミシェル?」
頭の処理が追いついていないのか、殿下の威圧で機能が止まっているのかファルスは私の名前を不思議そうに口にするだけ。
私は紹介してあげることにした。
「初めて紹介させてもらいますわ。わたしはミシェル・フロンチェスター。フロンチェスター公爵の娘ですわ。それとあなた方が言っているセイラは、私の母方の従姉妹にあたります。彼女はフロンチェスター公爵家の庇護をうけてますの」
「えっ?」
「確かによく似ていると言われますけど、性格は全く違いますわよ。知っている人ならまず間違えることはありませんのに、変な言いがかりをつけてきて、本当に困りましたわ」
動揺している二人。
周囲は面白がって見ているのがわかる。
「してもいないのに、私に文句を言って来ましたものね」
まだ理解していないのか、首を振るレイチェル。
「嘘よ!したじゃない。あっ、カルロォ。あなたも何か言って。あたしの味方でしょ!」
私の背後・・・黙って私を見ているシェリナ様たちの後ろにいたカルロを見つけ、媚びるように声をかける。
私が振り返り見ると、カルロは口を真一文字に結び目を逸らした。
「もう、無理よ。あなたの薬は効かないわ」
私はレイチェルを再び見る。
彼女は怯えたような表情になった。
「気づいてない?最近あなたの取り巻きが消えたのを?」
「やっぱりあなたの所為なのね!!みんなをどうしたのよ?あっ、まさか、薬・・・」
レイチェルは気づいたようだった。
怒りで震えて、下唇を噛み、人が変わったような形相で睨んでくる。
「あんたの・・・あんたの所為で・・・」
レイチェルは私にばっと飛びかかってきた。
ロディク殿下より早く、私は動いていた。
レイチェルの腕を掴み勢いをつけて投げる。
センスのないドレスが宙を舞い、床へ広がる。
痛みで反応できないでいると、どこからか現れた衛兵が彼女を取り押さえた。
「ミシェル!!危ないことはしないでって言ってるでしょっ!!」
背後からセイラがあらわれ、私に抱きついてきた。その後ろにはセルジオ兄様、オルセイド兄様とお兄様、シャルル様もいる。
「ミシェル、そこまでするとは思わなかったが」
「セルジオ・・・王太子殿下が遅いのですわ」
セルジオ兄様に文句を言いながら私は、セイラを抱きしめ返した。
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