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5章、最終章
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シェリルとグレンディールとの別れも、出会いとよく似たものになった。
二人の別れ淡白なものだった。
「さよなら」と言うだけで、気の利いた別れの言葉もない。
グレンディールは部屋から出てこず、見送りもしようとしなかった。
変わりに、周りの方が盛大に別れを惜しんだ。
エルバス、ミルルも他の冒険者たちもわざわざ見送りに来て、大泣きをした。
「リル~。またきて来れよな。みんな待ってるからな~」
おいおいと泣く男連中をミルルがどこからか持ってきたトイレのスリッパでスパコーンと殴っていた。
「あんたたちが泣いてたら、リルさんの負担になるでしょうが!!」
自分も大泣きしているのを棚に上げている。
騎士隊たちは、歯を食いしばっていた。
泣くのを必死で堪えているかのように・・・。
「皆さん、本当にお世話になりました」
シェリルは頭を下げる。
『皆さんの事、忘れません』
それが、言えるならどんなに幸せなのか・・・。
シェリルには言えなかった。
あった出来事も、人の顔も名前さえも忘れてしまうシェリルにとって、これからの事を考えれば言えば嘘になってしまうのだ。
今までの事が軽いものになってしまう。
「わ、忘れたくない・・・」
嗚咽が漏れる。
必死にこらえようとする。
でも、それは無理だった。
笑顔を作ろうとしてもできない。
「あ・・・あり、ありがとう、ござい、ました」
最後に皆の目を見て、シェリルたちは飛竜に乗った。
「シェリル様!!」
タルクが手を伸ばす。
手を出ることはできない。
「シェリル様、無理はしないでくださいよ」
ハイセン医師が叫ぶ。
シェリルは振り向かなかった。
ひたすら、唇を一文字に結び歯を食いしばる。
彼らを見れば、大きな声で泣いてしまいそうだったから・・・。
空を飛ぶ。
アルドたち、1番騎士隊を警護にして王都に向かう。
下に見える大事な人たちが少しずつ小さくなっていく。
「シェリル。泣いていいですよ」
「アシュリー・・・、アリスゥ・・・」
シェリルは泣いた。
全身全霊で泣いた。
泣き疲れてアシュリーに抱えられるまで泣いた。
そうするしかできなかった。
北の辺境地アルザイドにきて、8ヶ月足らずの事だった。
◇◇◇◇◇
その数ヶ月後、シェリルはトライエル国との国境にいた。
姉聖女たちーー出産を控えたティティ以外が揃っていた。
一様に暗い顔をしていた。
「戦争がはじまるのね・・・」
ウララ聖女が呟く。
「ティティの先見も千里眼もないわ。これから起こる事は分からない・・・。でも、いい?
生きるために戦うのよ。死んではダメよ」
一様に頷いた。
二人の別れ淡白なものだった。
「さよなら」と言うだけで、気の利いた別れの言葉もない。
グレンディールは部屋から出てこず、見送りもしようとしなかった。
変わりに、周りの方が盛大に別れを惜しんだ。
エルバス、ミルルも他の冒険者たちもわざわざ見送りに来て、大泣きをした。
「リル~。またきて来れよな。みんな待ってるからな~」
おいおいと泣く男連中をミルルがどこからか持ってきたトイレのスリッパでスパコーンと殴っていた。
「あんたたちが泣いてたら、リルさんの負担になるでしょうが!!」
自分も大泣きしているのを棚に上げている。
騎士隊たちは、歯を食いしばっていた。
泣くのを必死で堪えているかのように・・・。
「皆さん、本当にお世話になりました」
シェリルは頭を下げる。
『皆さんの事、忘れません』
それが、言えるならどんなに幸せなのか・・・。
シェリルには言えなかった。
あった出来事も、人の顔も名前さえも忘れてしまうシェリルにとって、これからの事を考えれば言えば嘘になってしまうのだ。
今までの事が軽いものになってしまう。
「わ、忘れたくない・・・」
嗚咽が漏れる。
必死にこらえようとする。
でも、それは無理だった。
笑顔を作ろうとしてもできない。
「あ・・・あり、ありがとう、ござい、ました」
最後に皆の目を見て、シェリルたちは飛竜に乗った。
「シェリル様!!」
タルクが手を伸ばす。
手を出ることはできない。
「シェリル様、無理はしないでくださいよ」
ハイセン医師が叫ぶ。
シェリルは振り向かなかった。
ひたすら、唇を一文字に結び歯を食いしばる。
彼らを見れば、大きな声で泣いてしまいそうだったから・・・。
空を飛ぶ。
アルドたち、1番騎士隊を警護にして王都に向かう。
下に見える大事な人たちが少しずつ小さくなっていく。
「シェリル。泣いていいですよ」
「アシュリー・・・、アリスゥ・・・」
シェリルは泣いた。
全身全霊で泣いた。
泣き疲れてアシュリーに抱えられるまで泣いた。
そうするしかできなかった。
北の辺境地アルザイドにきて、8ヶ月足らずの事だった。
◇◇◇◇◇
その数ヶ月後、シェリルはトライエル国との国境にいた。
姉聖女たちーー出産を控えたティティ以外が揃っていた。
一様に暗い顔をしていた。
「戦争がはじまるのね・・・」
ウララ聖女が呟く。
「ティティの先見も千里眼もないわ。これから起こる事は分からない・・・。でも、いい?
生きるために戦うのよ。死んではダメよ」
一様に頷いた。
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