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四章、辺境会議
14.グレン視点
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「わざわざ聞いてないくるなんて」
クスクス
聖女たちは可笑しそうに笑った。
そんなに笑うことなのか?
「まあ、いいわ。わたしは『時間』よ。肉体的老化と言っていいわ」
ウララが年上に見えた理由はこれだった。
見た目が30代なのに、聖女の役目を1年あると言ったときの不自然差はこれだったのか。不自然に年齢がいっているようにみえるのだ。
「わたしは『髪』よ。おかげで伸ばしても伸ばしても長くならないの~」
エステルは髪を触った。よく見れば肩にかかる髪は長さがまちまちで違っていた。
「あたしは視力。右目はだいぶ見えなくてなりかけてる」
ティティ。右目はの瞳孔が白濁しかけている。
「わたくしは聴力なの」
見た目ではわからないフィアルが最後に呟いた。
「「「「・・・・・・・・・」」」」
横に座る奴らの方が言葉を失っている。
なぜだ?
知らなかったのか?
気にしなかったのか?
「「「「で、シェリルのこともう少し語りましょうか?」」」」
まだ蒸し返すつもりか?
目つきが半端ない。
まだまだいい足りないと言うのか?
もう、こうなれば奥の手を出すしかない・・・。
上着のポケットから紙切れを出し、聖女の前に差し出した。
彼女たちはそれに書かれている名前を確認して手に取ると中をみる。
顔が歓喜の色に染まる。
ここまで?
予想以上の反応だ。
「「「「こ、これは?!!!」」」」
「シェリルの、企みかしら?」
ウララ聖女が紙を胸に抱くようにしながら聞いてくる。
「自分で調べた」
そう、調べた。嘘ではない。
あの可愛い悪魔の囁きは丁重に断り。
丁重に。
ウルウルに絆されなかった。
あれに手をつければ俺は死んだもの同然と確信した。一生この聖女たちに頭を下げ、足を向けて寝る事もできなくなるだろう。
なので、以前の話をもとに予測をつけた。
『魔神たちは、奴らに惚れている!』と。
ならば、やることは一つ。
聖女の弱みを握るより、弱みに漬け込めばいいのではないか、と。
やつらの学生時代のネタを思い出し紙に書いて置くことにしたのだ。
何かあった時のために持っていて正解だった。
壊れた顔の聖女たち。
「ふふっ、考えたわね」
「仕方ないわね。揶揄うのはこれくらいにしましょうか・・・」
「そうだな」
「他に情報が欲しいようなら~・・・」
「交換、でだな」
「そうね」
「では、商談成立だな」
「えぇ、また連絡するわね」
「こちらもそれなりに用意しておく」
フフフフッ
ハハハハッ
妖しい笑いが部屋に響く。
助かった。
「じゃあ、わたしたちは退散するわ。あとはゆっくり男たちで語らえばいいわ。シェリルの事守りなさいよ」
「それしか能はないんだからね~」
一言多い。
聖女たち慈愛に満ちたは笑顔でレニー司祭と共に去って行ったのだった。
終わった。
魔神たちの会議は終わりを告げた。
ある意味力が脱力もの。
机に頭をつけて力を抜いたのだった。
「「「「お前、俺らを殺す気か!」」」」
アイザック、ガイアス、ヘンドリック、ケインの言葉が重なる。
殺す気はない。殺されないよう頑張っただけだ。
俺の気持ちを無視して、奴らはくどくどと文句を垂れてきた。
なので、反撃。
「チョクセツ、イッテミロ」
「「「「無理だっ!」」」」
返答早すぎるだろ。
お前ら大丈夫か?
なにか弱みでも握られているのか?
椅子と机を端に寄せ、用意されていた酒と料理を地べたに並べて食べ始めた。
俺は酒を飲みながら、奴らの愚痴をきいた。
惚気半分、愚痴半分。
ちなみに俺が聞き役だったのは、当然のこと。逆に笑われて終わった。
結婚の恐怖。
怖いとしかいいようはなかった・・・。
・・・一応、俺も結婚していた。
クスクス
聖女たちは可笑しそうに笑った。
そんなに笑うことなのか?
「まあ、いいわ。わたしは『時間』よ。肉体的老化と言っていいわ」
ウララが年上に見えた理由はこれだった。
見た目が30代なのに、聖女の役目を1年あると言ったときの不自然差はこれだったのか。不自然に年齢がいっているようにみえるのだ。
「わたしは『髪』よ。おかげで伸ばしても伸ばしても長くならないの~」
エステルは髪を触った。よく見れば肩にかかる髪は長さがまちまちで違っていた。
「あたしは視力。右目はだいぶ見えなくてなりかけてる」
ティティ。右目はの瞳孔が白濁しかけている。
「わたくしは聴力なの」
見た目ではわからないフィアルが最後に呟いた。
「「「「・・・・・・・・・」」」」
横に座る奴らの方が言葉を失っている。
なぜだ?
知らなかったのか?
気にしなかったのか?
「「「「で、シェリルのこともう少し語りましょうか?」」」」
まだ蒸し返すつもりか?
目つきが半端ない。
まだまだいい足りないと言うのか?
もう、こうなれば奥の手を出すしかない・・・。
上着のポケットから紙切れを出し、聖女の前に差し出した。
彼女たちはそれに書かれている名前を確認して手に取ると中をみる。
顔が歓喜の色に染まる。
ここまで?
予想以上の反応だ。
「「「「こ、これは?!!!」」」」
「シェリルの、企みかしら?」
ウララ聖女が紙を胸に抱くようにしながら聞いてくる。
「自分で調べた」
そう、調べた。嘘ではない。
あの可愛い悪魔の囁きは丁重に断り。
丁重に。
ウルウルに絆されなかった。
あれに手をつければ俺は死んだもの同然と確信した。一生この聖女たちに頭を下げ、足を向けて寝る事もできなくなるだろう。
なので、以前の話をもとに予測をつけた。
『魔神たちは、奴らに惚れている!』と。
ならば、やることは一つ。
聖女の弱みを握るより、弱みに漬け込めばいいのではないか、と。
やつらの学生時代のネタを思い出し紙に書いて置くことにしたのだ。
何かあった時のために持っていて正解だった。
壊れた顔の聖女たち。
「ふふっ、考えたわね」
「仕方ないわね。揶揄うのはこれくらいにしましょうか・・・」
「そうだな」
「他に情報が欲しいようなら~・・・」
「交換、でだな」
「そうね」
「では、商談成立だな」
「えぇ、また連絡するわね」
「こちらもそれなりに用意しておく」
フフフフッ
ハハハハッ
妖しい笑いが部屋に響く。
助かった。
「じゃあ、わたしたちは退散するわ。あとはゆっくり男たちで語らえばいいわ。シェリルの事守りなさいよ」
「それしか能はないんだからね~」
一言多い。
聖女たち慈愛に満ちたは笑顔でレニー司祭と共に去って行ったのだった。
終わった。
魔神たちの会議は終わりを告げた。
ある意味力が脱力もの。
机に頭をつけて力を抜いたのだった。
「「「「お前、俺らを殺す気か!」」」」
アイザック、ガイアス、ヘンドリック、ケインの言葉が重なる。
殺す気はない。殺されないよう頑張っただけだ。
俺の気持ちを無視して、奴らはくどくどと文句を垂れてきた。
なので、反撃。
「チョクセツ、イッテミロ」
「「「「無理だっ!」」」」
返答早すぎるだろ。
お前ら大丈夫か?
なにか弱みでも握られているのか?
椅子と机を端に寄せ、用意されていた酒と料理を地べたに並べて食べ始めた。
俺は酒を飲みながら、奴らの愚痴をきいた。
惚気半分、愚痴半分。
ちなみに俺が聞き役だったのは、当然のこと。逆に笑われて終わった。
結婚の恐怖。
怖いとしかいいようはなかった・・・。
・・・一応、俺も結婚していた。
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