102 / 150
四章、辺境会議
11.グレン視点
しおりを挟む
「どうぞ好きな席にお座りになって」
一番年嵩のある女性が席をすすめてきた。
空いている席は一つしかない。
レニーの真正面。
女性陣の向かいに座るのは男たち。
昨日までずっと会議に出ていた、よく知る顔。友人でもあるはずの辺境伯らだ。
彼ちは頭一つ動かさず、彫像のようにいた。
どうした、お前ら・・・。
汗かいていないか?目が泳いでる?
どこを見ている?
恐る恐る椅子に腰掛ける。
「では、始めましょうか。グレンディール、卿」
怖い。赤い唇の端が恐ろしいほどに釣り上がっていり。
朱色の目が笑ってない。
「そうですわね、自己紹介でもしましょうか?
はじめてお逢いしますもの、ね!わたしはウララです。癒しの力を持っています」
司祭レニーの右横に座る年嵩の女性が言う。
金の髪に朱色に近い瞳。吊り目が勝ち気さを倍増している。
「わたしはエステルですわ。結界が得意なの」
レニーの左横の女性。肩までの茶色の髪に紫に近い赤い瞳。おっとりした印象だがその目は芯が通っているように思える。
「あたしはティティ。先見、千里眼。ピンク小鳥の生みの親だよ。」
ウララの横。黒髪に血のような赤い瞳。
見た目とは違う男勝りのよう。
「わたくしは、フィアルです~。浄化能力で~す」
エステルの横のこの中で一番若い。茶金色の髪にピンクに近い赤い瞳。のんびりした印象が強い。
美女揃いだが、どこか迫力のある女性ばかり。四者四面の笑顔が怖く見える。4人の色とりどりの赤い目が俺だけを見つめてくる。
笑えない。
「ねぇ、何でシェリル連れてこなかったのぉ?」
「楽しみにしてたのにな」
これは責められているのか?
「体調がまだ治り切って「聞いてないっ」っ・・・」
コツ。コツ。コツ。コツ。
ウララの指が机を鳴らす。
横で座るアイザックの肩が震えるのがわかった。
ほんとに、どうした?
「契約」
「恋人」
「北の棟」
「魔獣討伐」
「いいわけできますか?」
コツ。コツ。
静かな部屋に音が響く。
赤い目が俺を捉えて離さない。
冷たい汗が背中を伝う。
コツ。コツ。
「わたしたちのシェリルを蔑ろによくもしてくれたわね」
「好きな人に振られてシェリルに乗り換えようとしてないか?」
「どう言うつもりで~、契約書作ったか知りたいわ~」
「なんで北の棟にしたの?」
「あれで魔獣退治でちゃんと護れたと思ってますの~?」
「頭の中、お花でも栽培してますか?」
「いい訳できますか??」
「いい訳は聞いてくれるのか?」
「「「「聞くわけないでしょう!」」」」
「・・・だよな・・・」
なら聞くな!!そう思う。
試されているのはわかっている。
だが、ここで引いたら、負けが確定する。
コツ。コツ。コツ。
「あんたらが、俺をここに座らせたのは話があるからだろう。とっとと本題に入れ」
チッ
ウララ聖女からもれる。
聖女だよな?
口、悪くないか?
「少しはまともになったのかしら」
「それに対してはこれから見せるしかないな」
ウララ聖女はふっと、笑った。
「貴方の噂を利用したことはあやまるわ。でも貴方がシェリルやったことに対しては許すつもりはない」
「まあ、ウララ姉様、。それはともかく。一つだけは認めてるんでしょ~」
「フィアル!」
「貴方がシェリルに対して普通の扱いをしてるのをウララたちは認めてるのよ」
「エステル!!」
ウララ聖女が叫んだ。
一番年嵩のある女性が席をすすめてきた。
空いている席は一つしかない。
レニーの真正面。
女性陣の向かいに座るのは男たち。
昨日までずっと会議に出ていた、よく知る顔。友人でもあるはずの辺境伯らだ。
彼ちは頭一つ動かさず、彫像のようにいた。
どうした、お前ら・・・。
汗かいていないか?目が泳いでる?
どこを見ている?
恐る恐る椅子に腰掛ける。
「では、始めましょうか。グレンディール、卿」
怖い。赤い唇の端が恐ろしいほどに釣り上がっていり。
朱色の目が笑ってない。
「そうですわね、自己紹介でもしましょうか?
はじめてお逢いしますもの、ね!わたしはウララです。癒しの力を持っています」
司祭レニーの右横に座る年嵩の女性が言う。
金の髪に朱色に近い瞳。吊り目が勝ち気さを倍増している。
「わたしはエステルですわ。結界が得意なの」
レニーの左横の女性。肩までの茶色の髪に紫に近い赤い瞳。おっとりした印象だがその目は芯が通っているように思える。
「あたしはティティ。先見、千里眼。ピンク小鳥の生みの親だよ。」
ウララの横。黒髪に血のような赤い瞳。
見た目とは違う男勝りのよう。
「わたくしは、フィアルです~。浄化能力で~す」
エステルの横のこの中で一番若い。茶金色の髪にピンクに近い赤い瞳。のんびりした印象が強い。
美女揃いだが、どこか迫力のある女性ばかり。四者四面の笑顔が怖く見える。4人の色とりどりの赤い目が俺だけを見つめてくる。
笑えない。
「ねぇ、何でシェリル連れてこなかったのぉ?」
「楽しみにしてたのにな」
これは責められているのか?
「体調がまだ治り切って「聞いてないっ」っ・・・」
コツ。コツ。コツ。コツ。
ウララの指が机を鳴らす。
横で座るアイザックの肩が震えるのがわかった。
ほんとに、どうした?
「契約」
「恋人」
「北の棟」
「魔獣討伐」
「いいわけできますか?」
コツ。コツ。
静かな部屋に音が響く。
赤い目が俺を捉えて離さない。
冷たい汗が背中を伝う。
コツ。コツ。
「わたしたちのシェリルを蔑ろによくもしてくれたわね」
「好きな人に振られてシェリルに乗り換えようとしてないか?」
「どう言うつもりで~、契約書作ったか知りたいわ~」
「なんで北の棟にしたの?」
「あれで魔獣退治でちゃんと護れたと思ってますの~?」
「頭の中、お花でも栽培してますか?」
「いい訳できますか??」
「いい訳は聞いてくれるのか?」
「「「「聞くわけないでしょう!」」」」
「・・・だよな・・・」
なら聞くな!!そう思う。
試されているのはわかっている。
だが、ここで引いたら、負けが確定する。
コツ。コツ。コツ。
「あんたらが、俺をここに座らせたのは話があるからだろう。とっとと本題に入れ」
チッ
ウララ聖女からもれる。
聖女だよな?
口、悪くないか?
「少しはまともになったのかしら」
「それに対してはこれから見せるしかないな」
ウララ聖女はふっと、笑った。
「貴方の噂を利用したことはあやまるわ。でも貴方がシェリルやったことに対しては許すつもりはない」
「まあ、ウララ姉様、。それはともかく。一つだけは認めてるんでしょ~」
「フィアル!」
「貴方がシェリルに対して普通の扱いをしてるのをウララたちは認めてるのよ」
「エステル!!」
ウララ聖女が叫んだ。
28
お気に入りに追加
3,396
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ
めぐめぐ
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。
アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。
『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。魔法しか取り柄のないお前と』
そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。
傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。
アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。
捨てられた主人公が、パーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー短編。
※思いつきなので色々とガバガバです。ご容赦ください。
※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。
※単純な話なので安心して読めると思います。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
王子様は王妃の出産後すぐ離縁するつもりです~貴方が欲しいのは私の魔力を受け継ぐ世継ぎだけですよね?~
五月ふう
恋愛
ここはロマリア国の大神殿。ロマリア歴417年。雪が降りしきる冬の夜。
「最初から……子供を奪って……離縁するつもりだったのでしょう?」
ロマリア国王子エドワーズの妃、セラ・スチュワートは無表情で言った。セラは両手両足を拘束され、王子エドワーズの前に跪いている。
「……子供をどこに隠した?!」
質問には答えず、エドワーズはセラを怒鳴りつけた。背が高く黒い髪を持つ美しい王子エドワードの顔が、醜く歪んでいる。
「教えてあげない。」
その目には何の感情も浮かんでいない。セラは魔導士達が作る魔法陣の中央に座っていた。魔法陣は少しずつセラから魔力を奪っていく。
(もう……限界ね)
セラは生まれたときから誰よりも強い魔力を持っていた。その強い魔力は彼女から大切なものを奪い、不幸をもたらすものだった。魔力が人並み外れて強くなければ、セラはエドワーズの妃に望まれることも、大切な人と引き離されることもなかったはずだ。
「ちくしょう!もういいっ!セラの魔力を奪え!」
「良いのかしら?魔力がすべて失われたら、私は死んでしまうわよ?貴方の探し物は、きっと見つからないままになるでしょう。」
「魔力を失い、死にたくなかったら、子供の居場所を教えろ!」
「嫌よ。貴方には……絶対見つけられない場所に……隠しておいたから……。」
セラの体は白く光っている。魔力は彼女の生命力を維持するものだ。魔力がなくなれば、セラは空っぽの動かない人形になってしまう。
「もういいっ!母親がいなくなれば、赤子はすぐに見つかるっ。さあ、この死にぞこないから全ての魔力を奪え!」
広い神殿にエドワーズのわめき声が響いた。耳を澄ませば、ゴゴオオオという、吹雪の音が聞こえてくる。
(ねえ、もう一度だけ……貴方に会いたかったわ。)
セラは目を閉じて、大切な元婚約者の顔を思い浮かべる。彼はセラが残したものを見つけて、幸せになってくれるだろうか。
「セラの魔力をすべて奪うまで、あと少しです!」
魔法陣は目を開けていられないほどのまばゆい光を放っている。セラに残された魔力が根こそぎ奪われていく。もはや抵抗は無意味だった。
(ああ……ついに終わるのね……。)
ついにセラは力を失い、糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。
「ねえ、***…………。ずっと貴方を……愛していたわ……。」
彼の傍にいる間、一度も伝えたことのなかった想いをセラは最後にそっと呟いた。
貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?
蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」
ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。
リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。
「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」
結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。
愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。
これからは自分の幸せのために生きると決意した。
そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。
「迎えに来たよ、リディス」
交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。
裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。
※完結まで書いた短編集消化のための投稿。
小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。
偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら
影茸
恋愛
公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。
あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。
けれど、断罪したもの達は知らない。
彼女は偽物であれ、無力ではなく。
──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。
(書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です)
(少しだけタイトル変えました)
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる