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2章、サウス樹海の中

15.

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 エルバスは一通りの話を聞き終えると天井を仰いだ。

「まだ、アリスとやらを見てはないが、そいつはギルド登録は?」
「してません。とある事情でできませんから」
「おいおい、アシュ。俺とお前の関係だ。正直になろうや」
「おまけがいます」

 隣を指差す。
 エルバスは気にしていない。

「おまけはおまけだろ。口は、だしやしない」
「おい!」
「今ここにはあんたの味方はいやせんよ。あいつら全員、リルの味方だ」
「はっ?」

 目を丸くするグレンディールを憐れみの目で眺める。

「あんな、リルは冒険者だから、みんな身元は追求はしてない。聖女だとわかっていても知らんぷりしている。本人も言ったことはない。
 だが、辺境伯様の奥方が聖女だと言うのは、公然の事実として、知られてんだ。あの赤い目は隠しようもないだろう。
 なのに、碌でもない噂が回ってる。
 俺たちはどっちを信じると思う?見たものを信じるのが俺たちだ。お前も冒険者の端くれだから、わかってるだろ?
 なら、導かされるのは一つ。辺境伯は聖女をしいたげている。誰もがそう考えて当然だよな。
 俺たちはリルが好きだ。あんたより、な。
 悪いが、グレン坊。おまえの味方は、ここにはおらん」

 ゴンッ

 グレンディールは撃沈した。

 いないものとして、話が再びはじまる。
 
「んんっ、話は戻す。おまけは気にせず教えてくれ」
「では、ここだけの話しで。アリスは元暗殺者です。指名手配が出ています。今はリルのメイド兼護衛です」
「はあ、そういうことか」
「内密に」
「わかった。ちなみにやっぱり?」
「はい、リルが勿論落としました」
「あの笑顔をみりゃあ、落ちるわな~」

 既に落ちたもの意見。

 ここにいる冒険者たちはシェリルの笑顔見たさにいる。
 特に年嵩のものは、娘を孫を見るような眼差しだ。
 幾人かは自分の子供や孫に会いたくなって去って行ったものもいるぐらい、保護欲を掻き立てていた。




「アシュリー様」

 エルバスの後ろにアリスがいた。

 窓も扉も開いていない。


「アリス、どこから入ってきましたか?それにわざわざどうしました?子供たちは?」
「上からです。聖女様から連絡が入りました。子供たちはニーナが見てくれていますので、こちらを優先しました」

 どこからかピンクの鳥『マリーちゃん』を取り出した。

 マリーちゃんが机の上・・・突っ伏しているグレンディールの頭にわざわざ乗って胸を逸らしたかと思うと、小鳥の口から女性たちの声が聞こえてきた。

『久しぶりね。アシュリー』
『アシュリー、元気かしら?』
『聞こえるか?アシュー』
『はあい、アシュリー』

「お久しぶりです。ウララ様、エステル様、ティティ様、フィアル様」

 久しぶりの聖女たちの声だった。

 


◇◇◇◇◇

 沸騰中のため、しばらく1話更新なります。

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