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2章、サウス樹海の中

9.

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 男の足音はせず、シェリルの足音だけが洞窟に響いた。

「さあ、どうぞ。聖女様」

 男に椅子を勧められ、座る。

 小さな机に2つの椅子。
 10人はいるだろう男たちは離れた場所で、ニヤニヤしながら二人を見ていた。気持ち悪い視線に注意を払いながら男を見る。

「話はなんでしょうか?」
「そっちがあるんじゃないのか?」
「聞いたら教えてくれるの?」
「内容によるかな~」

 男は使い古びたコップにお湯をいれ、机に置いた。

「どうぞ~」
「どうも、でも結構よ」
「つれないな~」
「信用のある人が入れたお茶しか、飲まないことにしてるの」
「そりゃあ、残念だ」

 男も椅子に座り手持ちのコップの中身を飲んだ。
 

「・・・赤い目の子供をどうして集めてるの?」
「おや、真正面から切り込んできますか?」
「答えやすいものを選んだだけよ」
「ははっ。面白いなぁ~、聖女様は。わかっているくせに聞いてくるとは」
「わかっていても、他人の口から聞いてみたいから」
「噂のダメ聖女とは思えないなぁ。
 まあ、いい、答えてやるよ。赤い目の子供を集める理由、ね。そりゃあ、稼ぐためだよ。
 聖女様もご存じように、貴族たちは自分の子供の目が赤けりゃぁ、隠す。隠せば聖女候補がいなくなる。
 逆に貧しい奴らは赤目が生まれりゃ金になるんだ。を貴族に売り、貴族は国に買った子供を自分の子として渡す。それが、持ちつ持たれつ、だろ」 

 ケタケタと笑う男に眉を寄せた。

 貴族は、特に生まれてお披露目をする。その場合、子供が赤い目をしていれば国の上層に報告が行くようになっていた。
 貴族たちは自分の子供を死んだことにしたり、病気だと偽ることが多かった。
 異常な多さに神殿は調査に入り、分かったのだ。
 貴族たちは別の抜け道を探した。それが、人身売買なのだ。
 
 それも、これも、

[  聖女は国の有益のためにその身を持ってつくすべし  ]

 のせいである。

 忌々しい国の掟。

 戦好きのジェラルド・サヴァ・シェイフィード国王の意味の曲解した行いのせいである。

 魔獣からシェイフィード国を守る、だけの聖女の存在をあの国王は私利私欲の戦争に使いだしたのだ。

「使い捨てだよな~。聖女様もお可哀想に。にしても、わざわざ聞いてくるけど、聖女様もわかってんだろ?あんたも、売られたんだもんな」

 グッと服を握り締めた。俯き、歯を食いしばる。

 そう、シェリルは売られた。生まれてすぐに。父親も母親も知らない。名前もなかった。3歳で貴族に売られ、4歳で地方の神殿に行き過酷な聖女の訓練を受けた。8 歳の時司祭のレニーに出会い引き取られた。
 名前もその時につけてもらった。
 自分は運が良かったとシェリルは思っている。あの時、姉聖女やレニーに出会わなかったなら、もっと劣悪な環境だったと。
 ただ、それを知るものはほぼいないはずである。
 秘密にはしてはいないが、周りは貧民出身としか気にしていない。だから、知られていないはずなのだ。

「なぜ、知ってるの?」
「なぜって、そりゃあ、記録に残ってからな」

 血の気が引いた。











◇◇◇◇◇

いつも感想、ご意見ありがとうございます😊

皆様の感想など、大変嬉しく思っています。

少しブルーdayに突入しまして、自分を見つめ直す時期に突入してしまいました💦
当分の間感想のお返事を返す余裕がなさそうです!!
申し訳ありません。
ですが、皆様のお言葉ありがたく思っています。
            彩華より
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