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2章、サウス樹海の中
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声が聞こえた。
痛い頭を押さえ起き上がった。
「姉ちゃん、大丈夫か?」
声が聞こえた。そちらを見ると自分と変わらないほどの少年がいた。そのそばには10人ほどの小さな子供たち。
「ここは・・・?」
思い出す。
アシュリーたちが再び魔獣討伐に行ってので、薬草摘みを再開していた。
ざわりとした感覚に振り向くと、3人の男たちがいた。下品とも言える表情に寒気を覚え、逃げようとした。しかし、あっけなかった。もう2人いたのだ。
後ろから殴られてしまった。
きっとここは彼らのアジトだろう。
「奴らのアジトだよ」
少年が答える。
周りを見ると洞窟に手を加えているように見えた。
サウス樹海に家を建てて安全なわけはない。きっと樹海の中の洞窟だろう。
ならば出口は限られている。きっと、ここは一番奥。
目の前にある鉄格子を見て思った。
わざわざ鉄格子があると言う事は最近ではない。もっと前からあるに違いない。サウス樹海と言う盲点をついた奴ら。侮れない。
でも、それは自分1人の時だ。
ケヴィンがいないところを見ると、きっとアシュリーの元へ行っている。
だから、アシュリーかアリスが絶対に見つけてくれる。
時間稼ぎをすれば、どうにかなる、そう確信していた。
「姉ちゃん?」
少年は黙ったままのシェリルに声をかけた。
「あっ、ごめん。わたしが来てどれくらい寝てた?」
「ランプの油を継ぎ足しに来てから大分かな?」
オイルランタンを少し持ち上げてみる。まだ重くあまり多くは減っていない。
一時間強くらいと予想を立てる。
「ここにいるのは何人いるの?男たちは何人かわかる?」
「僕を合わせて10と2人。今は僕が一番上で、一番長くいるよ。あいつらは・・・わかんない。でも10人はいるんじゃないかな?よく見たことないやつもくるし。」
「君はどのくらいここにいるの?」
「食事はくれるから、もらうごとに線を引いてるんだ。これ」
床を指し示す。線がいくつも引かれていた。見ただけでも200は越していた。
一日一回なら200日、2回ならその半分・・・。
「・・・。どうして捕まったか、わかる?」
「赤い目だからだよ。姉ちゃんだってそうだろ」
バッと、全員を見る。薄暗くてよくみえないが、色の差はあれど、全員赤い目をしていた。
「詳しくはわかんないけど、国に売るなんとか言ってたよ」
血の気が引くのがわかった。
聖女候補。
実際赤い目だからといって必ずしも聖女になれるわけではない。魔力は確かに多く、貴重な力が授かっていることが多い。だが、代わりに制限がついてくるのだ。
聖女になるために厳しい生活が待っている。挫折などさせてもらえないし、やめようものなら、死が待っている。だからこそ、貴族内で隠されることが多いのだ。
聖女出身が貧困層や孤児が多いのはその為である。
ましてや、
[ 聖女は国の有益のためにその身を持ってつくすべし ]
があるのだ。誰が好き好んで聖女なろうか。
だから、聖女候補の人身売買。
シェリル自身がそうであったようにー。
ギリギリと歯を食いしばり、手を握り締めた。
痛い頭を押さえ起き上がった。
「姉ちゃん、大丈夫か?」
声が聞こえた。そちらを見ると自分と変わらないほどの少年がいた。そのそばには10人ほどの小さな子供たち。
「ここは・・・?」
思い出す。
アシュリーたちが再び魔獣討伐に行ってので、薬草摘みを再開していた。
ざわりとした感覚に振り向くと、3人の男たちがいた。下品とも言える表情に寒気を覚え、逃げようとした。しかし、あっけなかった。もう2人いたのだ。
後ろから殴られてしまった。
きっとここは彼らのアジトだろう。
「奴らのアジトだよ」
少年が答える。
周りを見ると洞窟に手を加えているように見えた。
サウス樹海に家を建てて安全なわけはない。きっと樹海の中の洞窟だろう。
ならば出口は限られている。きっと、ここは一番奥。
目の前にある鉄格子を見て思った。
わざわざ鉄格子があると言う事は最近ではない。もっと前からあるに違いない。サウス樹海と言う盲点をついた奴ら。侮れない。
でも、それは自分1人の時だ。
ケヴィンがいないところを見ると、きっとアシュリーの元へ行っている。
だから、アシュリーかアリスが絶対に見つけてくれる。
時間稼ぎをすれば、どうにかなる、そう確信していた。
「姉ちゃん?」
少年は黙ったままのシェリルに声をかけた。
「あっ、ごめん。わたしが来てどれくらい寝てた?」
「ランプの油を継ぎ足しに来てから大分かな?」
オイルランタンを少し持ち上げてみる。まだ重くあまり多くは減っていない。
一時間強くらいと予想を立てる。
「ここにいるのは何人いるの?男たちは何人かわかる?」
「僕を合わせて10と2人。今は僕が一番上で、一番長くいるよ。あいつらは・・・わかんない。でも10人はいるんじゃないかな?よく見たことないやつもくるし。」
「君はどのくらいここにいるの?」
「食事はくれるから、もらうごとに線を引いてるんだ。これ」
床を指し示す。線がいくつも引かれていた。見ただけでも200は越していた。
一日一回なら200日、2回ならその半分・・・。
「・・・。どうして捕まったか、わかる?」
「赤い目だからだよ。姉ちゃんだってそうだろ」
バッと、全員を見る。薄暗くてよくみえないが、色の差はあれど、全員赤い目をしていた。
「詳しくはわかんないけど、国に売るなんとか言ってたよ」
血の気が引くのがわかった。
聖女候補。
実際赤い目だからといって必ずしも聖女になれるわけではない。魔力は確かに多く、貴重な力が授かっていることが多い。だが、代わりに制限がついてくるのだ。
聖女になるために厳しい生活が待っている。挫折などさせてもらえないし、やめようものなら、死が待っている。だからこそ、貴族内で隠されることが多いのだ。
聖女出身が貧困層や孤児が多いのはその為である。
ましてや、
[ 聖女は国の有益のためにその身を持ってつくすべし ]
があるのだ。誰が好き好んで聖女なろうか。
だから、聖女候補の人身売買。
シェリル自身がそうであったようにー。
ギリギリと歯を食いしばり、手を握り締めた。
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