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6.ルーカス

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 初めて紹介された時から、僕はあの女が嫌いだった。

 あの女は昔から気に入らない。
 いつも、自分に近づいてくる。気持ちの悪い黒い瞳に自分をうつし、さも尽くしていますアピールをしながら、横に立とうとするのだ。

 僕は、そんな女が嫌いだ。
 自分の立場もわきまえず、彼女面をするような女は。

 あの女に辟易していた時、僕はアニスと出逢った。
 
 男爵令嬢のアニス。小柄でハニーブロンドの髪が綺麗で、エメラルドグリーンの澄んだ目が特徴の女の子。
 一目で恋に落ちてしまった。

 彼女は貧しかった。でも、何事も一生懸命で、健気だった。
 
 貧しいと言うだけで差別にあっていた。
 よく誰もいない場所で、泣いていた。
 
 彼女に涙は似合わない。
 笑って欲しい。
 澄んだエメラルドグリーンの瞳を輝かして欲しい。
 その目で、僕を見て欲しい。

 僕は彼女を助けた。

 助ければ助けるだけ、彼女は傷つく。
 誰かにいじめられた。
 誰に・・・。

 あいつか?

 いつも、きつい目つきで僕らをみているあの女。

 あいつが、アニスを傷つけているんだな。
 アニスは僕が護る。

 僕はアニスの側でいるようにした。

 彼女は次第に、心を開いてくれた。

「ルーカス様。好きです」

 本当か???

「でも、ルーカス様には婚約者が・・・。わたし、ルーカス様と一緒にいたい。でも・・・」

 真珠のような涙をほろほろと流す。
 綺麗だ。
 その雫をすくう。

「僕もアニスが好きだ。あの女のことは嫌いなんだ。いずれ婚約破棄をするつもりだ」
「本当ですか?」

 父があの女との結婚に固執しているのが、悪い。早く破棄してやりたいのに、できないでいる。

 どうすれば婚約破棄できるか、悩んでいた。

 アニスと共にいる為にもー。

 
 彼女に対するいじめは絶えない。
 陰険ないじめや怪我に繋がるようなものまである。
 腹が立つ。

 ある日を境にあの女は近づいてくる事はなくなった。
 でも、あの女がしているに違いない。他のものに命令してアニスをいじめているんだ!
 アニスもそう言っている。


 許せない。
 アニスを傷つけるとは、
 いずれ断罪してやる!!
 あの女を見張り、証拠を押さえてやる。

 アニスの幸せを護るのは、僕なんだー。




 せっかく、愛しのアニスと花祭りを楽しんでいると言うのに、最悪なモノが視界に映り込んできた。
 
 驚いたが、すぐに気を変えた。

 あの女が花祭りに男連れで、きていたのだ。不貞で追い込める。
 このチャンスを生かさなくてはならない。

 あの悪女を皆の前で晒してやる。
 そして、あの悪女を公衆の前で殺してやる。
 一生、この華々しい場所に出てこれないようにしてやる。

 アニスをいじめたのだから、それぐらいの覚悟はしてもらおう。

 僕は、アニスを連れて、あの女の前に立った。

 
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