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10.ミリア・ローベルク
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家に帰るといつものように一輪の赤いバラと手紙が贈られてきていた。
3学年になってすぐから、毎日欠かさず送られてくるようになったの。
手紙の内容は、
今日の服装は可愛かったとか、髪型が良かったとか。昼食のメニューを同じにしたとか・・・。
食べ方が魅力的だとか。
買い物の事が書いてあるときもあった。
この店のお菓子はわたし好みだよ。
あの店の宝石が洋服が似合うよ、と言うのまであった。
よくわかってるじゃない。
誰かしら。
わたしのことをよく見てるのね。
嬉しかった。
でも、少しずつ怖くなっていった。
だってー、
次第に手紙の内容が・・・。
オリヴァ様との会話に対する意見が書かれだした。
買い物の内容と金額明細が書かれていたときもある。
わたしにはこんなものが似合うから、今持っているのを捨てろ・・・とか。
あれは君に合わないからやめた方がいいとか。
カロリーについてまで書かれていた。
どこまで見てるのって?どこまで聞いてるのって?
次第にわたしがしている、嫌がらせについてまで触れてきた。
やった時間まで書かれている。
なぜ知ってるの?
見てた?
あの女の噂を流したことに触れている。
聞いてたの?
友達に意地悪してることも。
どうして?
どうすればもっと効果的かのアドバイスまであった。他人の弱みを送りつけて来たり・・・。
これ、使っていいの?
わたしはそれを使って人を陥れた。
わたしの幸せのためだもの。
罪悪感はなかった。
でも、その内容は誰も知らないものだった。
わたしが知っていいもの?
それを使ううちに怖くなった。
襲われかけたから・・・。
わたし・・・。
どうすればいいの?
わたしがオリヴァ様以外に付き合っている男性のことも・・・あった。
バレてる。
どこで?
隠れて会ったのに。
オリヴァ様にバレたくない。
嫌われたくない。
誰かに見張られている?
視線・・・。
振り向いても誰もいない。
誰?
誰が見てるの?
オリヴァ様には相談できなかった。
したら、わたしが今までしたことがバレてしまう。
駄目。
駄目駄目。
オリヴァ様には言えない。
いつしかバラを見るだけで怖くなった。
「最近どうかしたかい?」
「ううん、なんでもないよ」
努めて明るく言う。
あの女がしてるの?
いや、それは・・・ないわよね・・・?
どうしよう。
わたし、どうすればいいの?
今のわたしに安穏はない。
いつも視線を気にするようになった。
わたしはあの女の悪口を言うことができなくなっていた。他人のことも・・・。
あの女のせいで~、なんて言えなくなった。
見張られている。
そう思うと、できない。
未だにバラと手紙は贈られてくる。
相手はまだ、わからない。
誰も知らないと言う。
いつのまにかあるのだ。
今日もバラが届く。
わたしを見つめる手紙とともに。
わたしは赤いバラが嫌いになった。
3学年になってすぐから、毎日欠かさず送られてくるようになったの。
手紙の内容は、
今日の服装は可愛かったとか、髪型が良かったとか。昼食のメニューを同じにしたとか・・・。
食べ方が魅力的だとか。
買い物の事が書いてあるときもあった。
この店のお菓子はわたし好みだよ。
あの店の宝石が洋服が似合うよ、と言うのまであった。
よくわかってるじゃない。
誰かしら。
わたしのことをよく見てるのね。
嬉しかった。
でも、少しずつ怖くなっていった。
だってー、
次第に手紙の内容が・・・。
オリヴァ様との会話に対する意見が書かれだした。
買い物の内容と金額明細が書かれていたときもある。
わたしにはこんなものが似合うから、今持っているのを捨てろ・・・とか。
あれは君に合わないからやめた方がいいとか。
カロリーについてまで書かれていた。
どこまで見てるのって?どこまで聞いてるのって?
次第にわたしがしている、嫌がらせについてまで触れてきた。
やった時間まで書かれている。
なぜ知ってるの?
見てた?
あの女の噂を流したことに触れている。
聞いてたの?
友達に意地悪してることも。
どうして?
どうすればもっと効果的かのアドバイスまであった。他人の弱みを送りつけて来たり・・・。
これ、使っていいの?
わたしはそれを使って人を陥れた。
わたしの幸せのためだもの。
罪悪感はなかった。
でも、その内容は誰も知らないものだった。
わたしが知っていいもの?
それを使ううちに怖くなった。
襲われかけたから・・・。
わたし・・・。
どうすればいいの?
わたしがオリヴァ様以外に付き合っている男性のことも・・・あった。
バレてる。
どこで?
隠れて会ったのに。
オリヴァ様にバレたくない。
嫌われたくない。
誰かに見張られている?
視線・・・。
振り向いても誰もいない。
誰?
誰が見てるの?
オリヴァ様には相談できなかった。
したら、わたしが今までしたことがバレてしまう。
駄目。
駄目駄目。
オリヴァ様には言えない。
いつしかバラを見るだけで怖くなった。
「最近どうかしたかい?」
「ううん、なんでもないよ」
努めて明るく言う。
あの女がしてるの?
いや、それは・・・ないわよね・・・?
どうしよう。
わたし、どうすればいいの?
今のわたしに安穏はない。
いつも視線を気にするようになった。
わたしはあの女の悪口を言うことができなくなっていた。他人のことも・・・。
あの女のせいで~、なんて言えなくなった。
見張られている。
そう思うと、できない。
未だにバラと手紙は贈られてくる。
相手はまだ、わからない。
誰も知らないと言う。
いつのまにかあるのだ。
今日もバラが届く。
わたしを見つめる手紙とともに。
わたしは赤いバラが嫌いになった。
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