【完結】好きになったので

彩華(あやはな)

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9.ミリア・ローベルク

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わたしは運命の出逢いをしました。

オリヴァ・グランツィオ様です。
ものすごくイケメンで公爵子息様。
全てにおいて、わたしにピッタリの方でした。

話もものすごくあって、楽しいの。
いつまでも話が尽きない。

婚約者がいるらしいけど、オリヴァ様はわたしだけを見てくれた。

愛を囁いてくれた。

いつも一緒にいてくれた。

とても幸せだった。

その一年後、婚約者が入学してきた。
勝った。
私の方が可愛いわ。

でも、身分はあちらが上。

オリヴァ様は私のものよ。
牽制しなくちゃ。


わたしはユーファミア様に言ってやったわ。

「オリヴァ様を解放して」って。

あの女、すごく悲しそうにしてた。
いい気味だわ。
わたしのオリヴァ様をとるからよ。

あの女・・・もっと不幸になればいいのに。
わたしにないものをたくさん持ってる。
羨ましい・・・。

あれだけ言って、オリヴァ様との関係を見せつけるのに、婚約者解消もしてくれない。

きっと無理を言ってるのね。オリヴァ様と別れたくないと・・・。オリヴァ様も言ってたし・・・。
恵まれているくせに、オリヴァ様まで・・・えようなんて許さない。

絶対にオリヴァ様はわたしのものよ。

どうすれば・・・。

・・・そうだわ。・・・徹底的に、潰せばいいんだわ。

だから、わたしはわざと自分のものを隠したり壊したりして、オリヴァ様たちに訴えた。
ユーファミア様がいじめてきますって。
うまくいったわ。

オリヴァ様は信じてれた。
どんどんあの女が嫌いになっていくのがわかった。
わたしだけを見てくれる。


あの女とのお茶会の日もわたしとデートをしていた。

「彼女に会わなくていいの?」

わざと言ってみる。

「構わないさ」
「もう、オリヴァ様ったら。まだ待ってるのかしら?」
「見に行ってみるかい」
「そうね」

まだ待っていたら、笑ってあげる。
面白いじゃない。
虚しい女。
不憫な女。

待ち合わせの場所に行ってみると、そこにはアルファス皇太子様と楽しそうに談笑するあの女がいた。

どう言うこと?

オリヴァ様も顔色をかえ、中に入る。

「ユーファ。楽しそうだね。僕に嫌がらせかい?」

オリヴァ様はそういいました。

すると、あの女のいけすかないメイドがわたしたちの前に立ちはだかった。

邪魔だわ。
あの女にようがあるのに。


「オリヴァ様、何がいいたいのでしょうか?ただいま、お嬢様はとお食事でございます」
「今日はお茶会だったはずだよ」
「予定は3時間前でした。遅れるご連絡もいただいておりません。無断で欠席されたものと思っておりました」
「たかが、3時間の遅刻だろ?」
「紳士としてあるまじきこと。しかも女連れ。ありえませんね」
「メイド風情が!!」


オリヴァ様がメイドを殴った。
メイドは口を切ったのか血がでている。

馬鹿なメイドだわ。

「ライラ!」

あの女はメイドの元へゆき、オリヴァ様を見上げた。

「オリヴァ様!」
「ユーファ。いつも言っているだろう。もっとましなメイドを雇え、と」

「グランツィオ公爵子息」

アルファス皇太子。イケボです。
グッとくる。

「アルファス皇太子殿下。ご無礼をお許しください。このものたちはわたしの大事な人を痛めつけるような心なき者でございます。貴方様方が関わる価値もないような者なのです」
「そうですわ。皇太子様。もっと付き合う者は選ぶべきですわ」

そうよ。貴方にはふさわしくないわ。

「ほぉ・・・」
「この近くにいいお店があります。そちらでお食事はどうですか?」

さすがオリヴァ様。
さらりとそんなことが言えるなんて素敵だわ。
わたしもっと皇太子様のこと知りたいしー。

「君たちは僕に命令するんだね。僕が決めた事を否定するんだね。
 君はユーファミア嬢の婚約者だと言うのに、彼女を卑下するのか。
 ライラがメイドだからと貶めるのか。
 悪いが、そんな事を言いものと関わる気はさらさらない」
「いえ、そんな、つもりは・・・」

えっ、どう言うこと?
わたしたちはアドバイスしただけよ。
別に命令なんて・・・、して、ない、わよね?

「もういい。出ていこう。ケイラー。迷惑料として多めに支払いをしておいてくれ。食べ物を粗末にしてしまう詫びも忘れずに」

気遣いできる男たちって最高。


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