【完結】好きになったので

彩華(あやはな)

文字の大きさ
上 下
8 / 15

8.ユーファミア視点

しおりを挟む
晴れた日、恒例のオリヴァ様とのお茶会の日です。

久しぶりにカフェで待ち合わせをしました。
時間になってもきません。

ライラが離れた場所で耐える表情でいてくれます。

虚しい。

もう、諦めました。オリヴァ様に期待するのをやめました。
でも、こうして義務としてお付き合いする上で、こうも無視をあからさまにされると虚しくなります。
わたくしのことはどうでもいいのだと、思い知らされるから。


待ち合わせを時間から2時間がたったころ、ライラがすくっと立ち上がり、数分だけどこかに・・・お花摘みでしょうか、いきました。
帰ってきた時にはスッキリした顔でしたし。

ライラは帰ってくるとわたくしの前に座りました。

「ご一緒させてください」
「もちろんよ」

ライラの優しさが嬉しくて、笑ってしまいました。

鼻血だして・・・もう。

どれだけ、わたくしが好きなんだか。

ほんとうに、嬉しいわ。

もう時期お昼です。
折角ですから、お昼を二人で食べましょう。

ライラに声をそうかけようとした時ー。




「ユーファミア嬢」

えっ?

声に振り返ると皇太子殿下がいました。
アルファス様とルシファル様、ケイラー様です。

「ユーファミア嬢」

皇太子殿下が微笑みながらわたくしを呼んだのです。

「アルファス殿下?」
「しー。ここいいかい?」
「どうぞ」

ライラ!?
もう、勝手に。

ライラが立ち上がり、お二人に譲る。

お二人はわたしの前に座りました。

「食事に来たら、君を見つけて・・・。もしよかったら、一緒に昼食を一緒にどうだい?」
「あ、はい。喜んで」

アルファス殿下は手慣れた風で料理を注文しました。

「お兄様。顔が緩んでますわ」

ルシファル様?

「気持ち悪い・・・」

ライラもなんで事いうのよ。折角・・・。

「アルファス様、ライラが申し訳ありません」
「かまわない。ユーファミア嬢。今日はお忍びなんだ。アルと呼んでくれ」
「わたくしはルーシーよ」
「ですが・・・」
「かわりにファミアと呼ばして欲しい」

ファミア?
恥ずかしい・・・
でも、
嬉しい。

「はい。・・・では、アル様」
「ファミア」

チッ。


えっ?

舌打ちの主、ライラを見ます。
殺しをしそうな眼差し。
やめてよ・・・。

「もう、わたくしもいますわよ。わたくしもファミアと呼んでもよろしくて?」
「はい。ルーシー様」

はぁ~。

ライラ大丈夫かしら?
鼻血出てるわよ。

わたくしたちは楽しく昼食をとりながら楽しく会話をしていました。


そこへー。


「ユーファ。楽しそうだね」

オリヴァ様が来られたのです。
右手にはミリア様を連れています。

「僕に嫌がらせかい?」

どう言うことでしょう。

わたくしが応える前にライラがすっとわたくしの前にきました。

「オリヴァ様、何がいいたいのでしょうか?ただいま、お嬢様はとお食事でございます」
「今日はお茶会だったはずだよ」
「予定は3時間前でした。遅れるご連絡もいただいておりません。無断で欠席されたものと思っておりました」
「たかが、3時間の遅刻だろ?」
「紳士としてあるまじきこと。しかも女連れ。ありえませんね」
「メイド風情が!!」


ものすごい音がしました。
ライラが倒れました。その拍子に椅子も倒れました。

「ライラ!」

ライラに駆け寄ります。

ライラの頬が真っ赤になり、口元から血が・・・。

「オリヴァ様!」
「ユーファ。いつも言っているだろう。もっとましなメイドを雇え、と」

「グランツィオ公爵子息」

アル様が厳しい眼差しを向けます。

「アルファス皇太子殿下。ご無礼をお許しください。このものたちはわたしの大事な人を痛めつけるような心なき者でございます。貴方様方が関わる価値もないような者なのです」
「そうですわ。皇太子様。もっと付き合う者は選ぶべきですわ」
「ほぉ・・・」
「この近くにいいお店があります。そちらでお食事はどうですか?」

オリヴァ様・・・。
貴方は・・・。

「君たちは僕に命令するんだね。僕が決めた事を否定するんだね。
 君はユーファミア嬢の婚約者だと言うのに、彼女を卑下するのか。
 ライラがメイドだからと貶めるのか。
 悪いが、そんな事を言うものと関わる気はさらさらない」
「いえ、そんな、つもりは・・・」
「もういい。出ていこう。ケイラー。迷惑料として多めに支払いをしておいてくれ。食べ物を粗末にしてしまう詫びも忘れずに」

わたくしたちはアル様たちと一緒にでていきました。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

冷徹公に嫁いだ可哀想なお姫様

さくたろう
恋愛
 役立たずだと家族から虐げられている半身不随の姫アンジェリカ。味方になってくれるのは従兄弟のノースだけだった。  ある日、姉のジュリエッタの代わりに大陸の覇者、冷徹公の異名を持つ王マイロ・カースに嫁ぐことになる。  恐ろしくて震えるアンジェリカだが、マイロは想像よりもはるかに優しい人だった。アンジェリカはマイロに心を開いていき、マイロもまた、心が美しいアンジェリカに癒されていく。 ※小説家になろう様にも掲載しています いつか設定を少し変えて、長編にしたいなぁと思っているお話ですが、ひとまず短編のまま投稿しました。

【完結】無能聖女と呼ばれ婚約破棄された私ですが砂漠の国で溺愛されました

よどら文鳥
恋愛
エウレス皇国のラファエル皇太子から突然婚約破棄を告げられた。 どうやら魔道士のマーヤと婚約をしたいそうだ。 この国では王族も貴族も皆、私=リリアの聖女としての力を信用していない。 元々砂漠だったエウレス皇国全域に水の加護を与えて人が住める場所を作ってきたのだが、誰も信じてくれない。 だからこそ、私のことは不要だと思っているらしく、隣の砂漠の国カサラス王国へ追放される。 なんでも、カサラス王国のカルム王子が国の三分の一もの財宝と引き換えに迎え入れたいと打診があったそうだ。 国家の持つ財宝の三分の一も失えば国は確実に傾く。 カルム王子は何故そこまでして私を迎え入れようとしてくれているのだろうか。 カサラス王国へ行ってからは私の人生が劇的に変化していったのである。 だが、まだ砂漠の国で水など殆どない。 私は出会った人たちや国のためにも、なんとしてでもこの国に水の加護を与えていき住み良い国に変えていきたいと誓った。 ちなみに、国を去ったエウレス皇国には距離が離れているので、水の加護はもう反映されないけれど大丈夫なのだろうか。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

私の大好きな彼氏はみんなに優しい

hayama_25
恋愛
柊先輩は私の自慢の彼氏だ。 柊先輩の好きなところは、誰にでも優しく出来るところ。 そして… 柊先輩の嫌いなところは、誰にでも優しくするところ。

王太子妃候補、のち……

ざっく
恋愛
王太子妃候補として三年間学んできたが、決定されるその日に、王太子本人からそのつもりはないと拒否されてしまう。王太子妃になれなければ、嫁き遅れとなってしまうシーラは言ったーーー。

生命(きみ)を手放す

基本二度寝
恋愛
多くの貴族の前で婚約破棄を宣言した。 平凡な容姿の伯爵令嬢。 妃教育もままならない程に不健康で病弱な令嬢。 なぜこれが王太子の婚約者なのか。 伯爵令嬢は、王太子の宣言に呆然としていた。 ※現代の血清とお話の中の血清とは別物でござる。 にんにん。

処理中です...