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1章 感情能力試験編

事件の後始末

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西国弦が務めているコンビニが襲撃されていると通報が入ったのは17時55分のことだった。
彩が国島と合流し、バイクで目的地についたのは18時15分。20分経過していた。
2人はバイクを駐車場に止め、現状を確認する。
コンビニの窓ガラスは全て割れていた。
窓側に陳列されていたであろう雑誌類はガラスが割れた衝撃から破れ散り、店内に散乱している。
すぐに国島が店に入る。
「いらっしゃいませ~」
そこには、何食わぬ顔で挨拶をしてきた店員の西国がいた。国島はポカンと口を開けて固まる。そんな国島の肩をポンッと彩が叩いた。
「ほら、大丈夫でしょ?もう帰っていいわよ」
「おい彩、この男襲撃されたところにノコノコと1人で入ってきたぞ?緊張感足りねぇーっぽいんじゃねーか?」
彩の姿を見て、まゆ毛を上げながら西国が忠告する。
襲撃があった現場へは細心の注意を払って調査すべきことは彩にとっては百も承知だ。
「確かにそうね。もしここが父の勤め先ではなく、テロリストが襲撃している場所だったとしたら……国島くん、貴方は殺されてしまうかもしれないわね」
その彩の言葉を聞き、国島はハッとして彩に謝罪する。
「ま、とりあえずそこに横たわっている黒ずくめの男が100パーセント犯人ってことね」
彩は確認のため弦の糸で繭状にされている男を指差す。
「その男が大体17時50分前くらいだったかなぁ~感情能力を使として店に侵入してきたっぽいんだよ」
彩の問いに弦は即答する。
「この男の感情能力は?どういった能力?」
彩はメモを用意しつつ、弦に尋ねる。
「それは知らん……俺が能力を使う前にそいつを黙らせた奴がいたからな」
その言葉を聞き、彩は自分の耳を疑った。父よりも速く能力を使用して取り押さえることなど、感情能力が使用可能な自分達でさえ困難だからだ。
「それは……すごいですね!どんな人だったんですか!?」
弦の話を聞き、目を光らせ前のめりになって国島は聞こうとした。
しかし、弦は首を横に振った。
「すまん、ここからは話すことはできない」
「ええっ!勿体ぶらないで教えてくださいよ~西国さん!」
その人物が誰かを知りたがっている国島を彩は手で制する。
「わかりました。では、犯人の身柄はこちらで拘束させていただきます」
彩は事務的に弦に伝え、犯人をバイクに乗せるように国島に指示した。
弦が話さない理由を彩は理解していた。弦が話すことのできない内容。
それは以前務めていた場所……国守家のということだ。
「準備できましたー、西国先輩」
犯人を自分のバイクに縛り付けた国島がエンジンを付け、彩に呼びかける。
彩はその声を聞き、コンビニから出ようとしたところで後ろから弦が声をかけてきた。
「おい、彩!これを持っていけ」
商品を詰めたビニール袋を彩に渡し、弦は散らかった店の掃除を始める。
「それじゃ、戻るわよ国島くん」
自分のバイクにまたがり、エンジンをつける。
バイクを走らせた彩と国島は本社に戻るのだった。
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