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第249話 とつげきぁーーーっ!!
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ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!
唸りをあげて加速するワゴン車。
いたるところにダメージを受けて、ボデイーの一部やバックミラー、ハッチバックドアなどがバラバラガラガラと落下していく。
ハンドルもガタガタ揺れて、屋根のない車はそろそろ限界が近そうだ。
病院の玄関からはゾンビたちがまだまだ大量に湧き出て、人々を襲っている。
人だかりはあっという間にそのほとんどがゾンビ化されて、次の獲物を探し出す。
その視線はもちろん――――。
「……ああ~~……見られてる……見られてるんですけど私たち……。なんか美味しそうに狙われてるんですけど~~~~っ!!」
「そりゃ、残りの生物《なまもの》は私たちしかいないからな」
身を縮めるぬか娘に、冷静に事態を説明するモジョ。
加えてアルテマからは魔力がビンビンに放出されているのだ。
100メートル先からでもその臭いは伝わっただろう。
『『『グルオォォォォォォォォォッ!!!!』』』
ゾンビたちは涎を撒き散らし、一斉にワゴン車に向けて突進してきた。
病院までの道はこの一本だけ。
その道幅いっぱい埋め尽くし、ゾンビたちは迫ってくる。
「アルテマ、どうする?」
「直進だ」
「わかった」
モジョとアルテマのシンプルなやり取り。
ぬか娘は毛を逆立てて、
「いやいや、直進じゃないよ!! 無茶だよ!?? あの人たち、たった今まで生きてたんだよ!! 轢いちゃうの!? だめでしょっ!??」
ゾンビになってしまったとはいえ、人は人。
生きてた姿を想像しつつ轢き潰すなんて、そんな猟奇的なこと、精神的にとてもできない。
しかしアルテマは、
「大丈夫だ。ゾンビは低級アンデッドだが、弾き飛ばすくらいで消滅したりはしない。多少荒療治でも、ここは突っ切らなければならない」
「荒療治!? ってことはこの人たち直せるの!??」
「呪いでゾンビ化した連中ならばな。しかしそれも急がねば定着して元に戻せなくなる」
「だ、だったら突っ込めモジョッ!!!!」
「もうやってる」
ギャギャギャギャアァァァアアァァァァァアァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!
『『『『グヲオォォォォォォオオォォォオォ!!!!』』』』
アクセル全開、全速力で突き進むモジョ車。
対するゾンビ軍団――――ざっと200体
「伏せてろ」
「アルテマちゃん!!」
アルテマを抱きかかえ、シートの影に隠れるぬか娘。
ハンドルを固定しながらモジョも頭を沈める。
誠司も、また気絶しそうになりながらも足元の隙間に身体をねじ込んでいる。
『『『『グヲオォォォォォォオオォォォオォ!!!!』』』』
ドカンッ!!――――
――――ドガバキメキグシャボキバキャキバキバキバキメリバキャグショバシャゴシャゲチョガチャンガッゴッゴメキボキャブラテンゴクマタミタイナッ!!!!
一瞬の鈍い衝撃のあと、身の毛もよだつようなヌルい衝撃が連続した!!
それは人の体を打つ衝撃。
人の骨を砕く感触。
人の肉をすり潰す感覚だった。
「ひ……ひえぇええぇぇええぇえぇぇぇええぇえぇっ!!!!」
車から伝わってくる気持ち悪い感触に、思わず目線を上げるぬか娘。
と、――――ブォンッ!!!!
頭の上を人《ゾンビ》が通り過ぎていく。
そして――――ぐしゃっ!!!!
嫌な音を立てて、嫌な方向に首を曲げて落下していた。
(いや、殺してるじゃん!??)
仰天するが、しかしソッチに気を向けているわけにもいかない。
――――バキャ、メキャ、ドキャンッ!!!!
強行突破しているワゴン車もまた大ダメージを受けている。
ボンネットはひしゃげ、フロントガラスは枠ごと吹き飛び、ドアもバラバラと漫画のように外れ落ちていく。
「ぎゃあぁあぁぁああぁぁぁぁぁっ!! あっち行って!! こないで、こないでーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
車内に飛び込んできたゾンビもいた。
それらを殴り、蹴り飛ばし、車は入り口に向かって一直線。
「モジョ、そのままだ。止まらず中に突っ込め!!」
「了解」
「うそぉ!??」
攻城戦において門とは勢いで突き破るもの。
アルテマは実践で。
モジョは歴史シュミレーションゲームでそのセオリーは熟知していた。
ただひとり、いや二人。
ぬか娘と誠司はアリエナイといった恐怖を顔に貼り付かせ歯を食いしばった。
そして、
――――どぐわっがっしゃぁあぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁあぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁんっ!!!!
受付ホールへと続く、分厚いガラス扉をブチ破って、
――――ギャキキキキキキキキキキ――――プシューーーーンッ……ぐしゃ。
多くの樹脂椅子も破壊し、一筋の煙とともにワゴン車は停止した。
唸りをあげて加速するワゴン車。
いたるところにダメージを受けて、ボデイーの一部やバックミラー、ハッチバックドアなどがバラバラガラガラと落下していく。
ハンドルもガタガタ揺れて、屋根のない車はそろそろ限界が近そうだ。
病院の玄関からはゾンビたちがまだまだ大量に湧き出て、人々を襲っている。
人だかりはあっという間にそのほとんどがゾンビ化されて、次の獲物を探し出す。
その視線はもちろん――――。
「……ああ~~……見られてる……見られてるんですけど私たち……。なんか美味しそうに狙われてるんですけど~~~~っ!!」
「そりゃ、残りの生物《なまもの》は私たちしかいないからな」
身を縮めるぬか娘に、冷静に事態を説明するモジョ。
加えてアルテマからは魔力がビンビンに放出されているのだ。
100メートル先からでもその臭いは伝わっただろう。
『『『グルオォォォォォォォォォッ!!!!』』』
ゾンビたちは涎を撒き散らし、一斉にワゴン車に向けて突進してきた。
病院までの道はこの一本だけ。
その道幅いっぱい埋め尽くし、ゾンビたちは迫ってくる。
「アルテマ、どうする?」
「直進だ」
「わかった」
モジョとアルテマのシンプルなやり取り。
ぬか娘は毛を逆立てて、
「いやいや、直進じゃないよ!! 無茶だよ!?? あの人たち、たった今まで生きてたんだよ!! 轢いちゃうの!? だめでしょっ!??」
ゾンビになってしまったとはいえ、人は人。
生きてた姿を想像しつつ轢き潰すなんて、そんな猟奇的なこと、精神的にとてもできない。
しかしアルテマは、
「大丈夫だ。ゾンビは低級アンデッドだが、弾き飛ばすくらいで消滅したりはしない。多少荒療治でも、ここは突っ切らなければならない」
「荒療治!? ってことはこの人たち直せるの!??」
「呪いでゾンビ化した連中ならばな。しかしそれも急がねば定着して元に戻せなくなる」
「だ、だったら突っ込めモジョッ!!!!」
「もうやってる」
ギャギャギャギャアァァァアアァァァァァアァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!!!
『『『『グヲオォォォォォォオオォォォオォ!!!!』』』』
アクセル全開、全速力で突き進むモジョ車。
対するゾンビ軍団――――ざっと200体
「伏せてろ」
「アルテマちゃん!!」
アルテマを抱きかかえ、シートの影に隠れるぬか娘。
ハンドルを固定しながらモジョも頭を沈める。
誠司も、また気絶しそうになりながらも足元の隙間に身体をねじ込んでいる。
『『『『グヲオォォォォォォオオォォォオォ!!!!』』』』
ドカンッ!!――――
――――ドガバキメキグシャボキバキャキバキバキバキメリバキャグショバシャゴシャゲチョガチャンガッゴッゴメキボキャブラテンゴクマタミタイナッ!!!!
一瞬の鈍い衝撃のあと、身の毛もよだつようなヌルい衝撃が連続した!!
それは人の体を打つ衝撃。
人の骨を砕く感触。
人の肉をすり潰す感覚だった。
「ひ……ひえぇええぇぇええぇえぇぇぇええぇえぇっ!!!!」
車から伝わってくる気持ち悪い感触に、思わず目線を上げるぬか娘。
と、――――ブォンッ!!!!
頭の上を人《ゾンビ》が通り過ぎていく。
そして――――ぐしゃっ!!!!
嫌な音を立てて、嫌な方向に首を曲げて落下していた。
(いや、殺してるじゃん!??)
仰天するが、しかしソッチに気を向けているわけにもいかない。
――――バキャ、メキャ、ドキャンッ!!!!
強行突破しているワゴン車もまた大ダメージを受けている。
ボンネットはひしゃげ、フロントガラスは枠ごと吹き飛び、ドアもバラバラと漫画のように外れ落ちていく。
「ぎゃあぁあぁぁああぁぁぁぁぁっ!! あっち行って!! こないで、こないでーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
車内に飛び込んできたゾンビもいた。
それらを殴り、蹴り飛ばし、車は入り口に向かって一直線。
「モジョ、そのままだ。止まらず中に突っ込め!!」
「了解」
「うそぉ!??」
攻城戦において門とは勢いで突き破るもの。
アルテマは実践で。
モジョは歴史シュミレーションゲームでそのセオリーは熟知していた。
ただひとり、いや二人。
ぬか娘と誠司はアリエナイといった恐怖を顔に貼り付かせ歯を食いしばった。
そして、
――――どぐわっがっしゃぁあぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁあぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁんっ!!!!
受付ホールへと続く、分厚いガラス扉をブチ破って、
――――ギャキキキキキキキキキキ――――プシューーーーンッ……ぐしゃ。
多くの樹脂椅子も破壊し、一筋の煙とともにワゴン車は停止した。
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