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第223話 なにやってんの?
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「ははぁ……なるほどなるほど……全然わかんないや」
モジョに一通りの説明を受けたぬか娘。
電脳開門揖盗《サイバー・デモン・ザ・ホール》とか、通信不良とか、聞いたところでこちらもやはりチンプンカンプン。
「てか……モジョ……最近よく地下に籠もってると思ったら、そんなモノ作ってたのね……私はてっきり」
「……てっきりなんだ?」
「いや、てっきりその……ひとりじゃないとできないゲームとかにハマっているのかと。うふふふふふふふふふふ」
「ばかやろう。お前じゃないんだ」
ちなみにぬか娘やヨウツベも、モジョがたまにこなしている〝仕事〟のことは知っている。ちょっぴり犯罪まがいなこともやっていると理解しているが、そこはそれ、見て見ぬふりなのだ。
なぜならみな、それぞれに事情を抱えているから。
だからお互い深くは踏み込まないし、過去の詮索もしない。
「……でも、よく私たちがここにいるのがわかったな、ぬか娘よ」
泥だらけのアルテマが仏頂面で尋ねた。
ぬか娘は、そんなアルテマをどう世話してやったらいいか悩みながら、
「うん、起きたら携帯無かったしアルテマちゃんもいなくなってたから……だいたいの事情は察しちゃってね。で、モジョを訪ねてもいないし……そこから先は匂いを辿ってきたんだよ。あ、あそこの水道を借りよう」
「……ア、アニオタみたいなことをするな」
農機具の洗浄用に設置された公共の水場へアルテマを誘導するぬか娘。
そこのホースでアルテマを洗ってやるつもりである。
「へぇ~~~~。それであのゴーレムに手こずっちゃってるんだ?」
「ああ……魔法が使えないからな……抵抗しようにも、どうにもならない」
ジョボジョボと頭から水をかけられ泥を流されるアルテマとモジョ。
二人とも手を合わせ滝修行の精神統一ポーズを取っている。
どうしてもやってしまうらしい。
それはともかく。
「でも、だったらなにか方法を考えないと……元さんが……」
「わかっている。しかし方法と言っても……なんとかダメージを与えて制圧するしかないだろうな……」
「……ダメージか……魔法無しでいけるか?」
不安げにモジョが聞く。
アルテマは胸元を開けて中の泥も洗い流しつつ、
「……アイアンゴーレムは鉄の塊だからな。普通の剣では切れんし、殴っても倒せない。有効なのは私の〝アモン〟などの炎魔法で溶かすことだが、使えないしな……」
「……じゃあワイヤーカッターとかでちょん切るとか?」
ぬか娘の提案にモジョがうなずく。
しかしアルテマは首を振って、
「……いや、抵抗をかいくぐって切れたとしても倒してしまったら意味がない。そうなると電脳開門揖盗《サイバー・デモン・ザ・ホール》どころか普通の〝いんたーねっと〟もできなくなるぞ」
「断固却下する!!」
恐ろしい想像に震え上がるモジョ。
もしここにアニオタもいたら恐怖の再来に脱糞しているかもしれない。
「……そうか……倒しちゃったらダメなんだよね。弱らして言うことを聞かせなきゃいけないんだよね?」
難問に頭をひねるぬか娘。
戦闘力が皆無のこの三人。
アイアンゴーレムの魔物レベルは、アルテマの感覚で計って〝中級の上〟
ただのニートと幼女が、どうやってそんな鋼鉄製の精霊を屈服させられると言うのだろう? そんな方法があるのだろうか??
悩む三人だが――――。
「ん~~~~……ん? ……んんん?? 精霊……精霊……。ねえ、アルテマちゃん、精霊ってどっち属性なわけ?」
なにか思い当たったらしくぬか娘が聞いてきた。
「……精霊は自然由来の精神体だからな。悪魔も天使もない。言うなれば無属性だな」
そんな答えに。
「なぁんだ……」
ガックリと肩を落とすぬか娘。
「……なんだ、なにか思いついていたのか?」
モジョの質問に、
「えっとね。ジルさんってエルフでしょ? だったらクロードと同じく神聖魔法なのかなって……」
「ああ、そうか……それならその鎧(鏡)で跳ね返せるものな。……しかし無属性ならば効果はないか……」
アルテマを見つめる二人。
彼女は話を聞いて、何かを考え込んでいる。
「……いや、意外と良いアイデアかもしれないな……」
「い、いやちょっとアルテマちゃん……押さないで、押さないで!?」
アルテマとモジョ。
二人にグイグイと背中を押され、嫌がるぬか娘。
「もうちょっと、ほんとギリギリまで近づかんと効果がないんだ」
「え~~~~でもちょっと待ってよ!?? 怖いんですケド!??」
「いいから!! アイツは凶暴だが人を殺そうとはしない。きっとコッチの世界の住人に迷惑をかけないよう、師匠がそう命令を与えているんだ」
ぬか娘が装備している逆神の鏡。
神聖魔法ならすべてを反射する、とっても強力な魔法具。
しかし今回使うのはその付属品『魔素回収用付属空中線《ブラッディーソード》』の方だった。
空間、生物問わず、魔法力の源となる魔素を吸収するイカれた魔剣。
クロードも弱らせたこの剣を使って、今度はゴーレムの元気も削いでしまおうとの作戦である。
「でもでも引っ叩かれるんでしょ!?? イヤなんですけど!? 田んぼに落とされるの、私イヤなんですけど!?? てかもう作戦じゃなくてガチンコの殴り合いにしかなりそうにないんですケド~~~~~~~~~~っ!!!!」
悲鳴もむなしく、VSアイアンゴーレム第2ラウンドのゴングが鳴った。
モジョに一通りの説明を受けたぬか娘。
電脳開門揖盗《サイバー・デモン・ザ・ホール》とか、通信不良とか、聞いたところでこちらもやはりチンプンカンプン。
「てか……モジョ……最近よく地下に籠もってると思ったら、そんなモノ作ってたのね……私はてっきり」
「……てっきりなんだ?」
「いや、てっきりその……ひとりじゃないとできないゲームとかにハマっているのかと。うふふふふふふふふふふ」
「ばかやろう。お前じゃないんだ」
ちなみにぬか娘やヨウツベも、モジョがたまにこなしている〝仕事〟のことは知っている。ちょっぴり犯罪まがいなこともやっていると理解しているが、そこはそれ、見て見ぬふりなのだ。
なぜならみな、それぞれに事情を抱えているから。
だからお互い深くは踏み込まないし、過去の詮索もしない。
「……でも、よく私たちがここにいるのがわかったな、ぬか娘よ」
泥だらけのアルテマが仏頂面で尋ねた。
ぬか娘は、そんなアルテマをどう世話してやったらいいか悩みながら、
「うん、起きたら携帯無かったしアルテマちゃんもいなくなってたから……だいたいの事情は察しちゃってね。で、モジョを訪ねてもいないし……そこから先は匂いを辿ってきたんだよ。あ、あそこの水道を借りよう」
「……ア、アニオタみたいなことをするな」
農機具の洗浄用に設置された公共の水場へアルテマを誘導するぬか娘。
そこのホースでアルテマを洗ってやるつもりである。
「へぇ~~~~。それであのゴーレムに手こずっちゃってるんだ?」
「ああ……魔法が使えないからな……抵抗しようにも、どうにもならない」
ジョボジョボと頭から水をかけられ泥を流されるアルテマとモジョ。
二人とも手を合わせ滝修行の精神統一ポーズを取っている。
どうしてもやってしまうらしい。
それはともかく。
「でも、だったらなにか方法を考えないと……元さんが……」
「わかっている。しかし方法と言っても……なんとかダメージを与えて制圧するしかないだろうな……」
「……ダメージか……魔法無しでいけるか?」
不安げにモジョが聞く。
アルテマは胸元を開けて中の泥も洗い流しつつ、
「……アイアンゴーレムは鉄の塊だからな。普通の剣では切れんし、殴っても倒せない。有効なのは私の〝アモン〟などの炎魔法で溶かすことだが、使えないしな……」
「……じゃあワイヤーカッターとかでちょん切るとか?」
ぬか娘の提案にモジョがうなずく。
しかしアルテマは首を振って、
「……いや、抵抗をかいくぐって切れたとしても倒してしまったら意味がない。そうなると電脳開門揖盗《サイバー・デモン・ザ・ホール》どころか普通の〝いんたーねっと〟もできなくなるぞ」
「断固却下する!!」
恐ろしい想像に震え上がるモジョ。
もしここにアニオタもいたら恐怖の再来に脱糞しているかもしれない。
「……そうか……倒しちゃったらダメなんだよね。弱らして言うことを聞かせなきゃいけないんだよね?」
難問に頭をひねるぬか娘。
戦闘力が皆無のこの三人。
アイアンゴーレムの魔物レベルは、アルテマの感覚で計って〝中級の上〟
ただのニートと幼女が、どうやってそんな鋼鉄製の精霊を屈服させられると言うのだろう? そんな方法があるのだろうか??
悩む三人だが――――。
「ん~~~~……ん? ……んんん?? 精霊……精霊……。ねえ、アルテマちゃん、精霊ってどっち属性なわけ?」
なにか思い当たったらしくぬか娘が聞いてきた。
「……精霊は自然由来の精神体だからな。悪魔も天使もない。言うなれば無属性だな」
そんな答えに。
「なぁんだ……」
ガックリと肩を落とすぬか娘。
「……なんだ、なにか思いついていたのか?」
モジョの質問に、
「えっとね。ジルさんってエルフでしょ? だったらクロードと同じく神聖魔法なのかなって……」
「ああ、そうか……それならその鎧(鏡)で跳ね返せるものな。……しかし無属性ならば効果はないか……」
アルテマを見つめる二人。
彼女は話を聞いて、何かを考え込んでいる。
「……いや、意外と良いアイデアかもしれないな……」
「い、いやちょっとアルテマちゃん……押さないで、押さないで!?」
アルテマとモジョ。
二人にグイグイと背中を押され、嫌がるぬか娘。
「もうちょっと、ほんとギリギリまで近づかんと効果がないんだ」
「え~~~~でもちょっと待ってよ!?? 怖いんですケド!??」
「いいから!! アイツは凶暴だが人を殺そうとはしない。きっとコッチの世界の住人に迷惑をかけないよう、師匠がそう命令を与えているんだ」
ぬか娘が装備している逆神の鏡。
神聖魔法ならすべてを反射する、とっても強力な魔法具。
しかし今回使うのはその付属品『魔素回収用付属空中線《ブラッディーソード》』の方だった。
空間、生物問わず、魔法力の源となる魔素を吸収するイカれた魔剣。
クロードも弱らせたこの剣を使って、今度はゴーレムの元気も削いでしまおうとの作戦である。
「でもでも引っ叩かれるんでしょ!?? イヤなんですけど!? 田んぼに落とされるの、私イヤなんですけど!?? てかもう作戦じゃなくてガチンコの殴り合いにしかなりそうにないんですケド~~~~~~~~~~っ!!!!」
悲鳴もむなしく、VSアイアンゴーレム第2ラウンドのゴングが鳴った。
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