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第146話 なんで!?
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数日後。
「届いたでござるよ~~」
いつもの種芋と一緒に、手配していた無線機が到着した。
軽トラから荷物を下ろしつつアニオタ、ヨウツベ、ぬか娘が手を振る。
「おお、ご苦労。ようやく届いたか」
幾本もの丸太で補修した橋。それを渡って六段が手伝いに歩いていく。
「ちょっと聞いてよ~~六段さん。さっき村の観光協会の人から『正式にヒーローとして登録しませんか?』って誘われちゃったんだけど~~」
芋の箱を渡しながら、ぬか娘が照れ笑いした。
「なに、ヒーロー……? ……お前がか? …………その格好でか……?」
「そうよ。なんか最近だんだん人気出てきちゃって……他県からも応援してくれる人が来てくれちゃったりして、えへへ~~」
「動画の再生数も伸びてきましたからね。登録者もいよいよ一万人を超えましたし、今日だってギャラリーで道端は満杯でしたよ」
ほくほく顔のヨウツベ。
動画の評判が評判をよんで、いつのまにか『マジカル☆ミコブラック』は人気チャンネルになりつつあった。
主役のアルテマも人気だが、最近になってぬか娘の株が爆上がりし、ちまたではファンクラブもできているやらいないやら。
「……なんか知らんが……地域のためになるのだったらいいんじゃないか? 仕事にもなるのだろう?」
「うん。登録すればイベントとか物販とかいろいろマネジメントしてくれるって。どうしよう~~私、いつのまにかアイドルみたいになっちゃってる~~」
「そうか。まぁなんにせよ子供たちの夢は壊さんようにな」
「もちろん。がんばるよ、えへへ」
笑い合いながら集落に戻っていく二人。
その背を見送りながらヨウツベとアニオタはつぶやいた。
「子供っても大きな子供でござるがな」
「夢を壊すな、とは……。……もう少しローアングルから攻めたほうが良いってことかな……」
「おお、ご苦労さん。種は今回で最後じゃな?」
校庭の真ん中に積まれた荷物。
それを確認しながら元一が笑った。
かれこれ何回送っただろうか?
じゃがいも、さつまいも、蕎麦、アワ、ヒエ、それぞれの種や苗10トン分。
少しずつ送ってきたがようやくこれですべてが終わる。
ジルからの報告で、最初に送った分の蕎麦はもう発芽しているとのこと。
感激で涙ながらに感謝してくれた。
痩せた土地の上、日当たりも悪い帝国で、こんなにも早い成長をしてくれる穀物は存在しなかったとアルテマも感動してくれたし。なにより美味い。
そばつゆ(濃縮タイプ)も後で送ってやる準備をしているし、蕎麦の打ち方を記した本もアルテマが翻訳している最中である。
そして新たな支援品である無線機も手に入れることができた。
免許うんぬんの問題はどうしたのか気になったが、そこはまぁ知らぬが仏の精神で見て見ぬふりをしている。
「ひとまずは順調じゃの」
「そうだな」
もろもろの問題はまだ山積みだが、一つ一つ着実に片付けて行けばいいんじゃ。
運び疲れてへばっている若者三人を見ながらうなずき合う元一と六段。
そこに、
「大変だぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
大声を張り上げながら大慌てでアルテマが走ってきた。
……どうやら前言は撤回しないといけないみたいじゃの。
二人は顔を見合わせ頭を掻いた。
「どうしたんじゃどうしたんじゃ、そんなに慌てて走るとすっ転ぶ――――」
言ってるそばからズザザザザーーーー。
地面に顔面を擦り付けるアルテマを見て、目を覆う元一。
「ぶわぁぁぁぁぁぁ~~~~」
泣き出すアルテマを六段が拾い上げ、座らせる。
「何をそんなに……?」
「繋がらんのだ!! 開門揖盗《デモン・ザ・ホール》が繋がらなくなったのだ!!」
「はぁ!?」
泣きじゃくるアルテマに、なんだなんだと若者たちも集まりだした。
「……え? それホントなのアルテマちゃん??」
「本当だ!! いくら呪文を唱えてもウンともスンとも言わないんだ!!」
「なんてこった……いよいよですか? しかしそうなるにはまだ時間があるはずでは……?」
「そのはずだ!! でもとにかく繋がらないんだ!!」
「じゃじゃじゃ、じゃあ、ルナとぅわんと僕の愛はどうなるので!?」
「……アモン」
力言葉を唱えると、アルテマの手に黒いアモンの炎が浮かび上がった。
ここは飲兵衛の家。
「ほうほう……ほかの魔法は使えるんやな? そしたら体調がどうのこうのと言うわけじゃあらへんみたいやな……ヒック」
聴診器をおでこにあてながらアルテマを診察する飲兵衛。
しかしどこも悪いところはなく(?)どうやら体調不良が原因で開門揖盗《デモン・ザ・ホール》が使えなくなったわけではなさそう。
「……私は最初、峡谷が閉じてしまい信仰が届かなくなってしまったのかと思ったのだ。しかしこれこの通り、アモンは問題なく使えている。なのに開門揖盗《デモン・ザ・ホール》だけ使えないっていうのは私自身の問題としか……」
落ち込むアルテマ。
アニオタはもっと落ち込んでいる。
「……くそう、こうしている間にも帝国はどんどん追い詰められていっているというのに……なんて不甲斐ないんだ私のバカバカバカバカ!!」
「と、とりあえず占いさんに話を聞いてみたほうがええの。魔法のことはやっぱりあの人が詳しいはずじゃから」
元一が提案すると、
「いや……病気なんじゃないかって、いの一番にここに運んできたのゲンさんですよね? ……まったく、アルテマさんの事となったらとたんにドジになるんですから」
ヨウツベに言われて面目ないと首をすぼめる元一。
飲兵衛は一升瓶片手に占いさんへと連絡をとってくれた。
「届いたでござるよ~~」
いつもの種芋と一緒に、手配していた無線機が到着した。
軽トラから荷物を下ろしつつアニオタ、ヨウツベ、ぬか娘が手を振る。
「おお、ご苦労。ようやく届いたか」
幾本もの丸太で補修した橋。それを渡って六段が手伝いに歩いていく。
「ちょっと聞いてよ~~六段さん。さっき村の観光協会の人から『正式にヒーローとして登録しませんか?』って誘われちゃったんだけど~~」
芋の箱を渡しながら、ぬか娘が照れ笑いした。
「なに、ヒーロー……? ……お前がか? …………その格好でか……?」
「そうよ。なんか最近だんだん人気出てきちゃって……他県からも応援してくれる人が来てくれちゃったりして、えへへ~~」
「動画の再生数も伸びてきましたからね。登録者もいよいよ一万人を超えましたし、今日だってギャラリーで道端は満杯でしたよ」
ほくほく顔のヨウツベ。
動画の評判が評判をよんで、いつのまにか『マジカル☆ミコブラック』は人気チャンネルになりつつあった。
主役のアルテマも人気だが、最近になってぬか娘の株が爆上がりし、ちまたではファンクラブもできているやらいないやら。
「……なんか知らんが……地域のためになるのだったらいいんじゃないか? 仕事にもなるのだろう?」
「うん。登録すればイベントとか物販とかいろいろマネジメントしてくれるって。どうしよう~~私、いつのまにかアイドルみたいになっちゃってる~~」
「そうか。まぁなんにせよ子供たちの夢は壊さんようにな」
「もちろん。がんばるよ、えへへ」
笑い合いながら集落に戻っていく二人。
その背を見送りながらヨウツベとアニオタはつぶやいた。
「子供っても大きな子供でござるがな」
「夢を壊すな、とは……。……もう少しローアングルから攻めたほうが良いってことかな……」
「おお、ご苦労さん。種は今回で最後じゃな?」
校庭の真ん中に積まれた荷物。
それを確認しながら元一が笑った。
かれこれ何回送っただろうか?
じゃがいも、さつまいも、蕎麦、アワ、ヒエ、それぞれの種や苗10トン分。
少しずつ送ってきたがようやくこれですべてが終わる。
ジルからの報告で、最初に送った分の蕎麦はもう発芽しているとのこと。
感激で涙ながらに感謝してくれた。
痩せた土地の上、日当たりも悪い帝国で、こんなにも早い成長をしてくれる穀物は存在しなかったとアルテマも感動してくれたし。なにより美味い。
そばつゆ(濃縮タイプ)も後で送ってやる準備をしているし、蕎麦の打ち方を記した本もアルテマが翻訳している最中である。
そして新たな支援品である無線機も手に入れることができた。
免許うんぬんの問題はどうしたのか気になったが、そこはまぁ知らぬが仏の精神で見て見ぬふりをしている。
「ひとまずは順調じゃの」
「そうだな」
もろもろの問題はまだ山積みだが、一つ一つ着実に片付けて行けばいいんじゃ。
運び疲れてへばっている若者三人を見ながらうなずき合う元一と六段。
そこに、
「大変だぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
大声を張り上げながら大慌てでアルテマが走ってきた。
……どうやら前言は撤回しないといけないみたいじゃの。
二人は顔を見合わせ頭を掻いた。
「どうしたんじゃどうしたんじゃ、そんなに慌てて走るとすっ転ぶ――――」
言ってるそばからズザザザザーーーー。
地面に顔面を擦り付けるアルテマを見て、目を覆う元一。
「ぶわぁぁぁぁぁぁ~~~~」
泣き出すアルテマを六段が拾い上げ、座らせる。
「何をそんなに……?」
「繋がらんのだ!! 開門揖盗《デモン・ザ・ホール》が繋がらなくなったのだ!!」
「はぁ!?」
泣きじゃくるアルテマに、なんだなんだと若者たちも集まりだした。
「……え? それホントなのアルテマちゃん??」
「本当だ!! いくら呪文を唱えてもウンともスンとも言わないんだ!!」
「なんてこった……いよいよですか? しかしそうなるにはまだ時間があるはずでは……?」
「そのはずだ!! でもとにかく繋がらないんだ!!」
「じゃじゃじゃ、じゃあ、ルナとぅわんと僕の愛はどうなるので!?」
「……アモン」
力言葉を唱えると、アルテマの手に黒いアモンの炎が浮かび上がった。
ここは飲兵衛の家。
「ほうほう……ほかの魔法は使えるんやな? そしたら体調がどうのこうのと言うわけじゃあらへんみたいやな……ヒック」
聴診器をおでこにあてながらアルテマを診察する飲兵衛。
しかしどこも悪いところはなく(?)どうやら体調不良が原因で開門揖盗《デモン・ザ・ホール》が使えなくなったわけではなさそう。
「……私は最初、峡谷が閉じてしまい信仰が届かなくなってしまったのかと思ったのだ。しかしこれこの通り、アモンは問題なく使えている。なのに開門揖盗《デモン・ザ・ホール》だけ使えないっていうのは私自身の問題としか……」
落ち込むアルテマ。
アニオタはもっと落ち込んでいる。
「……くそう、こうしている間にも帝国はどんどん追い詰められていっているというのに……なんて不甲斐ないんだ私のバカバカバカバカ!!」
「と、とりあえず占いさんに話を聞いてみたほうがええの。魔法のことはやっぱりあの人が詳しいはずじゃから」
元一が提案すると、
「いや……病気なんじゃないかって、いの一番にここに運んできたのゲンさんですよね? ……まったく、アルテマさんの事となったらとたんにドジになるんですから」
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