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第132話 騙し合いは続いているぞ?
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二人のやり取りを聞いていた元一たちは、思いもよらない展開に、顔を見合わせ困惑していた。
「……おいおいアルテマのやつ、あの馬鹿、手懐けおったぞ?」
「え? なに? じゃああいつ……これから味方になってくれるの??」
「い、い、いや……味方というか、と、と、取引に応じたって感じだね」
「無用な戦いを避け、口八丁で相手を丸め込める。これこそ知将の戦い方というもんや。腕っぷしだけが強さやあらへんで、ヒック。かかかか」
「う~~~~ん……絵的にはアクションが欲しかったところですが……。まぁいいでしょう」
「……ふん、さすがアルテマじゃ。」
言いつつも、元一はなぜか残念そうに銃をおろした。
停戦の証にと、握手を求めるアルテマ。
クロードは不敵に笑うと『いいだろう』と歩みを進める。
「あ、バカ……」
ぬか娘のつぶやきと同時。
――――ボスッ!!
音がしたかと思うとクロードの姿が消えていた。
かわりに空いた大きな穴。
その底から『おのれアルテマ!! またしても図りおったなーーーー!!』と大声が空へと突き抜けていった。
「お前……やっぱりバカなんだなぁ」
シャワー上がりのクロードに、心底あきれた顔を向けるアルテマ。
自ら掘った落とし穴に落ちたバカは、家畜の堆肥まみれになっていた。
早いとこ話を進めたかったがこのままじゃ臭くてかなわない。
なので嫌々ながらもヨウツベたちは『鉄の結束荘』のお風呂を貸してあげていた。
「誰がバカだ誰が!! 本当ならば毒水か槍の穂先でも仕掛けてやってもよかったのだーーーーっ!! しかしこの世界ではシャレにならんから動物の糞尿にまけてやったのだ、そこは感謝してもらおう!!」
「いや、問題はそこじゃなく。落ちたお前の知能を言っているのだが……」
もしかしたら引っかかるかな? と、半ば悪戯で握手を求めてやった。
したら、まんまというか信じられないというか、この男はつい今しがた誘っていた自分の行為など忘れて、自信満々一歩を踏み出した。
やはり鳥頭だなと、ある意味スゴイと感心すらしてしまう。
「おい、風呂上がりのイチゴ牛乳はないのか? ――――ないだと? なんてことだ、入浴後のイチゴ牛乳は聖王国の熟成エールに匹敵する美味さだというのになんて気の利かない連中だっ!!」
聞く耳持たず、クロードはなにやら図々しいことを喚き散らしながらボロボロの長椅子に座った。
「アルテマちゃんこいつ殴っていいかなぁ?」
「後でな。いまはややこしくなるから堪えてくれ」
「そういえばモジョの姿がないな?」
「ああ、彼女ならまだ部屋で寝てますよ。なんでも昨日イタリアのチームと艦隊戦で頂上決戦をやってたみたいですから」
「またゲームか……よくわからんが、よくやるのう」
「ゲンさんもやってみたらどうです? ボケ防止になりますよ」
「撃たれたいのか? それとも射抜いてやろうか?」
などと喋りながら集落のメンバーはクロードを囲った。
それぞれ武器を手にしながら。
彼はそれを見て薄く笑うと、
「べつにここまで来て暴れたりはしないさ。お前も無防備な私を集団で襲うなど卑怯な真似はするまい? ……そこまで落ちてはいないよな?」
余裕の笑みで両手を上げつつアルテマを見てやる。
正直、やってやる予定だった、とは言わず『まあな』と返事をするアルテマ。
「では、取引をしようじゃないか。俺はお前たちに手出しをしないことを約束した。次はお前が出す番だぞアルテマよ」
「望むものは異世界の情報だったな」
アルテマは口をへの字に曲げ、しばし考える。
そして口を開けると、
「私にとっては残念なのだが……。いま現在、聖王国は戦力を立て直し、再攻勢に出ている」
「おお!!」
「すでに一度は取り返したザダブ水門も再び占領され、帝国軍は敗走。多くの兵を失った上に水の供給も絶たれ、戦線は著しく後退している」
「なんと!? では聖王国の勝利は間近ではないのか!?」
「……そうだな。帝国は私を含め、名のある将はことごとく討ち取られ、もはや帝都もその半分を占領されていると聞いた」
「すばらしい!! 我が聖王国バンザイではないか!!」
話を聞いて大喜びするクロード。
ぬか娘は明後日の方向を向いて???をいっぱい頭に浮かべた。
「ねえねえ、帝国っていつの間にそんな負けてたの?? 水門って取り返したよね? 解毒も進んでいるはずだし。ほかに取られた街もどんどん取り返して……もがもが」
本当のことを喋ろうとするぬか娘。
その頭をヘッドロックで捻りながらヨウツベがヒソヒソと耳打ちする。
「いいんだよこれで。本当のことを教えてやる必要なんてないんだから。せいぜいあいつの喜びそうな話をでっち上げて大人しくさせようっていうアルテマさんの作戦だよ、これは」
「そ、そ、そうなんだな。実は押してるのは帝国の方だと知れたらク、ク、クロードはまた邪魔をするかもしれないんだな」
「もがもが……な、なるほど。口約束だけでは信用できないもんね。情報を教えると言っておいて実は嘘で操ると……かぁ~~~~アルテマちゃん悪だねぇ。でも可愛いからそれもまたよし……もがもが」
「ま、伊達に魔族ではないってことでしょうね」
「……おいおいアルテマのやつ、あの馬鹿、手懐けおったぞ?」
「え? なに? じゃああいつ……これから味方になってくれるの??」
「い、い、いや……味方というか、と、と、取引に応じたって感じだね」
「無用な戦いを避け、口八丁で相手を丸め込める。これこそ知将の戦い方というもんや。腕っぷしだけが強さやあらへんで、ヒック。かかかか」
「う~~~~ん……絵的にはアクションが欲しかったところですが……。まぁいいでしょう」
「……ふん、さすがアルテマじゃ。」
言いつつも、元一はなぜか残念そうに銃をおろした。
停戦の証にと、握手を求めるアルテマ。
クロードは不敵に笑うと『いいだろう』と歩みを進める。
「あ、バカ……」
ぬか娘のつぶやきと同時。
――――ボスッ!!
音がしたかと思うとクロードの姿が消えていた。
かわりに空いた大きな穴。
その底から『おのれアルテマ!! またしても図りおったなーーーー!!』と大声が空へと突き抜けていった。
「お前……やっぱりバカなんだなぁ」
シャワー上がりのクロードに、心底あきれた顔を向けるアルテマ。
自ら掘った落とし穴に落ちたバカは、家畜の堆肥まみれになっていた。
早いとこ話を進めたかったがこのままじゃ臭くてかなわない。
なので嫌々ながらもヨウツベたちは『鉄の結束荘』のお風呂を貸してあげていた。
「誰がバカだ誰が!! 本当ならば毒水か槍の穂先でも仕掛けてやってもよかったのだーーーーっ!! しかしこの世界ではシャレにならんから動物の糞尿にまけてやったのだ、そこは感謝してもらおう!!」
「いや、問題はそこじゃなく。落ちたお前の知能を言っているのだが……」
もしかしたら引っかかるかな? と、半ば悪戯で握手を求めてやった。
したら、まんまというか信じられないというか、この男はつい今しがた誘っていた自分の行為など忘れて、自信満々一歩を踏み出した。
やはり鳥頭だなと、ある意味スゴイと感心すらしてしまう。
「おい、風呂上がりのイチゴ牛乳はないのか? ――――ないだと? なんてことだ、入浴後のイチゴ牛乳は聖王国の熟成エールに匹敵する美味さだというのになんて気の利かない連中だっ!!」
聞く耳持たず、クロードはなにやら図々しいことを喚き散らしながらボロボロの長椅子に座った。
「アルテマちゃんこいつ殴っていいかなぁ?」
「後でな。いまはややこしくなるから堪えてくれ」
「そういえばモジョの姿がないな?」
「ああ、彼女ならまだ部屋で寝てますよ。なんでも昨日イタリアのチームと艦隊戦で頂上決戦をやってたみたいですから」
「またゲームか……よくわからんが、よくやるのう」
「ゲンさんもやってみたらどうです? ボケ防止になりますよ」
「撃たれたいのか? それとも射抜いてやろうか?」
などと喋りながら集落のメンバーはクロードを囲った。
それぞれ武器を手にしながら。
彼はそれを見て薄く笑うと、
「べつにここまで来て暴れたりはしないさ。お前も無防備な私を集団で襲うなど卑怯な真似はするまい? ……そこまで落ちてはいないよな?」
余裕の笑みで両手を上げつつアルテマを見てやる。
正直、やってやる予定だった、とは言わず『まあな』と返事をするアルテマ。
「では、取引をしようじゃないか。俺はお前たちに手出しをしないことを約束した。次はお前が出す番だぞアルテマよ」
「望むものは異世界の情報だったな」
アルテマは口をへの字に曲げ、しばし考える。
そして口を開けると、
「私にとっては残念なのだが……。いま現在、聖王国は戦力を立て直し、再攻勢に出ている」
「おお!!」
「すでに一度は取り返したザダブ水門も再び占領され、帝国軍は敗走。多くの兵を失った上に水の供給も絶たれ、戦線は著しく後退している」
「なんと!? では聖王国の勝利は間近ではないのか!?」
「……そうだな。帝国は私を含め、名のある将はことごとく討ち取られ、もはや帝都もその半分を占領されていると聞いた」
「すばらしい!! 我が聖王国バンザイではないか!!」
話を聞いて大喜びするクロード。
ぬか娘は明後日の方向を向いて???をいっぱい頭に浮かべた。
「ねえねえ、帝国っていつの間にそんな負けてたの?? 水門って取り返したよね? 解毒も進んでいるはずだし。ほかに取られた街もどんどん取り返して……もがもが」
本当のことを喋ろうとするぬか娘。
その頭をヘッドロックで捻りながらヨウツベがヒソヒソと耳打ちする。
「いいんだよこれで。本当のことを教えてやる必要なんてないんだから。せいぜいあいつの喜びそうな話をでっち上げて大人しくさせようっていうアルテマさんの作戦だよ、これは」
「そ、そ、そうなんだな。実は押してるのは帝国の方だと知れたらク、ク、クロードはまた邪魔をするかもしれないんだな」
「もがもが……な、なるほど。口約束だけでは信用できないもんね。情報を教えると言っておいて実は嘘で操ると……かぁ~~~~アルテマちゃん悪だねぇ。でも可愛いからそれもまたよし……もがもが」
「ま、伊達に魔族ではないってことでしょうね」
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