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第109話 第二ラウンド①
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「さあ、お前たち!! 九郎が相手をしているうちに撤収しますよ!! そして策を練ってもう一度出直しです!!」
叫ぶと、偽島はひとりさっさと車に乗り込み、発進させようとする。
「ちょ……ま、待ってくださいよ……!!」
部下を川から引っ張り上げながら慌てる現場監督。
全身がヒリヒリして動きづらい。
あの巫女の魔法で軽い火傷を負ってしまっている。
先日まで、あの黒い炎は何かのトリックだと思っていたが、改めて身を焼かれ確信した。
これは……やはり種も仕掛けも何もない、本物の魔法なのだと。
その証拠に自分たち人間はみな軽症ですまされているが、クレーンやトラックなどは内装が熱で溶かされ、タイヤもパンクしてしまっている。
これは相手を選んで威力を調整しているということ。
火薬を使ったトリックならこんな器用なことはできまい。
魔法の炎を灯し威圧的に睨んでくるアルテマ。
彼女を振り返って、背筋をふるわせた。
「す、すまん九郎。ここは任せた!!」
「クロード、だ。さっさと連れていくがいい。雑兵とはいえ貴重な戦力だ。無駄にはするなよ?」
異世界で聖騎士をやっていたなどと聞いたときには、ヤバい奴が現れたもんだと思ったものだが、この男……どうやら言っていることは本当らしい。
歳に似合わぬ落ち着きっぷりで、勇ましく殿《しんがり》を買って出てくれた。
「ふふふ……ふははははははははははは!! 昨日はいいところで邪魔が入ってしまったが。今日はそうはいかんぞアルテマよ!!」
両手にラグエルを掲げつつ、傾いた橋の真ん中をずんずんと進んでいくクロード。
入れ替わるように監督たちが岸に上がり、散り散りに逃げていく。
それを確認すると偽島は、
「九郎、もういいですよ!! 退避は終わりました。あなたも戻ってきなさい。帰って作戦を練り直しますよ!!」
「……言っているがいいのか? あれはいまの雇い主なのだろう?」
近づいてくるクロードを、不敵に睨みながら皮肉を言ってやるアルテマ。
聞いたクロードは薄く笑い、
「……俺もここでの生活があるのでな。……不本意ながらバイト代をもらっているだけのこと。しかし俺の真の目的はアルテマ。貴様の首だ!!」
「……ここでの生活か。お前はどこに転移してきたというのだ?」
「東京の――――とある山中だよ!!」
――――ゴッ!!
答えると同時に片方のラグエルを投げ放つ!!
「東京だと? それは確か……この国の首都の名。なぜそんなところに!?」
飛んできたラグエルをかわすとカウンター気味にアモンを打ち返す!!
「知るか、谷に落ちて気がついたらそこにいた!!」
橋に着弾し、燃え広がるアモンの炎を流れる足さばきで避ける。さらにラグエルを放ち、そして次の魔法を唱え始める。
「15年と言っていたがあれは何のことだ!?」
木の陰にダイブしながら二発目のラグエルもかわすアルテマ。
六段は逆方向に距離を取り、ヨウツベとぬか娘は上で、ようすをハラハラしながら録画していた。
「俺がお前を探した年数だ!! ……この地に落ちて俺はなぜか子供の姿になっていた、それから15年……苦労に苦労を重ね今日まで生き、そしてやっとお前を見つけたのだ!! ――――ザキエル!!」
水面に向かってザキエルを放つ!!
風を操り竜巻を生み出すザキエルの魔法は、川の水を巻き、大きな水の柱を作り出した。
高速で回転するその柱の中には川底の砂利も混ざり、強力な遠心力で加速されたそれは、尖った水滴とともに散弾のように射出された!!
――――ド、ドドドドドドドドドドドドッ!!!!
「ぐ、ぐわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「――――くっ!?」
「きゃあぁぁぁぁっ!!」
「おっととととと!? これは凄い攻撃だ!! いいですよ迫力満点です!!」
石礫《いしつぶて》に撃たれ、土がえぐれて草は飛び散り、樹木の皮はめくれ上がり、校舎はまた穴だらけになった。
六段とアルテマは木の陰に隠れ、なんとか無事だったが校舎の損壊がひどい。
このまま攻撃をくらい続けたら、またケーブルやらなにやらが切断され再びモジョやアニオタがおかしくなりかねない。
ヨウツベは大興奮でカメラを回しているが、あの二人はまだ寝ているようだ。
アルテマは最大級のアモンを準備して、
「15年も前にこの世界に来ていたというのか!? 馬鹿な、あの谷に落ちたのは私のほうが先のはず!?? お前の言っていることはおかしいぞ!?」
「お前こそ何を言っているアルテマ!! お前も15年前にこの地に落ちたのだろう!? それも私より半年前に!!」
石礫の隙間をかいくぐり、アルテマは竜巻《ザキエル》の前に躍り出る。
そしてその中心、目にあたる場所めがけて手加減なしのアモンをぶち込んだ!!
「私がこの地に来たのはつい、ひと月ほど前の話だっ!!」
――――ドッ!!
本来のアモンの熱は岩をも溶かし、鉄を消滅させる。
いまのアルテマではそこまでの威力は出せないが、それでも水を爆発霧散させるには、充分の熱をもたせることはできていた。
その極熱の火を中に取り込んでしまった水の柱は、
――――ドッッッッッッッッバァァァァァァァァァァンッ!!!!
と周囲の全てを弾き飛ばし、爆発した!!
叫ぶと、偽島はひとりさっさと車に乗り込み、発進させようとする。
「ちょ……ま、待ってくださいよ……!!」
部下を川から引っ張り上げながら慌てる現場監督。
全身がヒリヒリして動きづらい。
あの巫女の魔法で軽い火傷を負ってしまっている。
先日まで、あの黒い炎は何かのトリックだと思っていたが、改めて身を焼かれ確信した。
これは……やはり種も仕掛けも何もない、本物の魔法なのだと。
その証拠に自分たち人間はみな軽症ですまされているが、クレーンやトラックなどは内装が熱で溶かされ、タイヤもパンクしてしまっている。
これは相手を選んで威力を調整しているということ。
火薬を使ったトリックならこんな器用なことはできまい。
魔法の炎を灯し威圧的に睨んでくるアルテマ。
彼女を振り返って、背筋をふるわせた。
「す、すまん九郎。ここは任せた!!」
「クロード、だ。さっさと連れていくがいい。雑兵とはいえ貴重な戦力だ。無駄にはするなよ?」
異世界で聖騎士をやっていたなどと聞いたときには、ヤバい奴が現れたもんだと思ったものだが、この男……どうやら言っていることは本当らしい。
歳に似合わぬ落ち着きっぷりで、勇ましく殿《しんがり》を買って出てくれた。
「ふふふ……ふははははははははははは!! 昨日はいいところで邪魔が入ってしまったが。今日はそうはいかんぞアルテマよ!!」
両手にラグエルを掲げつつ、傾いた橋の真ん中をずんずんと進んでいくクロード。
入れ替わるように監督たちが岸に上がり、散り散りに逃げていく。
それを確認すると偽島は、
「九郎、もういいですよ!! 退避は終わりました。あなたも戻ってきなさい。帰って作戦を練り直しますよ!!」
「……言っているがいいのか? あれはいまの雇い主なのだろう?」
近づいてくるクロードを、不敵に睨みながら皮肉を言ってやるアルテマ。
聞いたクロードは薄く笑い、
「……俺もここでの生活があるのでな。……不本意ながらバイト代をもらっているだけのこと。しかし俺の真の目的はアルテマ。貴様の首だ!!」
「……ここでの生活か。お前はどこに転移してきたというのだ?」
「東京の――――とある山中だよ!!」
――――ゴッ!!
答えると同時に片方のラグエルを投げ放つ!!
「東京だと? それは確か……この国の首都の名。なぜそんなところに!?」
飛んできたラグエルをかわすとカウンター気味にアモンを打ち返す!!
「知るか、谷に落ちて気がついたらそこにいた!!」
橋に着弾し、燃え広がるアモンの炎を流れる足さばきで避ける。さらにラグエルを放ち、そして次の魔法を唱え始める。
「15年と言っていたがあれは何のことだ!?」
木の陰にダイブしながら二発目のラグエルもかわすアルテマ。
六段は逆方向に距離を取り、ヨウツベとぬか娘は上で、ようすをハラハラしながら録画していた。
「俺がお前を探した年数だ!! ……この地に落ちて俺はなぜか子供の姿になっていた、それから15年……苦労に苦労を重ね今日まで生き、そしてやっとお前を見つけたのだ!! ――――ザキエル!!」
水面に向かってザキエルを放つ!!
風を操り竜巻を生み出すザキエルの魔法は、川の水を巻き、大きな水の柱を作り出した。
高速で回転するその柱の中には川底の砂利も混ざり、強力な遠心力で加速されたそれは、尖った水滴とともに散弾のように射出された!!
――――ド、ドドドドドドドドドドドドッ!!!!
「ぐ、ぐわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「――――くっ!?」
「きゃあぁぁぁぁっ!!」
「おっととととと!? これは凄い攻撃だ!! いいですよ迫力満点です!!」
石礫《いしつぶて》に撃たれ、土がえぐれて草は飛び散り、樹木の皮はめくれ上がり、校舎はまた穴だらけになった。
六段とアルテマは木の陰に隠れ、なんとか無事だったが校舎の損壊がひどい。
このまま攻撃をくらい続けたら、またケーブルやらなにやらが切断され再びモジョやアニオタがおかしくなりかねない。
ヨウツベは大興奮でカメラを回しているが、あの二人はまだ寝ているようだ。
アルテマは最大級のアモンを準備して、
「15年も前にこの世界に来ていたというのか!? 馬鹿な、あの谷に落ちたのは私のほうが先のはず!?? お前の言っていることはおかしいぞ!?」
「お前こそ何を言っているアルテマ!! お前も15年前にこの地に落ちたのだろう!? それも私より半年前に!!」
石礫の隙間をかいくぐり、アルテマは竜巻《ザキエル》の前に躍り出る。
そしてその中心、目にあたる場所めがけて手加減なしのアモンをぶち込んだ!!
「私がこの地に来たのはつい、ひと月ほど前の話だっ!!」
――――ドッ!!
本来のアモンの熱は岩をも溶かし、鉄を消滅させる。
いまのアルテマではそこまでの威力は出せないが、それでも水を爆発霧散させるには、充分の熱をもたせることはできていた。
その極熱の火を中に取り込んでしまった水の柱は、
――――ドッッッッッッッッバァァァァァァァァァァンッ!!!!
と周囲の全てを弾き飛ばし、爆発した!!
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