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第77話 アニオタの乱⑨
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もうかれこれ数十体は倒したはずだ。
しかしいまだに悪魔は次々と現れ、その数はむしろ増えていっている。
「黒炎竜刃《アモン》!!」
――――どごぉぉぉぉおおぉっ!!!!
手加減のない火炎魔法が夜空を焦がす。
その炎に溶かされ、さらに十数体の悪魔が姿を消していった。
もういちいち婬眼《フェアリーズ》で確認することもなくなった。
一体一体はそれほど強くもない低級悪魔。
とにかく何も考えず、片っ端から片付けていく。
「く……ま、まだ出てくるのか……そ、そろそろ腕がしびれてきおったぞ」
額に玉の汗をかきながら元一が息を切らせている、
「ゲンさん、あんたはいったん下がれ!! 代わりにぬか娘、前へ!!」
六段の呼びかけに、無反応のぬか娘。
顔面をアニオタの唾液でデロデロにされて、ショックで寝込んでいた。
「……こ、こいつ……やくに立たねぇ!!」
「言ってやるな……おぼこ娘にとってはショックだったんじゃろうよ」
2日連続で、男に襲われたのだ。
それもこんなキモオタに……。
そりゃいいかげん心も折れるわなと元一は彼女に深く同情する。
隙きを突いて悪魔の一体がまたアニオタの身体に侵入した。
「し、しまったっ!! また!?」
アルテマが舌打ちすると、
『ああ~~~~やっぱり生身の肉体は良いわぁ~~。もう色々どこでも感じちゃう♡ 男でも女でもどっちでもいいわ、アチキと数百年ぶりの契を結ぼうぞ~~~~♡』
くねくね腰を踊らせながら色気を振りまきだすアニオタ、もとい、名も知らぬ低級悪魔。
「「お……おえ~~~~!!」」
しかし、振っても出でるのは色気ではなく気持ち悪さだけ。
三人は口を抑えて吐くのを我慢する。
『あら、この子可愛いわね。じゃ、手始めはこの子でいいわ、うふふふふふふふふふふ♡』
悪魔はアルテマに目を止めた。
その目がポンッっとハートマークに変わり、だらりと涎も垂らしてくる。
そして激しく地面を蹴ると、猛スピードでアルテマに突進してきた!!
『お嬢ちゃん、アチキといいことしましょうぞ~~~~♡』
「げっ!?」
「アルテマ!?」
「ぬ、イカン!!」
止めようと元一と六段が動くが、悪魔のほうが一歩早い。
歪んだ発情で興奮しきったアニオタ(悪魔)が汚い涎を垂らしまくり、アルテマに抱きつく。
「くっ!? こ、こら、やめんかっ!??」
そこに、
――――ざんっ!!!!
閃光のごとく赤い影が現れた。
影は目に見えぬほどの鋭い動きで剣を振るうと、
ザシュゥゥゥゥゥ!!!!
『う……うぎゃあっ!!!!』
一刀のもとにアニオタ(悪魔)を袈裟斬りにした!!
そして影は、転がり苦しむアニオタ(悪魔)をドカッと踏みつけると、
「……なに私のアルテマちゃんに勝手に抱きついてんの? ……殺すよ?」
と、殺人鬼のような目で睨み下ろした。
「……ぬ、ぬか娘?」
アルテマが呆けたような声を出す。
影は――――倒れていたはずのぬか娘であった。
暗黒魔法の加護によって強化された木刀は、アニオタの皮膚と肉を少し切ってしまったが、威力の大部分は精神体へのダメージとなる。
『ぐ……ううぅ……な、なんだ貴様……その刀は??』
たまらずアニオタの体から這い出てくる名も知らぬ低級悪魔。
その言葉に答えることもなく、キレたぬか娘は問答無用とばかりにとどめの一撃を振り下ろす。
――――どすっぅ!!
『ぎゃあぁぁっっぁぁぁぁ!!』
あっさりと悪魔を仕留めると、座った目をギョロリと動かし、次の侵入を虎視眈々と狙っている他の雑魚たちを見上げるぬか娘。
「次は誰じゃい、かかってこいやオラァ~~~~~~~~~~っ!!!!」
吠えてみせた。
完全にキャラがおかしくなっているが。
彼女にとってみればアルテマにちょっかいを出されるということは、自分が汚されることよりも何よりも一大事なこと。
なれば悠長に気絶などしていられない。
そしてそれと同じだけ怒りを覚えている人間がもう一人。
「お……おのれ貴様……ワシの可愛いアルテマにちょっかいかけようとしよったな」
元一である。
彼は怒りに震える手で、引き絞った矢をアニオタの頭に向けると弦を――――、
「て、違う違う狙いはあっちだ!!」
慌ててアルテマがその向きを180度変える。
自分にちょっかいを出そうとしたのは、こいつら淫魔であってアニオタじゃない。
そこは勘違いしてはならぬぞ、とアルテマは二人に念を押した。
そして数分後―――。
やはりどれだけ倒しても悪魔が途切れることはなかった。
年齢の深い元一は、もはや体力が尽き、膝を折ってしまっている。
六段もまだ立ってはいるが同様に疲弊し、技にキレがなくなっている。
アルテマもこの小さい体にはそれ相応の体力しかないらしく、すでに息も切れ切れだ。
唯一元気なのは怒りに狂ったぬか娘だが、こちらもはたしていつまで持つやら。
四人は意識のないアニオタを庇い、背中を向けあっている。
しかしどのみち供給が無限なのだとしたら。いずれまた憑依されてしまうのは目に見えている。
このまま来る敵を退けているだけの対応では意味がない。
この悪循を断ち切るには、やはりあの龍穴の祠を調べてみるしかないのか?
しかしそんな事している暇も、手段もない。
となると頼みの綱は……あと一つだけ。
その時、
――――からからからから~~んっ!!
絶妙のタイミングで鳴り響く開門揖盗《デモン・ザ・ホール》の呼び鐘。
「師匠だ!! 待ちわびたぞ!!」
アルテマは喜々としてそれに応答する。
「開門揖盗《デモン・ザ・ホール》!!」
まばゆい光とともに銀の柱が天に登る。
その光が収まったそこには、魔素で形作られたジルの姿が浮かんでいた。
しかしいまだに悪魔は次々と現れ、その数はむしろ増えていっている。
「黒炎竜刃《アモン》!!」
――――どごぉぉぉぉおおぉっ!!!!
手加減のない火炎魔法が夜空を焦がす。
その炎に溶かされ、さらに十数体の悪魔が姿を消していった。
もういちいち婬眼《フェアリーズ》で確認することもなくなった。
一体一体はそれほど強くもない低級悪魔。
とにかく何も考えず、片っ端から片付けていく。
「く……ま、まだ出てくるのか……そ、そろそろ腕がしびれてきおったぞ」
額に玉の汗をかきながら元一が息を切らせている、
「ゲンさん、あんたはいったん下がれ!! 代わりにぬか娘、前へ!!」
六段の呼びかけに、無反応のぬか娘。
顔面をアニオタの唾液でデロデロにされて、ショックで寝込んでいた。
「……こ、こいつ……やくに立たねぇ!!」
「言ってやるな……おぼこ娘にとってはショックだったんじゃろうよ」
2日連続で、男に襲われたのだ。
それもこんなキモオタに……。
そりゃいいかげん心も折れるわなと元一は彼女に深く同情する。
隙きを突いて悪魔の一体がまたアニオタの身体に侵入した。
「し、しまったっ!! また!?」
アルテマが舌打ちすると、
『ああ~~~~やっぱり生身の肉体は良いわぁ~~。もう色々どこでも感じちゃう♡ 男でも女でもどっちでもいいわ、アチキと数百年ぶりの契を結ぼうぞ~~~~♡』
くねくね腰を踊らせながら色気を振りまきだすアニオタ、もとい、名も知らぬ低級悪魔。
「「お……おえ~~~~!!」」
しかし、振っても出でるのは色気ではなく気持ち悪さだけ。
三人は口を抑えて吐くのを我慢する。
『あら、この子可愛いわね。じゃ、手始めはこの子でいいわ、うふふふふふふふふふふ♡』
悪魔はアルテマに目を止めた。
その目がポンッっとハートマークに変わり、だらりと涎も垂らしてくる。
そして激しく地面を蹴ると、猛スピードでアルテマに突進してきた!!
『お嬢ちゃん、アチキといいことしましょうぞ~~~~♡』
「げっ!?」
「アルテマ!?」
「ぬ、イカン!!」
止めようと元一と六段が動くが、悪魔のほうが一歩早い。
歪んだ発情で興奮しきったアニオタ(悪魔)が汚い涎を垂らしまくり、アルテマに抱きつく。
「くっ!? こ、こら、やめんかっ!??」
そこに、
――――ざんっ!!!!
閃光のごとく赤い影が現れた。
影は目に見えぬほどの鋭い動きで剣を振るうと、
ザシュゥゥゥゥゥ!!!!
『う……うぎゃあっ!!!!』
一刀のもとにアニオタ(悪魔)を袈裟斬りにした!!
そして影は、転がり苦しむアニオタ(悪魔)をドカッと踏みつけると、
「……なに私のアルテマちゃんに勝手に抱きついてんの? ……殺すよ?」
と、殺人鬼のような目で睨み下ろした。
「……ぬ、ぬか娘?」
アルテマが呆けたような声を出す。
影は――――倒れていたはずのぬか娘であった。
暗黒魔法の加護によって強化された木刀は、アニオタの皮膚と肉を少し切ってしまったが、威力の大部分は精神体へのダメージとなる。
『ぐ……ううぅ……な、なんだ貴様……その刀は??』
たまらずアニオタの体から這い出てくる名も知らぬ低級悪魔。
その言葉に答えることもなく、キレたぬか娘は問答無用とばかりにとどめの一撃を振り下ろす。
――――どすっぅ!!
『ぎゃあぁぁっっぁぁぁぁ!!』
あっさりと悪魔を仕留めると、座った目をギョロリと動かし、次の侵入を虎視眈々と狙っている他の雑魚たちを見上げるぬか娘。
「次は誰じゃい、かかってこいやオラァ~~~~~~~~~~っ!!!!」
吠えてみせた。
完全にキャラがおかしくなっているが。
彼女にとってみればアルテマにちょっかいを出されるということは、自分が汚されることよりも何よりも一大事なこと。
なれば悠長に気絶などしていられない。
そしてそれと同じだけ怒りを覚えている人間がもう一人。
「お……おのれ貴様……ワシの可愛いアルテマにちょっかいかけようとしよったな」
元一である。
彼は怒りに震える手で、引き絞った矢をアニオタの頭に向けると弦を――――、
「て、違う違う狙いはあっちだ!!」
慌ててアルテマがその向きを180度変える。
自分にちょっかいを出そうとしたのは、こいつら淫魔であってアニオタじゃない。
そこは勘違いしてはならぬぞ、とアルテマは二人に念を押した。
そして数分後―――。
やはりどれだけ倒しても悪魔が途切れることはなかった。
年齢の深い元一は、もはや体力が尽き、膝を折ってしまっている。
六段もまだ立ってはいるが同様に疲弊し、技にキレがなくなっている。
アルテマもこの小さい体にはそれ相応の体力しかないらしく、すでに息も切れ切れだ。
唯一元気なのは怒りに狂ったぬか娘だが、こちらもはたしていつまで持つやら。
四人は意識のないアニオタを庇い、背中を向けあっている。
しかしどのみち供給が無限なのだとしたら。いずれまた憑依されてしまうのは目に見えている。
このまま来る敵を退けているだけの対応では意味がない。
この悪循を断ち切るには、やはりあの龍穴の祠を調べてみるしかないのか?
しかしそんな事している暇も、手段もない。
となると頼みの綱は……あと一つだけ。
その時、
――――からからからから~~んっ!!
絶妙のタイミングで鳴り響く開門揖盗《デモン・ザ・ホール》の呼び鐘。
「師匠だ!! 待ちわびたぞ!!」
アルテマは喜々としてそれに応答する。
「開門揖盗《デモン・ザ・ホール》!!」
まばゆい光とともに銀の柱が天に登る。
その光が収まったそこには、魔素で形作られたジルの姿が浮かんでいた。
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