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第41話 また魔力を求めて②
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昭和レトロな教室に、山と積まれたガラクタ――――もとい、ぬか娘のお宝たち。
そのそれぞれには強弱様々な魔素が含まれていた。
「……そんな粗大ごみに魔素などあるのか……?」
「粗大ごみ言うな」
訝しげに眺めているモジョにアルテマは、
「ああ、あるぞ……!! 占いさんの道具ほどではないが、これらにもしっかり魔素が宿っている。少なくとも、廃屋の中でみた仏壇よりは、どれもいい物だ」
それを聞いてドヤ顔でモジョを見るぬか娘。
「やっぱりね。あの時アルテマちゃんの話を聞いて、私のコレクションならもしかしたらと思ったんだ~~♪」
「……その目やめろ。……それは何か? それだけ、その粗大ごみには人の念が込められているという事なのか?」
「そうだ。これらはみな小汚いが、かつてそれぞれの持ち主の元で大事にされてきた物だかりなのだろうな。どれも暖かな魔素を秘めている」
「そうでしょそうでしょ? 私だってね、むやみやたらに集めてるわけじゃないんだよ? なんかこう……大事にされてた道具って惹きつけるものがあってさ」
かすれた赤文字でケロ○ンと書かれた黄色い風呂桶を眺めながら、おごそかに頷くアルテマ。
そんな彼女を胡散臭そうに見ながら、モジョは、
「……思い入れの強いもので良ければ、わたしのレトロゲームソフトも負けてはないと思うのだが……?」
「ああ、そうだな。しかしそれはもうとっくに頂いてしまっている。なかなかの魔素量だったぞ」
「……いつの間に……盗み食いじゃないか」
「まあ、堅いことを言うな。どうせお前達には魔素などあっても無用の長物だろう? 占いさんには文句を言われたが、ゲームを起動させるのに魔素は関係ない」
言ってアルテマは手の平に魔素吸収《ソウル・イート》の渦を作る。
「では、有り難くこれらの魔素を頂戴させてもらうぞ?」
「もちろんいいよ。アルテマちゃんの役に立てて私も嬉しいよ」
うなずき、風呂桶から魔素を引き出すアルテマ。
ポワポワと白い光がタンポポの種のように浮かび上がった。
「……なんだか、可愛いものだな。それが魔素か??」
初めて見る魔素の光に、やや警戒しながらモジョは半歩後ろに下がる。
「そうだ。……魔素の光はその強さや種類で色々変わる。これはすごく穏やかな魔素だ、ほっこりとした温もりを感じるな」
しゅぽん、と吸い込みながら味の感想をもらす。
そりゃあ風呂桶だからなと、モジョとぬか娘はお互いに顔を見合わせながら思った。
ガラスの玉(ビー玉)――――30点
紙の絵札(メンコ)――――45点
カラフルな毛虫(モーラー)――――30点
赤い丸箱(りんごお風呂セット)――――25点
カエルの置物(薬局のやつ)――――55点
白いオジサン(カー○ル人形)――――20点
次々と魔素を出しては吸い、出しては吸い。
もうかれこれ小一時間が過ぎていた。
「……そのブツブツ点数を付けているのはなんなんだ……?」
「気にするな、適当に魔素量を点数化しているだけだ、こうでもせんと、じれったくてやってられん」
確かに、それぞれそこそこのに魔素量はあるが、それでも開門揖盗《デモン・ザ・ホール》を唱えるのに使用する魔力の元とするには全然足りない。
なので、次から次へと片っ端に魔素分解し吸収しているのだ。
が、それも結構疲れる作業で、黙って黙々とやるには精神的にキツイものがある。
「……その点数を言う度にぬか娘がダメージを受けているようだが……?」
「む? ……いや、これはあくまで魔素量の評価であって、お前の宝物の価値を言っているのではないぞ?」
「……わ、わかってる……わかってるケド……なんか傷つくの……」
「ぶにょぶにょにた丸いやつ(ブーブークッション)――――15点」
「あうっ……」
「……このガラクタで一気に問題が解決すると思ったんだが……そうはなかなか上手く行かないものだな……」
「うむ。だが、この魔素の枯渇した世界では充分貴重な品だぞ。有り難い」
そんな作業を、欠伸をしながら見ているモジョは、ふと疑問に思った。
「……そういえば……お前、除霊も出来るんじゃなかったか? そっちのほうが効率良く魔素を吸収出来るんじゃないのか?」
「ん? ああ、そうだな。でもあれは出てくる悪魔を退治せねばならん。魔力の無いいまの私ではその対処は難しい。なのでじれったいが、こうして物質に溜まった魔素をチマチマ小削いでいるんだよ」
二人は、あの大暴れした悪魔を思い出す。
名前はもう忘れたが、たしかにあんな悪魔がまた現れたら厄介なことこの上ない。
危険は出来るだけ避けるべきだろう。
「……元一の家で急に強くなったようだが、アレは?」
「アレは……二階の部屋にやたら魔素が吹き出している不思議な部屋があってな、そこから頂戴したんだ」
「だったら、またそこに行けば手っ取り早いんじゃないの?」
「もう思ったんだが、また無茶するからと節子が近寄らせてくれんのだ」
「……ほう……そんな部屋が……それは怪しいな……元一爺さん何かとんでもない物を隠し持っている見た」
モジョが探偵モードになって唸った。
「私もそう思う。……ね、夜中にでもこっそり覗いたらどう?」
いたずらっ気な目でアルテマを見るぬか娘だが、
「いや、節子が嫌がることをする気はない。ダメだと言うのなら私はもうあの部屋のことは忘れる」
「……世話になっている恩義か? 律儀なものだな」
「当然だ、私はこう見えても誇り高い暗黒騎士だぞ? その名に恥じるような不義理な真似は出来ん」
「う~~~~ん……だったら、飲兵衛さんに相談してみたらどうかな?」
「……どういうことだ?」
そう提案するぬか娘に、アルテマとモジョの二人は顔を見合わせた。
そのそれぞれには強弱様々な魔素が含まれていた。
「……そんな粗大ごみに魔素などあるのか……?」
「粗大ごみ言うな」
訝しげに眺めているモジョにアルテマは、
「ああ、あるぞ……!! 占いさんの道具ほどではないが、これらにもしっかり魔素が宿っている。少なくとも、廃屋の中でみた仏壇よりは、どれもいい物だ」
それを聞いてドヤ顔でモジョを見るぬか娘。
「やっぱりね。あの時アルテマちゃんの話を聞いて、私のコレクションならもしかしたらと思ったんだ~~♪」
「……その目やめろ。……それは何か? それだけ、その粗大ごみには人の念が込められているという事なのか?」
「そうだ。これらはみな小汚いが、かつてそれぞれの持ち主の元で大事にされてきた物だかりなのだろうな。どれも暖かな魔素を秘めている」
「そうでしょそうでしょ? 私だってね、むやみやたらに集めてるわけじゃないんだよ? なんかこう……大事にされてた道具って惹きつけるものがあってさ」
かすれた赤文字でケロ○ンと書かれた黄色い風呂桶を眺めながら、おごそかに頷くアルテマ。
そんな彼女を胡散臭そうに見ながら、モジョは、
「……思い入れの強いもので良ければ、わたしのレトロゲームソフトも負けてはないと思うのだが……?」
「ああ、そうだな。しかしそれはもうとっくに頂いてしまっている。なかなかの魔素量だったぞ」
「……いつの間に……盗み食いじゃないか」
「まあ、堅いことを言うな。どうせお前達には魔素などあっても無用の長物だろう? 占いさんには文句を言われたが、ゲームを起動させるのに魔素は関係ない」
言ってアルテマは手の平に魔素吸収《ソウル・イート》の渦を作る。
「では、有り難くこれらの魔素を頂戴させてもらうぞ?」
「もちろんいいよ。アルテマちゃんの役に立てて私も嬉しいよ」
うなずき、風呂桶から魔素を引き出すアルテマ。
ポワポワと白い光がタンポポの種のように浮かび上がった。
「……なんだか、可愛いものだな。それが魔素か??」
初めて見る魔素の光に、やや警戒しながらモジョは半歩後ろに下がる。
「そうだ。……魔素の光はその強さや種類で色々変わる。これはすごく穏やかな魔素だ、ほっこりとした温もりを感じるな」
しゅぽん、と吸い込みながら味の感想をもらす。
そりゃあ風呂桶だからなと、モジョとぬか娘はお互いに顔を見合わせながら思った。
ガラスの玉(ビー玉)――――30点
紙の絵札(メンコ)――――45点
カラフルな毛虫(モーラー)――――30点
赤い丸箱(りんごお風呂セット)――――25点
カエルの置物(薬局のやつ)――――55点
白いオジサン(カー○ル人形)――――20点
次々と魔素を出しては吸い、出しては吸い。
もうかれこれ小一時間が過ぎていた。
「……そのブツブツ点数を付けているのはなんなんだ……?」
「気にするな、適当に魔素量を点数化しているだけだ、こうでもせんと、じれったくてやってられん」
確かに、それぞれそこそこのに魔素量はあるが、それでも開門揖盗《デモン・ザ・ホール》を唱えるのに使用する魔力の元とするには全然足りない。
なので、次から次へと片っ端に魔素分解し吸収しているのだ。
が、それも結構疲れる作業で、黙って黙々とやるには精神的にキツイものがある。
「……その点数を言う度にぬか娘がダメージを受けているようだが……?」
「む? ……いや、これはあくまで魔素量の評価であって、お前の宝物の価値を言っているのではないぞ?」
「……わ、わかってる……わかってるケド……なんか傷つくの……」
「ぶにょぶにょにた丸いやつ(ブーブークッション)――――15点」
「あうっ……」
「……このガラクタで一気に問題が解決すると思ったんだが……そうはなかなか上手く行かないものだな……」
「うむ。だが、この魔素の枯渇した世界では充分貴重な品だぞ。有り難い」
そんな作業を、欠伸をしながら見ているモジョは、ふと疑問に思った。
「……そういえば……お前、除霊も出来るんじゃなかったか? そっちのほうが効率良く魔素を吸収出来るんじゃないのか?」
「ん? ああ、そうだな。でもあれは出てくる悪魔を退治せねばならん。魔力の無いいまの私ではその対処は難しい。なのでじれったいが、こうして物質に溜まった魔素をチマチマ小削いでいるんだよ」
二人は、あの大暴れした悪魔を思い出す。
名前はもう忘れたが、たしかにあんな悪魔がまた現れたら厄介なことこの上ない。
危険は出来るだけ避けるべきだろう。
「……元一の家で急に強くなったようだが、アレは?」
「アレは……二階の部屋にやたら魔素が吹き出している不思議な部屋があってな、そこから頂戴したんだ」
「だったら、またそこに行けば手っ取り早いんじゃないの?」
「もう思ったんだが、また無茶するからと節子が近寄らせてくれんのだ」
「……ほう……そんな部屋が……それは怪しいな……元一爺さん何かとんでもない物を隠し持っている見た」
モジョが探偵モードになって唸った。
「私もそう思う。……ね、夜中にでもこっそり覗いたらどう?」
いたずらっ気な目でアルテマを見るぬか娘だが、
「いや、節子が嫌がることをする気はない。ダメだと言うのなら私はもうあの部屋のことは忘れる」
「……世話になっている恩義か? 律儀なものだな」
「当然だ、私はこう見えても誇り高い暗黒騎士だぞ? その名に恥じるような不義理な真似は出来ん」
「う~~~~ん……だったら、飲兵衛さんに相談してみたらどうかな?」
「……どういうことだ?」
そう提案するぬか娘に、アルテマとモジョの二人は顔を見合わせた。
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