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第251話 捕縛作戦㉓
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「も、百恵ちゃん!??」
見上げるとすぐ近く、傾いたビルの最上階付近で氷を弾き飛ばしながら叫びを上げる百恵ちゃんがいた。
椿もその対面にいた。
その二人を見上げる私の目がみるみる大きく見開かれる。
「そうか……百恵ちゃんが代わりに戦ってくれてたのかって――――ええええええええええええええええええええええええええ~~~~~~~~っ!???」
突如、二人の上空にアホみたいにデカい氷の塊が出現した。
それも数十個も!!
「ちょっちょっとまって!! あ、あれ……まさか椿の能力!?? 嘘でしょ!?」
わけがわからず慌てふためく私。
そんな能力、私は知らないぞ!!
椿のファントム『雪女郎』が遠目に見えた。
しかしそれは私の知っているそれとは少し格好が変わっている。
「し……進化したってこと!??」
なんてことだ。私の知らないうちになにやら展開が進んでいる。
それだけ眠っていたと言うことか、一体いまはどういう状況なんだ!?
――――ゴッ!!!!
「!??」
強烈な圧が上から押さえつけてきた。
アホデカい氷塊がまとめて落下し始めたのだ!!
あ、あかん!! このままじゃ!!
逃げようと周囲を見渡す。
と、視線の先には無数のクレーターが開いた道路。
中心に氷の破片が突き刺さったその凹みは、あきらかにいま落ちてきているものと同じモノが開けた穴だとすぐにわかった。
「ちょっと……洒落になんないんですけど!??」
そんなものの直撃を食らったら、さすがの自分でも回復出来ないかもしれない。
いや、それ以前にもう精気も残っていない。
そしてそんな地面を凹ますほどのバカみたいな衝撃から身を隠せる場所もない。
地味な絶体絶命に、私は思考停止して頭を抱えてうずくまるが。
――――カッ!! ドゴァァァァァァァァァッンンッ!!!!
今度は何かが爆発した音が聞こえてきた。
「なに? って、ええええええええーーーーーーーーっ!!!!」
見上げると、そこにはさっきまであったはずの巨大氷塊は消滅していて、代わりに恐ろしく熱い爆炎が空を埋め尽くすようにうねっていた。
「あ、あつあつあつあつあつあつ~~~~~~~~っ!!!!」
そして有無を言わさず照り焼かれる私。
百恵ちゃんの声で『火の鳥』とかなんとか聞こえた。
なに? これまさか百恵ちゃんの能力!??
んな馬鹿な!? ガルーダに爆炎は出せなかったはず!??
そこまで考えて――――、
「あ、ドミニオンか!??」
すぐにその答えに至った。
なるほど、彼女もあのおふざけ饅頭に強化してもらっているんだ。
それで進化し、獲得したのか火の鳥を!?
「しかし……なんて暴力的な能力!! 熱っ!! あつあつあつあつあつあつ!!」
体が動かないなんて言っていられない。たまらず近くにあった氷柱にしがみつく私。
――――しゅうぅぅぅぅぅぅぅ…………。
しかしそれすらも照らされた炎の熱でみるみる溶けていく。
どんなけ熱いんだ、あの鳥野郎!!
溶けた氷柱の中から氷漬けにされていた一般人がゴロリと転がり出てくる。
「う、うわわっ!!」
驚いて避けてしまうが……待てよ、とそこで一つひらめく。
「……この人の精気、吸い取れるかも」
出てきた配達員風の男性はすでに絶命している。
しかし氷漬けになっていたため、その体は無傷で、嫌な例えだが新鮮な状態が保たれていた。
……これならば、もしかしたら。
罪悪感も少しあったが、どうせお亡くなりになっているし緊急事態だ。
ここは一つ私の糧となっていただこう。
「ラミア、吸収」
『きゅい♪』
命令に素早く反応すると、手が黄金色に輝く。
その手で男性の首筋に指を這わせると――――、
――――ぎゅぅぅぅぅぅぅん。
わずかだが精気が充填された!!
「やった。思った通りだ」
生きた人ではないので、残っている量もわずかだったがそれでもいまの私にはありがたい。
見ると、熱に照らされ周囲の氷柱が全て溶け、その中から次々と犠牲者たちが転がり出てくる。
私はありがたく手を合わせ、彼らをいただくことにした。
「ラミア、黄金の蛇よ。この人たちの精気を逃さずかき集めるの!!」
『ういぃぃぃっ!!♪』
エサのお時間だとばかりにノリノリで返事するラミア。
――――ボワっと私の髪の毛が逆立ち、蛇へと変化する。
エサを目の前にした腹ペコの蛇たちは一斉に死体に群がり、食い破り、主人である私へと精気を持ち帰ってきてくれた。
見上げるとすぐ近く、傾いたビルの最上階付近で氷を弾き飛ばしながら叫びを上げる百恵ちゃんがいた。
椿もその対面にいた。
その二人を見上げる私の目がみるみる大きく見開かれる。
「そうか……百恵ちゃんが代わりに戦ってくれてたのかって――――ええええええええええええええええええええええええええ~~~~~~~~っ!???」
突如、二人の上空にアホみたいにデカい氷の塊が出現した。
それも数十個も!!
「ちょっちょっとまって!! あ、あれ……まさか椿の能力!?? 嘘でしょ!?」
わけがわからず慌てふためく私。
そんな能力、私は知らないぞ!!
椿のファントム『雪女郎』が遠目に見えた。
しかしそれは私の知っているそれとは少し格好が変わっている。
「し……進化したってこと!??」
なんてことだ。私の知らないうちになにやら展開が進んでいる。
それだけ眠っていたと言うことか、一体いまはどういう状況なんだ!?
――――ゴッ!!!!
「!??」
強烈な圧が上から押さえつけてきた。
アホデカい氷塊がまとめて落下し始めたのだ!!
あ、あかん!! このままじゃ!!
逃げようと周囲を見渡す。
と、視線の先には無数のクレーターが開いた道路。
中心に氷の破片が突き刺さったその凹みは、あきらかにいま落ちてきているものと同じモノが開けた穴だとすぐにわかった。
「ちょっと……洒落になんないんですけど!??」
そんなものの直撃を食らったら、さすがの自分でも回復出来ないかもしれない。
いや、それ以前にもう精気も残っていない。
そしてそんな地面を凹ますほどのバカみたいな衝撃から身を隠せる場所もない。
地味な絶体絶命に、私は思考停止して頭を抱えてうずくまるが。
――――カッ!! ドゴァァァァァァァァァッンンッ!!!!
今度は何かが爆発した音が聞こえてきた。
「なに? って、ええええええええーーーーーーーーっ!!!!」
見上げると、そこにはさっきまであったはずの巨大氷塊は消滅していて、代わりに恐ろしく熱い爆炎が空を埋め尽くすようにうねっていた。
「あ、あつあつあつあつあつあつ~~~~~~~~っ!!!!」
そして有無を言わさず照り焼かれる私。
百恵ちゃんの声で『火の鳥』とかなんとか聞こえた。
なに? これまさか百恵ちゃんの能力!??
んな馬鹿な!? ガルーダに爆炎は出せなかったはず!??
そこまで考えて――――、
「あ、ドミニオンか!??」
すぐにその答えに至った。
なるほど、彼女もあのおふざけ饅頭に強化してもらっているんだ。
それで進化し、獲得したのか火の鳥を!?
「しかし……なんて暴力的な能力!! 熱っ!! あつあつあつあつあつあつ!!」
体が動かないなんて言っていられない。たまらず近くにあった氷柱にしがみつく私。
――――しゅうぅぅぅぅぅぅぅ…………。
しかしそれすらも照らされた炎の熱でみるみる溶けていく。
どんなけ熱いんだ、あの鳥野郎!!
溶けた氷柱の中から氷漬けにされていた一般人がゴロリと転がり出てくる。
「う、うわわっ!!」
驚いて避けてしまうが……待てよ、とそこで一つひらめく。
「……この人の精気、吸い取れるかも」
出てきた配達員風の男性はすでに絶命している。
しかし氷漬けになっていたため、その体は無傷で、嫌な例えだが新鮮な状態が保たれていた。
……これならば、もしかしたら。
罪悪感も少しあったが、どうせお亡くなりになっているし緊急事態だ。
ここは一つ私の糧となっていただこう。
「ラミア、吸収」
『きゅい♪』
命令に素早く反応すると、手が黄金色に輝く。
その手で男性の首筋に指を這わせると――――、
――――ぎゅぅぅぅぅぅぅん。
わずかだが精気が充填された!!
「やった。思った通りだ」
生きた人ではないので、残っている量もわずかだったがそれでもいまの私にはありがたい。
見ると、熱に照らされ周囲の氷柱が全て溶け、その中から次々と犠牲者たちが転がり出てくる。
私はありがたく手を合わせ、彼らをいただくことにした。
「ラミア、黄金の蛇よ。この人たちの精気を逃さずかき集めるの!!」
『ういぃぃぃっ!!♪』
エサのお時間だとばかりにノリノリで返事するラミア。
――――ボワっと私の髪の毛が逆立ち、蛇へと変化する。
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