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第245話 捕縛作戦⑰
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「な――――――――っ!??」
空を埋め尽くす巨大雹に、言葉をなくす百恵。
次の瞬間、それらが一斉に落下してきた!!
「くっ!! ガルーダっ!!」
――――ドンドンッ!!
両手から爆風を交互に射出し、うねるように旋回する。
巨大雹群の隙間をギリギリ縫うようにかすめ飛び、なんとか全てを回避したが、
――――ゴッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!
初撃の10倍の衝撃が地面に炸裂し、地盤を抉った!!
捲れ上がるアスファルトに吹き上がる土砂。
想像を絶する衝撃が地面を反射し、上空にいる百恵を襲った。
――――ゴッ!!!!
「ぐっ!!!!」
跳ね返りの氷塊とともに襲い来る衝撃波!!
――――ドゴンッ!!
それに飲まれた百恵は吹き飛ばされ、ビルの壁面に叩きつけられた!!
「ぐはぁっ!??」
咄嗟にエアバックで衝撃を和らげたが、しかしかなりのダメージが背中を突き抜ける。
抉られた地面に飲み込まれるようにビルが傾いていく。
その壁に埋もれながら百恵は血を吐き出した。
メキメキとコンクリートが割れ始め、ゴゴゴゴゴと悲鳴をあげる。
このままじゃ倒壊に巻き込まれる。
なんとかガルーダを呼び出し、脱出しようとする百恵だがそこに、
――――フッ。
と椿が飛び上がってきた。
「なにっ!??」
こやつも飛べるのか!?
――――いや違う、衝撃波にのって飛び上がって来たのだ!!
「――――雪の神」
目を見開いている百恵に、進化したファントム『雪の神』が氷の牙を剥く。
「ガルーダッ!!」
――――パキィィィィィィィィィィィィィンッ!!!!
雪の神の吐き出した冷気はビル全体に広がり、全てを氷柱と化した!!
崩れ落ちる寸前だったビルは倒壊を止め、傾く巨大オブジェへと変わる。
そのシンボルのように氷漬けにされた百恵は壁面に固められていた。
その側から飛び出した一本の氷柱に椿はふわりと着地する。
そしてその血走った目は、氷塊に固められた百恵を見据えた。
『百恵殿っ!??』
銀野がどこからか念話を飛ばす。
宝塚に続いて百恵までこんなあっさりとやられてしまうとは。
まさかの展開に、椿の能力を過小評価していたことを後悔した。
二人がやられてしまったら、あとは自分で彼女と戦わなくてはいけない。
それだけは避けたいと銀野は必死で百恵に呼びかけた。
『百恵殿、聞こえるでござるか百恵殿!! たとえ凍っていても思念で返事するでござる百恵殿ーーーーーーーーっ!!』
意識さえ残っていたらまだなんとかサポートできる。
どうか返事してくれと銀野は呼びかけを続けた。
『……なんじゃうるさいわ』
返事は意外とあっさり帰ってきた。
『おお、も、百恵殿!! 生きていたでござるか!!』
『当然だろう。この程度で吾輩はやられはせん』
『体は動くでござるか!?』
『首だけは動く』
『おお、よくぞ!! しかしどうして? 拙僧、氷漬けにされたとばかり??』
『圧縮空気は熱も作れるのでな、それを応用して頭だけは守ったのじゃ。それより貴様、準備は出来ておるんだろうな?』
『ぐくるる……』
百恵がまだ生きていることを知って、唸りを上げる椿。
その手が白い冷気に包まれる。
追撃して完全に凍らせるきだ。
さすがの百恵もこの状態から反撃できるほど器用じゃない。
しかし、それでも頭だけを守ったのは理由があった。
宝塚とのやり取りは百恵も聞いていた。
だから銀野の強力なサポート能力を知っていた。
出来ればこの腐れ大福に借りなど作りたくなかったが、椿の能力進化が予想以上だった。
なれば仕方がない。
余計なプライドで命を落とすなど三下がすることだ。
百恵は憮然としながらも、銀野に念話を返した。
『……貴様のドミニオンを吾輩によこせ。貸しを作らせてやる』
『……さすが、話しが早いでござるよ百恵殿』
――――パキッ!! ピキピキピキッ!!
椿が冷気を送り込んできた。
どうして一気にトドメを刺さず、わざわざ氷漬けにするのか?
おそらく自分も宝塚のようにさらわれようとしているのではないか?
そこに気がついたが、それがどうしてなのかまではわからない。
冷気が頭に届いてきた。。
『百恵殿、目は動くでござるか? 何とかして下を見てほしいでござる』
『下? なぜじゃ??』
『ドミニオンを憑依させるのは条件があって、その姿を相手に見せないとダメなのでござる。相手の目に映ることによって精神内に転移するからでござる!!』
キピキピキピ……。
霜が顔の表面を伝ってくる。
喉は凍りつき、息が出来なくなる。
『……な、るほど……わかった……で、どこにいる……?』
口が凍った。
『向かいのビルでござる!! そこの五階に拙僧は潜んでいるでござる!!』
『ご……五階……?』
鼻が凍った。
五階を見るが、うまく見つからない。
『いま念話を使って百恵殿の視界とリンクしたでござる。ああ、そこではござらん、そこはオフィスの男子更衣室でござるよ。拙僧はその隣の部屋でござる!!』
『と……隣じゃ……と』
とうとう両目が凍った。
動かなくなった眼球の最後の力を振り絞り、その場所を凝視する。
と、そこには頭にピンクのブラジャーをかぶった変態大福の姿があった。
それを目に収めた瞬間、瞳が凍った。
白く濁り、見えなくなる視界。
しかしそこにギリギリ滑り込んでくる似つかわしくない天使。
それを受け入れた瞬間、百恵の体中に膨大な精神エネルギー流れ込んできた!!
空を埋め尽くす巨大雹に、言葉をなくす百恵。
次の瞬間、それらが一斉に落下してきた!!
「くっ!! ガルーダっ!!」
――――ドンドンッ!!
両手から爆風を交互に射出し、うねるように旋回する。
巨大雹群の隙間をギリギリ縫うようにかすめ飛び、なんとか全てを回避したが、
――――ゴッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!
初撃の10倍の衝撃が地面に炸裂し、地盤を抉った!!
捲れ上がるアスファルトに吹き上がる土砂。
想像を絶する衝撃が地面を反射し、上空にいる百恵を襲った。
――――ゴッ!!!!
「ぐっ!!!!」
跳ね返りの氷塊とともに襲い来る衝撃波!!
――――ドゴンッ!!
それに飲まれた百恵は吹き飛ばされ、ビルの壁面に叩きつけられた!!
「ぐはぁっ!??」
咄嗟にエアバックで衝撃を和らげたが、しかしかなりのダメージが背中を突き抜ける。
抉られた地面に飲み込まれるようにビルが傾いていく。
その壁に埋もれながら百恵は血を吐き出した。
メキメキとコンクリートが割れ始め、ゴゴゴゴゴと悲鳴をあげる。
このままじゃ倒壊に巻き込まれる。
なんとかガルーダを呼び出し、脱出しようとする百恵だがそこに、
――――フッ。
と椿が飛び上がってきた。
「なにっ!??」
こやつも飛べるのか!?
――――いや違う、衝撃波にのって飛び上がって来たのだ!!
「――――雪の神」
目を見開いている百恵に、進化したファントム『雪の神』が氷の牙を剥く。
「ガルーダッ!!」
――――パキィィィィィィィィィィィィィンッ!!!!
雪の神の吐き出した冷気はビル全体に広がり、全てを氷柱と化した!!
崩れ落ちる寸前だったビルは倒壊を止め、傾く巨大オブジェへと変わる。
そのシンボルのように氷漬けにされた百恵は壁面に固められていた。
その側から飛び出した一本の氷柱に椿はふわりと着地する。
そしてその血走った目は、氷塊に固められた百恵を見据えた。
『百恵殿っ!??』
銀野がどこからか念話を飛ばす。
宝塚に続いて百恵までこんなあっさりとやられてしまうとは。
まさかの展開に、椿の能力を過小評価していたことを後悔した。
二人がやられてしまったら、あとは自分で彼女と戦わなくてはいけない。
それだけは避けたいと銀野は必死で百恵に呼びかけた。
『百恵殿、聞こえるでござるか百恵殿!! たとえ凍っていても思念で返事するでござる百恵殿ーーーーーーーーっ!!』
意識さえ残っていたらまだなんとかサポートできる。
どうか返事してくれと銀野は呼びかけを続けた。
『……なんじゃうるさいわ』
返事は意外とあっさり帰ってきた。
『おお、も、百恵殿!! 生きていたでござるか!!』
『当然だろう。この程度で吾輩はやられはせん』
『体は動くでござるか!?』
『首だけは動く』
『おお、よくぞ!! しかしどうして? 拙僧、氷漬けにされたとばかり??』
『圧縮空気は熱も作れるのでな、それを応用して頭だけは守ったのじゃ。それより貴様、準備は出来ておるんだろうな?』
『ぐくるる……』
百恵がまだ生きていることを知って、唸りを上げる椿。
その手が白い冷気に包まれる。
追撃して完全に凍らせるきだ。
さすがの百恵もこの状態から反撃できるほど器用じゃない。
しかし、それでも頭だけを守ったのは理由があった。
宝塚とのやり取りは百恵も聞いていた。
だから銀野の強力なサポート能力を知っていた。
出来ればこの腐れ大福に借りなど作りたくなかったが、椿の能力進化が予想以上だった。
なれば仕方がない。
余計なプライドで命を落とすなど三下がすることだ。
百恵は憮然としながらも、銀野に念話を返した。
『……貴様のドミニオンを吾輩によこせ。貸しを作らせてやる』
『……さすが、話しが早いでござるよ百恵殿』
――――パキッ!! ピキピキピキッ!!
椿が冷気を送り込んできた。
どうして一気にトドメを刺さず、わざわざ氷漬けにするのか?
おそらく自分も宝塚のようにさらわれようとしているのではないか?
そこに気がついたが、それがどうしてなのかまではわからない。
冷気が頭に届いてきた。。
『百恵殿、目は動くでござるか? 何とかして下を見てほしいでござる』
『下? なぜじゃ??』
『ドミニオンを憑依させるのは条件があって、その姿を相手に見せないとダメなのでござる。相手の目に映ることによって精神内に転移するからでござる!!』
キピキピキピ……。
霜が顔の表面を伝ってくる。
喉は凍りつき、息が出来なくなる。
『……な、るほど……わかった……で、どこにいる……?』
口が凍った。
『向かいのビルでござる!! そこの五階に拙僧は潜んでいるでござる!!』
『ご……五階……?』
鼻が凍った。
五階を見るが、うまく見つからない。
『いま念話を使って百恵殿の視界とリンクしたでござる。ああ、そこではござらん、そこはオフィスの男子更衣室でござるよ。拙僧はその隣の部屋でござる!!』
『と……隣じゃ……と』
とうとう両目が凍った。
動かなくなった眼球の最後の力を振り絞り、その場所を凝視する。
と、そこには頭にピンクのブラジャーをかぶった変態大福の姿があった。
それを目に収めた瞬間、瞳が凍った。
白く濁り、見えなくなる視界。
しかしそこにギリギリ滑り込んでくる似つかわしくない天使。
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