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第237話 捕縛作戦⑨
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――――え、何この力っ!??
いきなり湧き上がるパワーに私は度肝を抜かれる。
『これが拙僧のファントム、ドミニオンの力でござるよ』
『どういうことっ!?』
『念話を通じて相手の思考に入り込むところまではマステマと同じでござる。そこから相手の意志を乗っ取り、操るのがマステマでござるが、ドミニオンは意識には介入しないでござる。その代わり精神エネルギーに干渉するでありんす』
『え~~~~っと、え~~~~~~と……?』
さっきから話しがややこしすぎる!!
こちとら超能力初心者なんだからもっと簡単に教えてくれ!!
すると、私のそんな思考を読み取ったのか、筆頭はごく簡単に説明してくれた。
『つまり、宝塚殿の能力レベルを一時的に強化したでござるよ』
『なぬっ!?』
『論より証拠。結界を作り出すでござるっ!!』
それでもどういうことなのかわからなかったが、このままじっと氷漬けにされているわけにもいかない。言われた通りに結界を発動させてみる。
と、
――――バギャァァァァァァァンッ!!!!
氷漬けのせいでさっきまで上手く発動できなかった結界がいとも簡単に作り出せた。
「――――っ!??」
「な、なんだっ!??」
突然発動した私の結界に、椿と部下その①は慌てる。
椿の冷凍能力を遮断した結界は、そのまま物理干渉する結界術へと変化し、車内の全てを内側から押し出し、
――――メキメキメキ……!!!!
「――――ぐおっ!! まずい!!!!」
「―――――っ!!」
その圧に耐えかねて二人は走っている車から転がるように飛び出した。
――――グドォムッ!!!!
次の瞬間、私の結界は車を内側から爆発させるように破壊し、その殻に守られつつ私も車外へ投げ出された。
「うぐぎゅりゅわっ!??」
脱出が遅れた部下その②は圧に飲まれ四肢をちぎり飛ばしながら吹き飛ばされる。
「!? まさか宝塚さん!??」
――――ギキャキャキャッ!!!!
その惨劇を見て菜々ちんのバイクが横滑りしつつ止まった。
(……ぐ……くぅ……ま、まだ体が動かない……)
地面に突っ伏しながら起きようとしたが、凍りついた身体はまだ動かず、私はラミアに回復術を命じる。
(ラミア、凍った身体を回復して!!)
『きゅるうっ!!』
すかさず返事し、術を練り始めるラミア。
しかし、その姿がいきなり変わっていて私は絶句した。
(ラミア……あんた…………?)
いつもの彼女はほんの小さな子猫サイズだったはず。
それがいまは小学生くらいにまで大きくなってしまっている。
見た目もやや大人びていて、剥き出しの胸は少し膨らんできている。
……ど、どういうこと??
私の戸惑いをよそに、回復は始められた。
凍って固まっていた細胞全てが書き換えられ、新たな存在へと生まれ変わる。
「――――かはっ!??」
そして凍った体は暖かに溶け、復活した。
『筆頭!! これどういうこと、ラミアが成長しちゃってるんだけど!??』
すかさず念話を返す。
原因は聞かずともこのブタ饅が犯人だと言うことは想像できた。
『ファントムのレベルは術者の精神によって決まるでござる!! いまの宝塚殿は一時的に拙僧と同レベルにまでその精神力は上がっているでござる。当然、ファントムにも影響は出るでござるよ!! ぐふふふふふふふふふふ』
なにを気持ちの悪い笑いを上げているのかこの饅頭は?
あ、もしかしてこのエロ饅頭、ドミニオンを使って私の視界を共有してる!?
相手の思考に入り込むところまではマステマと同じというならば、このあたりもたぶん共通しているはず。
私は慌ててラミアから視線を外した。
『ああ、何をするでござる!! せっかくの眼福を!! 拙僧の楽しみを奪わないでくだされ~~~~っ!!』
『うるさいわこの変質ロリ饅頭め!! ちょっとはその異常性癖を隠せ!!』
『宝塚殿にだけは言われたくないでごさるよ~~~~? それにラミア殿はあ・く・ま・で・ファントム。実体の無い霊体でござれば人間でもないでありんす。いうなれはこれは芸術を愛でる崇高な感情。宝塚殿のフィギュア干渉と同じでござるよ?』
『ぬぅぅぅ!! ……そう言われたら返す言葉も資格もないが、でもいまはそんなこと言い争ってる場合じゃなんだ!! いまだけでいいから節操ってもんを持ってくれい!!』
――――バキバキバキッ!!
椿がぎこちない動きで立ち上がった。
自らを覆った氷を砕き落とし、その身には傷一つ付いていなかった。
結界の圧と、投げ出されたショックの両方を氷で吸収していたようだ。
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
霜をまとった息を吐きながら椿は虚ろな目を向けてくる。
菜々ちんは少し離れたところでバイクを止めている。
『菜々殿が止まったのは椿殿を視界から外すと、マステマの操作を出来なくなるからでござるな。同じ念話使い。その辺りの事象は手に取るようにわかるでござるよ。アメリカンバイクとセーラー服……ソソるでござる』
『邪念とごっちゃに解説しないでくれる? ……力が抜けるから。でもそうか……なら逆に椿をここに足止めしておけば菜々ちんは逃げないってことね?』
『椿を切り捨てなければそうでござろうが……。しかし勘違いしないで欲しいでござるよ、拙僧らの目的はあくまで椿殿の確保でござる』
いきなり湧き上がるパワーに私は度肝を抜かれる。
『これが拙僧のファントム、ドミニオンの力でござるよ』
『どういうことっ!?』
『念話を通じて相手の思考に入り込むところまではマステマと同じでござる。そこから相手の意志を乗っ取り、操るのがマステマでござるが、ドミニオンは意識には介入しないでござる。その代わり精神エネルギーに干渉するでありんす』
『え~~~~っと、え~~~~~~と……?』
さっきから話しがややこしすぎる!!
こちとら超能力初心者なんだからもっと簡単に教えてくれ!!
すると、私のそんな思考を読み取ったのか、筆頭はごく簡単に説明してくれた。
『つまり、宝塚殿の能力レベルを一時的に強化したでござるよ』
『なぬっ!?』
『論より証拠。結界を作り出すでござるっ!!』
それでもどういうことなのかわからなかったが、このままじっと氷漬けにされているわけにもいかない。言われた通りに結界を発動させてみる。
と、
――――バギャァァァァァァァンッ!!!!
氷漬けのせいでさっきまで上手く発動できなかった結界がいとも簡単に作り出せた。
「――――っ!??」
「な、なんだっ!??」
突然発動した私の結界に、椿と部下その①は慌てる。
椿の冷凍能力を遮断した結界は、そのまま物理干渉する結界術へと変化し、車内の全てを内側から押し出し、
――――メキメキメキ……!!!!
「――――ぐおっ!! まずい!!!!」
「―――――っ!!」
その圧に耐えかねて二人は走っている車から転がるように飛び出した。
――――グドォムッ!!!!
次の瞬間、私の結界は車を内側から爆発させるように破壊し、その殻に守られつつ私も車外へ投げ出された。
「うぐぎゅりゅわっ!??」
脱出が遅れた部下その②は圧に飲まれ四肢をちぎり飛ばしながら吹き飛ばされる。
「!? まさか宝塚さん!??」
――――ギキャキャキャッ!!!!
その惨劇を見て菜々ちんのバイクが横滑りしつつ止まった。
(……ぐ……くぅ……ま、まだ体が動かない……)
地面に突っ伏しながら起きようとしたが、凍りついた身体はまだ動かず、私はラミアに回復術を命じる。
(ラミア、凍った身体を回復して!!)
『きゅるうっ!!』
すかさず返事し、術を練り始めるラミア。
しかし、その姿がいきなり変わっていて私は絶句した。
(ラミア……あんた…………?)
いつもの彼女はほんの小さな子猫サイズだったはず。
それがいまは小学生くらいにまで大きくなってしまっている。
見た目もやや大人びていて、剥き出しの胸は少し膨らんできている。
……ど、どういうこと??
私の戸惑いをよそに、回復は始められた。
凍って固まっていた細胞全てが書き換えられ、新たな存在へと生まれ変わる。
「――――かはっ!??」
そして凍った体は暖かに溶け、復活した。
『筆頭!! これどういうこと、ラミアが成長しちゃってるんだけど!??』
すかさず念話を返す。
原因は聞かずともこのブタ饅が犯人だと言うことは想像できた。
『ファントムのレベルは術者の精神によって決まるでござる!! いまの宝塚殿は一時的に拙僧と同レベルにまでその精神力は上がっているでござる。当然、ファントムにも影響は出るでござるよ!! ぐふふふふふふふふふふ』
なにを気持ちの悪い笑いを上げているのかこの饅頭は?
あ、もしかしてこのエロ饅頭、ドミニオンを使って私の視界を共有してる!?
相手の思考に入り込むところまではマステマと同じというならば、このあたりもたぶん共通しているはず。
私は慌ててラミアから視線を外した。
『ああ、何をするでござる!! せっかくの眼福を!! 拙僧の楽しみを奪わないでくだされ~~~~っ!!』
『うるさいわこの変質ロリ饅頭め!! ちょっとはその異常性癖を隠せ!!』
『宝塚殿にだけは言われたくないでごさるよ~~~~? それにラミア殿はあ・く・ま・で・ファントム。実体の無い霊体でござれば人間でもないでありんす。いうなれはこれは芸術を愛でる崇高な感情。宝塚殿のフィギュア干渉と同じでござるよ?』
『ぬぅぅぅ!! ……そう言われたら返す言葉も資格もないが、でもいまはそんなこと言い争ってる場合じゃなんだ!! いまだけでいいから節操ってもんを持ってくれい!!』
――――バキバキバキッ!!
椿がぎこちない動きで立ち上がった。
自らを覆った氷を砕き落とし、その身には傷一つ付いていなかった。
結界の圧と、投げ出されたショックの両方を氷で吸収していたようだ。
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
霜をまとった息を吐きながら椿は虚ろな目を向けてくる。
菜々ちんは少し離れたところでバイクを止めている。
『菜々殿が止まったのは椿殿を視界から外すと、マステマの操作を出来なくなるからでござるな。同じ念話使い。その辺りの事象は手に取るようにわかるでござるよ。アメリカンバイクとセーラー服……ソソるでござる』
『邪念とごっちゃに解説しないでくれる? ……力が抜けるから。でもそうか……なら逆に椿をここに足止めしておけば菜々ちんは逃げないってことね?』
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