219 / 289
第219話 悪の食い合い①
しおりを挟む
どどどどどどどどどどっと猛ダッシュで旅館へと帰宅する。
「ちょっと宝塚様!! 営業中期間中は館内で騒がしくしないでください!!」
と、注意をしてくる瀬戸さんの両腕をガシッと掴み、
「あ、あ、あ、あ、あの豚饅頭はどこに行ったの!???」
と血走った目で尋ねた。
「ぶ、豚まん……? ああ~~~~銀野筆頭監視官ですか? そ、それなら別館の控室で職員の検査をしていますけれども……ほら昨日の……」
「あざ――――っすっ!!!!」
礼を言うと私はその別館へと猛ダッシュで走って行った。
後ろから瀬戸さんの怒鳴り声が聞こえてきたが、いまはそれどころじゃない!!
「あ、あ、あ、あ~~~~ぃ♡ ……で、で、で、では次の方ぁ~~~~♡」
控室に着くと、上半身を裸にした若い仲居さんの前で聴診器を手にし、鼻の下を伸ばしまくった変態饅頭と、目頭を押さえ疲れた顔をしている女将が目に飛び込んできた。
「なにやっとんじゃーーーーーーーーぃっ!!!!」
私は迷わずそのクソ饅頭に真空飛び膝蹴りを食らわす!!
「ぐふぁーーーーーーっ!!!!」
鼻血を吹き出して吹っ飛び転がる、赤饅頭。
「なななな、たた宝塚殿!! な、な、な、何をするでござるかっ!??? 拙僧そんなプレイ今日は望んでいないでござるに!!??」
「誰が拙僧だ!! この変態破壊坊主が!! ……あんた大人の女には興味なかったんじゃないのっ!!!!」
腐れ饅頭の胸ぐらを掴んで殺気混じりの凄みを効かせる私。
圧倒的上司に対して完全なる不敬の態度なのだが、職権乱用のセクハラ現場の現行犯だ。そんなことは関係ない。
「ぼぼ、ぼぼぼ僕のストライクゾーンは22歳までなんだな。こここ、この娘はギリギリ外角高めに入ってくるんだな、だな、ぐふふふふ」
不気味に笑う汗饅頭に青ざめた顔をし、ドン引きしている若い仲居さん。
「大丈夫です!! これは私が退治しときますから、あなたは逃げてっ!!」
私がそう言うと、彼女は私と女将にお辞儀をしてぴゅ~~っと逃げていった。
「あああ~~~~……まだ左のおっぱいを調べていないのに」
「女将!! 女将がいながらどうしてこんな変態を野放しにしているんですか!?」
牙を生やして責め立てると、
「まぁ……悪いとは思っていたんだがね。……この歳になると乳の一つや二つ、べつに好きにさせればいいじゃないかと思うようになってねぇ。それで検査が事無く進むんなら細かいことはもういいかと……」
「……事無く済ませるはずが無いですよ!!」
女将までもこのおっぱい饅頭に毒されておかしくなっている??
しっかりしてくれとばかりに激しく肩を揺さぶって抗議した。
「そ、そ、そそうだね、そうだね、悪かったよ……、で? お前さんは慌てて一体どうしたんだい?」
そう言われてハッとした私は、慌ててさっきのニュースを二人に説明した。
「ふぅん……なるほどね。こりゃ確かに菜々だね」
職員への検査は一旦中断。
私たちは緊急作戦会議と称し、尾栗庵に集まっていた。
説明を聞き、携帯で一応のニュース確認をしてから女将は落ち着いたようすでお茶を啜った。
「案外元気そうじゃないか。よかったねぇ無事な顔が見れて」
料理長もにこやかな顔でそう言ってくる。
「そうですね。最悪、監禁くらいはされているのではと心配しましたが、このようすだと無事に活動されているようで何よりです」
瀬戸さんも携帯画面に映る菜々ちんの顔を見て安堵の笑みを浮かべる。
私はそんな人達の対応を唖然とした顔で見つめていた。
「ん? ……どうしたんだい、人をそんな、人でなしを見るような目で眺めるもんじゃないよ?」
女将が不機嫌そうに言うが、
「……い、いやいやいや……だって、菜々ちん……こんな事件に巻き込まれることになってるんですよ??」
「巻き込まれるというか……当事者ですよね? どちらかというと」
「そうだねぇ、見た感じ指揮官の立ち位置だねえこりゃあ」
「だ、だ、だ、ダメじゃないですか!!」
瀬戸さんと料理長のあっさりしすぎている反応に、目頭を釣り上げ抗議する。
「ん? ダメとは?」
不思議な顔をして料理長。
「いや……だから……!! こんな……テロみたいな……」
みんなの反応が信じられないと言ったようすで言い淀んでいる私を、女将は逆に呆れた顔でため息を吐く。
「あ~~……そうか、お前さん、菜々が連中のテロ活動に担ぎ出されているのがショックだと、そう言いたいわけだねえ?」
「そ、そ、そ、そ、そうですよ!! こんなこと、すぐに止めさせなきゃ!! きっと菜々ちんは操られて、したくもないことをやらされているんです」
「いやまぁ……でもよ?」
慌ててまくし立てる私に、料理長が半笑いで言ってきた。
「この程度のことなら……ここにいた時からやってるぞ、あいつ」
「……あ」
言われて気付く。
そして色々思い出す。
「むしろ自分から乱射してないぶん、ちょっと大人しいくらいじゃないか?」
「……やれやれ、お前さんまだ一般人だった頃の感覚が抜けていないようだね。この程度の荒事なんぞ、私らが気にするものでもないだろう」
「いや、でもこれは……JPAの業務じゃなくて……」
「そりゃいまは向こうの一員だからねえ」
「や、止めさせなきゃっ!!」
「だからどうして?」
「こ、こんなのは無差別テロですよ!?? やらせていて良いわけないじゃないですか!!!!」
「……まぁ、かたいこと言うなって。どのみちこりゃ警察とかの案件だろう?」
お前の言いたいこともわかるけどな、とばかりに、なだめるように私の肩に手を置いてくる料理長。
私はひさびさにこの組織の異常性を再確認させられるはめになった。
「ちょっと宝塚様!! 営業中期間中は館内で騒がしくしないでください!!」
と、注意をしてくる瀬戸さんの両腕をガシッと掴み、
「あ、あ、あ、あ、あの豚饅頭はどこに行ったの!???」
と血走った目で尋ねた。
「ぶ、豚まん……? ああ~~~~銀野筆頭監視官ですか? そ、それなら別館の控室で職員の検査をしていますけれども……ほら昨日の……」
「あざ――――っすっ!!!!」
礼を言うと私はその別館へと猛ダッシュで走って行った。
後ろから瀬戸さんの怒鳴り声が聞こえてきたが、いまはそれどころじゃない!!
「あ、あ、あ、あ~~~~ぃ♡ ……で、で、で、では次の方ぁ~~~~♡」
控室に着くと、上半身を裸にした若い仲居さんの前で聴診器を手にし、鼻の下を伸ばしまくった変態饅頭と、目頭を押さえ疲れた顔をしている女将が目に飛び込んできた。
「なにやっとんじゃーーーーーーーーぃっ!!!!」
私は迷わずそのクソ饅頭に真空飛び膝蹴りを食らわす!!
「ぐふぁーーーーーーっ!!!!」
鼻血を吹き出して吹っ飛び転がる、赤饅頭。
「なななな、たた宝塚殿!! な、な、な、何をするでござるかっ!??? 拙僧そんなプレイ今日は望んでいないでござるに!!??」
「誰が拙僧だ!! この変態破壊坊主が!! ……あんた大人の女には興味なかったんじゃないのっ!!!!」
腐れ饅頭の胸ぐらを掴んで殺気混じりの凄みを効かせる私。
圧倒的上司に対して完全なる不敬の態度なのだが、職権乱用のセクハラ現場の現行犯だ。そんなことは関係ない。
「ぼぼ、ぼぼぼ僕のストライクゾーンは22歳までなんだな。こここ、この娘はギリギリ外角高めに入ってくるんだな、だな、ぐふふふふ」
不気味に笑う汗饅頭に青ざめた顔をし、ドン引きしている若い仲居さん。
「大丈夫です!! これは私が退治しときますから、あなたは逃げてっ!!」
私がそう言うと、彼女は私と女将にお辞儀をしてぴゅ~~っと逃げていった。
「あああ~~~~……まだ左のおっぱいを調べていないのに」
「女将!! 女将がいながらどうしてこんな変態を野放しにしているんですか!?」
牙を生やして責め立てると、
「まぁ……悪いとは思っていたんだがね。……この歳になると乳の一つや二つ、べつに好きにさせればいいじゃないかと思うようになってねぇ。それで検査が事無く進むんなら細かいことはもういいかと……」
「……事無く済ませるはずが無いですよ!!」
女将までもこのおっぱい饅頭に毒されておかしくなっている??
しっかりしてくれとばかりに激しく肩を揺さぶって抗議した。
「そ、そ、そそうだね、そうだね、悪かったよ……、で? お前さんは慌てて一体どうしたんだい?」
そう言われてハッとした私は、慌ててさっきのニュースを二人に説明した。
「ふぅん……なるほどね。こりゃ確かに菜々だね」
職員への検査は一旦中断。
私たちは緊急作戦会議と称し、尾栗庵に集まっていた。
説明を聞き、携帯で一応のニュース確認をしてから女将は落ち着いたようすでお茶を啜った。
「案外元気そうじゃないか。よかったねぇ無事な顔が見れて」
料理長もにこやかな顔でそう言ってくる。
「そうですね。最悪、監禁くらいはされているのではと心配しましたが、このようすだと無事に活動されているようで何よりです」
瀬戸さんも携帯画面に映る菜々ちんの顔を見て安堵の笑みを浮かべる。
私はそんな人達の対応を唖然とした顔で見つめていた。
「ん? ……どうしたんだい、人をそんな、人でなしを見るような目で眺めるもんじゃないよ?」
女将が不機嫌そうに言うが、
「……い、いやいやいや……だって、菜々ちん……こんな事件に巻き込まれることになってるんですよ??」
「巻き込まれるというか……当事者ですよね? どちらかというと」
「そうだねぇ、見た感じ指揮官の立ち位置だねえこりゃあ」
「だ、だ、だ、ダメじゃないですか!!」
瀬戸さんと料理長のあっさりしすぎている反応に、目頭を釣り上げ抗議する。
「ん? ダメとは?」
不思議な顔をして料理長。
「いや……だから……!! こんな……テロみたいな……」
みんなの反応が信じられないと言ったようすで言い淀んでいる私を、女将は逆に呆れた顔でため息を吐く。
「あ~~……そうか、お前さん、菜々が連中のテロ活動に担ぎ出されているのがショックだと、そう言いたいわけだねえ?」
「そ、そ、そ、そ、そうですよ!! こんなこと、すぐに止めさせなきゃ!! きっと菜々ちんは操られて、したくもないことをやらされているんです」
「いやまぁ……でもよ?」
慌ててまくし立てる私に、料理長が半笑いで言ってきた。
「この程度のことなら……ここにいた時からやってるぞ、あいつ」
「……あ」
言われて気付く。
そして色々思い出す。
「むしろ自分から乱射してないぶん、ちょっと大人しいくらいじゃないか?」
「……やれやれ、お前さんまだ一般人だった頃の感覚が抜けていないようだね。この程度の荒事なんぞ、私らが気にするものでもないだろう」
「いや、でもこれは……JPAの業務じゃなくて……」
「そりゃいまは向こうの一員だからねえ」
「や、止めさせなきゃっ!!」
「だからどうして?」
「こ、こんなのは無差別テロですよ!?? やらせていて良いわけないじゃないですか!!!!」
「……まぁ、かたいこと言うなって。どのみちこりゃ警察とかの案件だろう?」
お前の言いたいこともわかるけどな、とばかりに、なだめるように私の肩に手を置いてくる料理長。
私はひさびさにこの組織の異常性を再確認させられるはめになった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

MMS ~メタル・モンキー・サーガ~
千両文士
SF
エネルギー問題、環境問題、経済格差、疫病、収まらぬ紛争に戦争、少子高齢化・・・人類が直面するありとあらゆる問題を科学の力で解決すべく世界政府が協力して始まった『プロジェクト・エデン』
洋上に建造された大型研究施設人工島『エデン』に招致された若き大天才学者ミクラ・フトウは自身のサポートメカとしてその人格と知能を完全電子化複製した人工知能『ミクラ・ブレイン』を建造。
その迅速で的確な技術開発力と問題解決能力で矢継ぎ早に改善されていく世界で人類はバラ色の未来が確約されていた・・・はずだった。
突如人類に牙を剥き、暴走したミクラ・ブレインによる『人類救済計画』。
その指揮下で人類を滅ぼさんとする軍事戦闘用アンドロイドと直属配下の上位管理者アンドロイド6体を倒すべく人工島エデンに乗り込むのは・・・宿命に導かれた天才学者ミクラ・フトウの愛娘にしてレジスタンス軍特殊エージェント科学者、サン・フトウ博士とその相棒の戦闘用人型アンドロイドのモンキーマンであった!!
機械と人間のSF西遊記、ここに開幕!!
Dark Night Princess
べるんご
ホラー
古より、闇の隣人は常に在る
かつての神話、現代の都市伝説、彼らは時に人々へ牙をむき、時には人々によって滅ぶ
突如現れた怪異、鬼によって瀕死の重傷を負わされた少女は、ふらりと現れた美しい吸血鬼によって救われた末に、治癒不能な傷の苦しみから解放され、同じ吸血鬼として蘇生する
ヒトであったころの繋がりを全て失い、怪異の世界で生きることとなった少女は、その未知の世界に何を見るのか
現代を舞台に繰り広げられる、吸血鬼や人狼を始めとする、古今東西様々な怪異と人間の恐ろしく、血生臭くも美しい物語
ホラー大賞エントリー作品です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる