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第217話 本当の想い④
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『――――え??』
その言葉にみんなが一斉に筆頭に注目する。
「……たしかに憑依されていたっていうのに、操られていないとは……妙な事を言うじゃないか? 詳しい説明を聞かせておくれよ」
女将が筆頭にそう尋ねた。
私やみんなもわけがわからなくて、とにかく筆頭の説明を聞くことにした。
「あ、あ、あくまでききき記憶を観た限りなんですけどね、ぼ、ぼ、ぼ僕の念話はその人の記憶とさらにすす、少しですが思考まで読み取ることが出来ます。そ、そそそ、それで確認したんですが、も、も、百恵殿の記憶と思考パターンに怪しいところは何も見当たらなかったのでおおお、おじゃる!!」
「……じゃあいまのマステマは何だっていうんだい?」
料理長がわからねぇなと言うように眉をしかめて聞くと、
「お、おおお恐らく……でで、ですが、術者は乗っ取るつもりではあったと思うんですよ……しし、し、しかし……」
「術者とは所長のことですね?」
私が聞くと筆頭はぶふ、ぶふ、っとうなずきそして、
「こ、こここ……ここからは私の推測なんですけど。そ、そ、その大西前所長の能力である『マステマ』は、ひょひょひょ標的に対して、そそ、そ、そこまでの支配力は無いのではと愚考いたします」
「支配力がない???」
頭に三つほどハテナマークを浮かべて宇恵ちゃんが尋ねる。
私も四つ浮かべてうなずいた。
「つつつ、つまり前所長はかつて百恵殿を操ろうとマステマをととと、と取り憑かせましたが、ももも百恵殿の能力者としてのレベルがその時点ですでに想像以上に高くししし失敗してしまったのではないでしょうか??」
「そんなことがあるんですか?」
と私。
「ぼぼ、ぼ僕も同じ念話使いですからわわ、わかるんです……ここ、この手の能力はいかに相手に干渉出来るかが勝負なんです。念話だけのように単純な能力行使ならある程度の干渉力は発揮出来るのですが」
私は所長の念話で無理やり能力をかき乱されたのを思い出す。
所長は私をも凌ぐ、その強力な出力で私の超能力全てを封じてきたのだ。
「ととととところが、ファントムの憑依などと言ったふふふ複雑なモノとなると、その干渉力はぐんっと落ちるんです」
「そうか……だとしたら、マステマが支配出来るのは……」
料理長が的を得たとばかりに顎を掻いた。
「は、は、はい……ある程度のレベル以下の能力者だと推測されます」
「……と言うことは……百恵様はマステマの支配から――――!?」
「は、はい、れれれレジストしていたものと思われます」
その筆頭の言葉に、私たちは心底ほっとして座り込んだ。
「……でも、じゃあいまのマステマは一体何だったのでしょう……?」
宇恵ちゃんが不思議そうに言った。
「ししし、支配しきれず。ほほほ本体にも戻れず、百恵殿の中に留まっていたとおもおも思われます」
「いつからだい? ……まさか何年も前からって話じゃないだろうね」
まさかと言う表情で料理長が聞く。
「いいい、いや、さすがにそれは無いでしょう。おおお恐らく、取り付いたのはごく最近。どどど、どこかで接触した時に潜り込まれたのでしょう」
「……わからないねぇ」
料理長が不機嫌そうに首をかしげて腕を組んだ。
「ななな、なにがです?」
「正也と渦女……そして片桐に取り付いて、さらに百恵にまで……マステマってのは一体何体存在するって言うんだい? いまマリアが倒したが、それで消滅ってことはたぶん無いんだろう?」
料理長の言葉に筆頭は深くうなずいて答える。
「は、は、はい、おそおそおそ恐らく、いま相手にしたマステマはただの分身体でしょう、またすぐに新たな分身体が生み出され、かかか完全に消滅させるには、ほほほ本体を攻撃する必要があると思われます」
「……本体?」
「は、は、はい。……おお、おそらく前所長の元にいると推測できますな」
「そいつを元にして分身体を、か……その数は?」
「うううう~~~~む……さささすがにそこまではぼぼぼ僕もわかりかねますが、なななにぶん系統は同じとは言え同一の能力ではないので……。た、ただそんなに多くは作れないんじゃ、なななないのでしょうか」
「……だね。無限に作れるなら今頃……私らはともかくJPASの連中は根こそぎ毒牙にかけられているだろうからな」
料理長の言葉にみんなうなずく。
そうだったらJPASどころか、日本中がベヒモスだらけになってしまう。その光景を想像して私はゾッとした。
そうなっていないということは、分身体を生み出すにしてもそれを制御する数には限りがあるということ。
「たしかに……とすれば、いまマリアが一体消した事によって、新たな分身体が再出現し、さらに新たに憑依される人間が出てくるってことですか?」
「そそそ、そうですね」
瀬戸さんの問に筆頭がうなずいた。
先生は少し考えて、
「百恵が憑依されたタイミングは恐らく正也たちと戦ったあの時よ。あの時点でマステマは正也、渦女……そして菜々の三体いたはずよ。そのうちの二体……正也か渦女のどちらかに取り付いていたマステマが百恵に乗り移ったんでしょうね」
「……となると、片桐のと合わせて……マステマの分体は最低でも四体ってことになるねぇ」
先生の推測に女将が答えた。
「四体……そのうち三体は、フリーってことになりますね……」
宇恵ちゃんが青ざめて手を口にやる。
「そうだねぇ、つまりあと三体は……新たなベヒモスが作られ、そしてそれを処理したとしても、マステマが存在する限り無限に……四体のベヒモスが作られ続けるということなんだろうね」
女将の言葉に、その場の全員が表情を強張らせ、生唾を飲み込んだ。
その言葉にみんなが一斉に筆頭に注目する。
「……たしかに憑依されていたっていうのに、操られていないとは……妙な事を言うじゃないか? 詳しい説明を聞かせておくれよ」
女将が筆頭にそう尋ねた。
私やみんなもわけがわからなくて、とにかく筆頭の説明を聞くことにした。
「あ、あ、あくまでききき記憶を観た限りなんですけどね、ぼ、ぼ、ぼ僕の念話はその人の記憶とさらにすす、少しですが思考まで読み取ることが出来ます。そ、そそそ、それで確認したんですが、も、も、百恵殿の記憶と思考パターンに怪しいところは何も見当たらなかったのでおおお、おじゃる!!」
「……じゃあいまのマステマは何だっていうんだい?」
料理長がわからねぇなと言うように眉をしかめて聞くと、
「お、おおお恐らく……でで、ですが、術者は乗っ取るつもりではあったと思うんですよ……しし、し、しかし……」
「術者とは所長のことですね?」
私が聞くと筆頭はぶふ、ぶふ、っとうなずきそして、
「こ、こここ……ここからは私の推測なんですけど。そ、そ、その大西前所長の能力である『マステマ』は、ひょひょひょ標的に対して、そそ、そ、そこまでの支配力は無いのではと愚考いたします」
「支配力がない???」
頭に三つほどハテナマークを浮かべて宇恵ちゃんが尋ねる。
私も四つ浮かべてうなずいた。
「つつつ、つまり前所長はかつて百恵殿を操ろうとマステマをととと、と取り憑かせましたが、ももも百恵殿の能力者としてのレベルがその時点ですでに想像以上に高くししし失敗してしまったのではないでしょうか??」
「そんなことがあるんですか?」
と私。
「ぼぼ、ぼ僕も同じ念話使いですからわわ、わかるんです……ここ、この手の能力はいかに相手に干渉出来るかが勝負なんです。念話だけのように単純な能力行使ならある程度の干渉力は発揮出来るのですが」
私は所長の念話で無理やり能力をかき乱されたのを思い出す。
所長は私をも凌ぐ、その強力な出力で私の超能力全てを封じてきたのだ。
「ととととところが、ファントムの憑依などと言ったふふふ複雑なモノとなると、その干渉力はぐんっと落ちるんです」
「そうか……だとしたら、マステマが支配出来るのは……」
料理長が的を得たとばかりに顎を掻いた。
「は、は、はい……ある程度のレベル以下の能力者だと推測されます」
「……と言うことは……百恵様はマステマの支配から――――!?」
「は、はい、れれれレジストしていたものと思われます」
その筆頭の言葉に、私たちは心底ほっとして座り込んだ。
「……でも、じゃあいまのマステマは一体何だったのでしょう……?」
宇恵ちゃんが不思議そうに言った。
「ししし、支配しきれず。ほほほ本体にも戻れず、百恵殿の中に留まっていたとおもおも思われます」
「いつからだい? ……まさか何年も前からって話じゃないだろうね」
まさかと言う表情で料理長が聞く。
「いいい、いや、さすがにそれは無いでしょう。おおお恐らく、取り付いたのはごく最近。どどど、どこかで接触した時に潜り込まれたのでしょう」
「……わからないねぇ」
料理長が不機嫌そうに首をかしげて腕を組んだ。
「ななな、なにがです?」
「正也と渦女……そして片桐に取り付いて、さらに百恵にまで……マステマってのは一体何体存在するって言うんだい? いまマリアが倒したが、それで消滅ってことはたぶん無いんだろう?」
料理長の言葉に筆頭は深くうなずいて答える。
「は、は、はい、おそおそおそ恐らく、いま相手にしたマステマはただの分身体でしょう、またすぐに新たな分身体が生み出され、かかか完全に消滅させるには、ほほほ本体を攻撃する必要があると思われます」
「……本体?」
「は、は、はい。……おお、おそらく前所長の元にいると推測できますな」
「そいつを元にして分身体を、か……その数は?」
「うううう~~~~む……さささすがにそこまではぼぼぼ僕もわかりかねますが、なななにぶん系統は同じとは言え同一の能力ではないので……。た、ただそんなに多くは作れないんじゃ、なななないのでしょうか」
「……だね。無限に作れるなら今頃……私らはともかくJPASの連中は根こそぎ毒牙にかけられているだろうからな」
料理長の言葉にみんなうなずく。
そうだったらJPASどころか、日本中がベヒモスだらけになってしまう。その光景を想像して私はゾッとした。
そうなっていないということは、分身体を生み出すにしてもそれを制御する数には限りがあるということ。
「たしかに……とすれば、いまマリアが一体消した事によって、新たな分身体が再出現し、さらに新たに憑依される人間が出てくるってことですか?」
「そそそ、そうですね」
瀬戸さんの問に筆頭がうなずいた。
先生は少し考えて、
「百恵が憑依されたタイミングは恐らく正也たちと戦ったあの時よ。あの時点でマステマは正也、渦女……そして菜々の三体いたはずよ。そのうちの二体……正也か渦女のどちらかに取り付いていたマステマが百恵に乗り移ったんでしょうね」
「……となると、片桐のと合わせて……マステマの分体は最低でも四体ってことになるねぇ」
先生の推測に女将が答えた。
「四体……そのうち三体は、フリーってことになりますね……」
宇恵ちゃんが青ざめて手を口にやる。
「そうだねぇ、つまりあと三体は……新たなベヒモスが作られ、そしてそれを処理したとしても、マステマが存在する限り無限に……四体のベヒモスが作られ続けるということなんだろうね」
女将の言葉に、その場の全員が表情を強張らせ、生唾を飲み込んだ。
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