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第212話 恐怖のセクハラ検査①
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「所長と同じ……!?」
同じ能力ってことは……まさかこの男もマステマのような力を使うのか!?
私はとたん、恐怖と警戒の目で筆頭を睨んだ。
「あああああ……ご、ごめんなさい。おおお同じと言ってもファントムまで同じじゃありませんよ。ぼぼぼ僕のはもっと穏やかな能力です。お、お、お、お、同じと言ったのは基本的な念話能力のことですよ」
私だけじゃなく百恵ちゃんや宇恵ちゃんまでもにキツく警戒され、あわてて弁明する銀野筆頭。しかし、
見た目アウト、性癖アウト、能力アウトのスリーアウトを決めてしまい、私たちからは完全に距離を置かれてしまう。
「……それでどうやって吾輩たちを検査しようというのじゃ?」
疑惑の目を隠そうともせずに問う百恵ちゃんだが、
「……それは私から説明しようじゃないか」
筆頭監視官に代わって女将が説明をしてくれるようだ。
うん、そっちの方がいい。この変態だと話しが進まない気がする。
女将は小さく咳払いをすると、
「お前たちも、もうある程度は知っていると思うが、念話はただ離れた相手と会話が出来るだけの能力じゃない。レベルを上げていけば相手の意思の中に入り込み、過去の記憶や考えている事を読み取ったり、さらに進化すれば『マステマ』のように相手の自我そのものを乗っ取り、操ることも可能になる恐ろしい能力だ」
先の戦いで実際体験してしまった私は、その説明に大きくうなずく。
みんなもその驚異は充分理解しているようで神妙にうなずいていた。
「だが……念話能力者が全員そんな驚異の存在かといえば、そうじゃない。マステマはあくまで大西の個別能力であって、他の者は、それぞれまた違う終着点を持っているんだよ。もちろんこの銀野筆頭監視官も大西とはまた別の形の能力を使うよ」
「それは……どんな能力なんじゃ?」
いまだ睨み続けつつ、百恵ちゃんが尋ねる。
と、女将さんがチラリと筆頭の顔をみると、変態はちょっと眉を曲げて小刻みに首を横に振った。
「……まぁ、今回の検査にはそこまでの能力は使わない。せいぜいが記憶の閲覧程度の干渉だよ。だからおかしな事にはならないはずだから、そんなに警戒する必要はないよ、安心おし」
「いや……記憶を読み取るって…………??」
宇恵ちゃんが冷や汗をダラダラ流しながら、変態筆頭官の顔を真っ青な顔で見つめた。
「まぁ……潔白を証明するには記憶を見せるのが一番確実だからねぇ。ここひと月くらいの記憶を見せて、そこに怪しい動きが無ければお前たちの疑いは晴れるよ。なに、痛いことされるわけじゃないし、手間も一瞬で終わるさ」
「こ……こここっこっこっこ、ここ一ヶ月の記憶????」
今度は顔面を真っ赤にして目をぐるぐる回す宇恵ちゃん。
瀬戸さんも青ざめてムンクの叫びのようになっている。
私も冗談じゃないと内心悲鳴を上げていた。
「……私らはもう見せた後だ。お前らも日頃の行いに恥じるところが無ければ問題ないだろう? 観念して検査を受けな」
と仏頂面で料理長が言ってきた。
うふ、うふ、うふ……と不気味に笑っている銀野筆頭犯罪者予備軍。
「い、いやいやいや……言っちゃあ悪いが、枯れた女将と、色気のない料理長、そもそもが恥知らずな死ぬ子先生ならそりゃ大丈夫だろうが、私たちみたいな花も恥じらううら若き乙女が、こんな変態ロリコンオタク三十路魔術師に一糸まとわぬ私生活を見られるなんてケツの穴を見られるよりも大問題じゃないか!! 先生と同い年くらいの瀬戸さんや、色気がつく前の百恵ちゃんならまだマシだろうが、私と宇恵ちゃんはマズイ。だって十代半ばだよ? そんなもんの私生活なんて思春期の痛々しい秘密のバーゲンセールに決まっているじゃないか!! このあいだだって私は街の中古ホビーショップで『ショタ勇者正太くん』フィギアの魔改造モデルをローアングルで鑑賞してBL同人誌を大人買いしたあげくに男子体操服を通販で――――」
「……全部声に出てます……宝塚先輩……」
両手で顔を覆った宇恵ちゃんが涙を流しながら私の横腹を突いてくる。
し、しまった――――っ!! ひさびさに悪いクセが~~~~~~っ!!
「……枯れてて悪かったね」
「……確かに色気は無いが私も一応、女なんだがねぇ」
「……そもそも恥知らずなのはぁ……あんたも同じでしょぉぉぉぉ~~ぅ?」
「コイツと同い年で悪うございましたぁぁぁぁ~~~~~~~~……!!」
女将と料理長と先生と瀬戸さんが怒りのオーラを携えてゆらりと私を取り囲んだ。
「え……あ、あのぉ~~……」
そんな先輩方を見上げ、汗だくになって引きつる私。
ずさずさと畳を掻いて後ずさるが、狭い部屋の壁はすぐに私の背中を押し留めた。
「う……うぐぐ!???」
そんな私を逃すまいと、四人は手をワキワキして近寄ってくる。
「い……いやじゃぁぁぁぁっ!!」
「これも組織の規律と安全を守るためだよ……」
「……観念して、清濁全部見しちまいな」
「恥ずかしい記憶なんてぇぇぇ……どうせみんなよく似たもんよぉぉぉ……」
「大丈夫です。歳を取ればすぐに笑い話になりますよ……ふふふ、おほほ」
そして一斉に飛びかかってくる悪魔たち!!
「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉつ!!!!」
ポカスカポカスカ――――。
――――数分後、
必死の抵抗むなしくスマキにされた私は、変態筆頭監視官の前に転がされた。
ある意味、操を捧げるよりもキツイ試練。
「ぐふぐふぐふ、で、で、ではその記憶――――いただきマンモス~~~~♡」
私は縛られた猿ぐつわを噛み締めながら、ただ涙を流し天井のシミを数えていた。
同じ能力ってことは……まさかこの男もマステマのような力を使うのか!?
私はとたん、恐怖と警戒の目で筆頭を睨んだ。
「あああああ……ご、ごめんなさい。おおお同じと言ってもファントムまで同じじゃありませんよ。ぼぼぼ僕のはもっと穏やかな能力です。お、お、お、お、同じと言ったのは基本的な念話能力のことですよ」
私だけじゃなく百恵ちゃんや宇恵ちゃんまでもにキツく警戒され、あわてて弁明する銀野筆頭。しかし、
見た目アウト、性癖アウト、能力アウトのスリーアウトを決めてしまい、私たちからは完全に距離を置かれてしまう。
「……それでどうやって吾輩たちを検査しようというのじゃ?」
疑惑の目を隠そうともせずに問う百恵ちゃんだが、
「……それは私から説明しようじゃないか」
筆頭監視官に代わって女将が説明をしてくれるようだ。
うん、そっちの方がいい。この変態だと話しが進まない気がする。
女将は小さく咳払いをすると、
「お前たちも、もうある程度は知っていると思うが、念話はただ離れた相手と会話が出来るだけの能力じゃない。レベルを上げていけば相手の意思の中に入り込み、過去の記憶や考えている事を読み取ったり、さらに進化すれば『マステマ』のように相手の自我そのものを乗っ取り、操ることも可能になる恐ろしい能力だ」
先の戦いで実際体験してしまった私は、その説明に大きくうなずく。
みんなもその驚異は充分理解しているようで神妙にうなずいていた。
「だが……念話能力者が全員そんな驚異の存在かといえば、そうじゃない。マステマはあくまで大西の個別能力であって、他の者は、それぞれまた違う終着点を持っているんだよ。もちろんこの銀野筆頭監視官も大西とはまた別の形の能力を使うよ」
「それは……どんな能力なんじゃ?」
いまだ睨み続けつつ、百恵ちゃんが尋ねる。
と、女将さんがチラリと筆頭の顔をみると、変態はちょっと眉を曲げて小刻みに首を横に振った。
「……まぁ、今回の検査にはそこまでの能力は使わない。せいぜいが記憶の閲覧程度の干渉だよ。だからおかしな事にはならないはずだから、そんなに警戒する必要はないよ、安心おし」
「いや……記憶を読み取るって…………??」
宇恵ちゃんが冷や汗をダラダラ流しながら、変態筆頭官の顔を真っ青な顔で見つめた。
「まぁ……潔白を証明するには記憶を見せるのが一番確実だからねぇ。ここひと月くらいの記憶を見せて、そこに怪しい動きが無ければお前たちの疑いは晴れるよ。なに、痛いことされるわけじゃないし、手間も一瞬で終わるさ」
「こ……こここっこっこっこ、ここ一ヶ月の記憶????」
今度は顔面を真っ赤にして目をぐるぐる回す宇恵ちゃん。
瀬戸さんも青ざめてムンクの叫びのようになっている。
私も冗談じゃないと内心悲鳴を上げていた。
「……私らはもう見せた後だ。お前らも日頃の行いに恥じるところが無ければ問題ないだろう? 観念して検査を受けな」
と仏頂面で料理長が言ってきた。
うふ、うふ、うふ……と不気味に笑っている銀野筆頭犯罪者予備軍。
「い、いやいやいや……言っちゃあ悪いが、枯れた女将と、色気のない料理長、そもそもが恥知らずな死ぬ子先生ならそりゃ大丈夫だろうが、私たちみたいな花も恥じらううら若き乙女が、こんな変態ロリコンオタク三十路魔術師に一糸まとわぬ私生活を見られるなんてケツの穴を見られるよりも大問題じゃないか!! 先生と同い年くらいの瀬戸さんや、色気がつく前の百恵ちゃんならまだマシだろうが、私と宇恵ちゃんはマズイ。だって十代半ばだよ? そんなもんの私生活なんて思春期の痛々しい秘密のバーゲンセールに決まっているじゃないか!! このあいだだって私は街の中古ホビーショップで『ショタ勇者正太くん』フィギアの魔改造モデルをローアングルで鑑賞してBL同人誌を大人買いしたあげくに男子体操服を通販で――――」
「……全部声に出てます……宝塚先輩……」
両手で顔を覆った宇恵ちゃんが涙を流しながら私の横腹を突いてくる。
し、しまった――――っ!! ひさびさに悪いクセが~~~~~~っ!!
「……枯れてて悪かったね」
「……確かに色気は無いが私も一応、女なんだがねぇ」
「……そもそも恥知らずなのはぁ……あんたも同じでしょぉぉぉぉ~~ぅ?」
「コイツと同い年で悪うございましたぁぁぁぁ~~~~~~~~……!!」
女将と料理長と先生と瀬戸さんが怒りのオーラを携えてゆらりと私を取り囲んだ。
「え……あ、あのぉ~~……」
そんな先輩方を見上げ、汗だくになって引きつる私。
ずさずさと畳を掻いて後ずさるが、狭い部屋の壁はすぐに私の背中を押し留めた。
「う……うぐぐ!???」
そんな私を逃すまいと、四人は手をワキワキして近寄ってくる。
「い……いやじゃぁぁぁぁっ!!」
「これも組織の規律と安全を守るためだよ……」
「……観念して、清濁全部見しちまいな」
「恥ずかしい記憶なんてぇぇぇ……どうせみんなよく似たもんよぉぉぉ……」
「大丈夫です。歳を取ればすぐに笑い話になりますよ……ふふふ、おほほ」
そして一斉に飛びかかってくる悪魔たち!!
「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉつ!!!!」
ポカスカポカスカ――――。
――――数分後、
必死の抵抗むなしくスマキにされた私は、変態筆頭監視官の前に転がされた。
ある意味、操を捧げるよりもキツイ試練。
「ぐふぐふぐふ、で、で、ではその記憶――――いただきマンモス~~~~♡」
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