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第78話 地獄の? トレーニング④
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どどんドンドンドンっ!!!!
教室に引っ張っていかれ強制的に座らされると、目の前に山のような本が積み上げられた。
『秘法・超能力道入門』『超能力者大辞典』『あの世との会話集』『月刊ヌー』
「……先生、これは?」
「見てわかんない~~……? オカルトぉ雑誌よぉ……」
通り魔に刺された女性役のように、うつ伏せに床に張り付き、ギロリと視線だけをこちらに向ける先生。
そのポーズに何の意味も無いことはもうわかっている。いちいち気にはしない。
「……オカルト雑誌を読むことが座学……なんですか」
「そうよぅ。……娯楽雑誌と馬鹿にしてはダメよ~~……? 無能力者にはぁ~~単なる与太話に聞こえてもぉ、能力者にはぁぁ、案外勉強になることも~~……書いてあるのよぉ……うふん」
「そ……そうなんですか……??」
とりあえず手にとってペラペラとめくってみる。
「……『あなたも飛ばせる波動波』とかタイトルを読む限り、ほとんど子供騙しな気もするんですが……」
怪しさ爆発と言った目で訝しむと、
「まぁ~~……確かにぃ~~子供の受けはいいわねぇ。……でもぉ、その著者ぁ、JPAのぉぉ、所属会員よぉ~~……?」
「は? ……このジョイマッスル滝口とかいう人が??」
著者の写真には、頭を七色に染めて十束くらいのちょんまげを放射線状に結っている六十代くらいのお爺さんが写っている。
「そう……。その人ぉ、本当にぃ撃つわよぉお……波動波」
「な……!……」
「書いてある~~……通りにやればぁ……飛ばせるかもねぇぇ波動波ぁ……」
「え? ……じゃあこの、波動波を打つための気の練り方とか本当の話!??」
「たぶんねぇ~~……」
「そ、そんなんいいのホイホイ教えて!???」
「べつにぃ良いんじゃないのお~~……ほとんどの人間はぁぁ出来ないんだし。万一出来たぁ~~人間がいたらぁ、それはぁ優秀なぁぁ才能を持ったぁ能力者の卵ってわけだから~~……スカウトに行けるしねぇぇ。そうやってぇ~~本で弟子でも釣ろうとしているんじゃないぃぃぃぃ……?」
どうやら他の本もみんなJPAに所属する先輩超能力者が書いた代物らしかった。
こうやって全国に潜む能力者を発掘すると共に、超能力の研究とその成果を共有するために出版しているそうだ。
「そういうわけだからぁ~~……先輩能力者様からのぉ、ありがたぁ~~~~い知識をぅ勉強しなさい~~~~……ぐふ」
と、白板に大きく『自習』とダイイングメッセージを残し、先生は息絶えた。
「……おい」
「遅かったのぅヒロインよ。待ちわびたぞ?」
三時間の座学(?)を終え、再び道場へやって来た私。
そこにはすでに百恵ちゃんが待っていて、畳の間の中心にランドセルを背負ってあぐらをかいて座っている。
「……ええ、と次は組み手だったっけ?
組み手って何するの? 柔道の続きかなぁ? それならまだ全然教わってないんだけど……って、ええっ!???」
その言葉が言い終わらないうちに周囲の空間が所々歪み、バチバチと音を立てる。
百恵ちゃんの能力によって作り出された圧縮空気の爆弾が次々と私を包囲する。
「……柔道? なにを甘ぬるいこと言っておるのじゃ? 組手と言ったら吾輩とのガチンコバトルの事に決まっておるだろうがっ!!
今こそどちらが格上か見せつけてやろうぞっ!! 覚悟せよヒロインッ!!!!」
「え、ええ~~~~~~っ!!!!」
驚く間も、拒否する間もなく無数の空気爆弾が一斉に膨れ始める。
ま、まずいっ!!
組み手って何?? 喧嘩するってこと??
これだけの数一斉に爆発したら私なんか木っ端微塵に吹き飛んでしまうかもしれないぞっ!??
そうなったらどうなるんだ? 復活できるのか??
「――――ちょちょ、ちょっと待ってっ!!!!」
そんな自信は微塵もなく、かといってこの状況から逃げ出せる術もない私は、ただただ頭を押さえうずくまる。
――――そこへ、
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!
猛スピードな足音が聞こえたかと思うと、
「あほかぁ~~~~~~~~~~っ!!!!」
――――ッズゴッ!!!!
と、百恵ちゃんに卍固めを決める影が一つ。
彼女の世話係にしてJPAS所属の仲居係。瀬戸さんである。
「――――ぐげぇっ!!」
文字通り体を卍に曲げられ悲鳴を上げる百恵ちゃん。
集中が切れたせいか、爆発寸前だった空気爆弾は穴の空いた風船のごとくしぼみ消えていく。
「……な、なにをする……瀬戸……ぉ……!??」
「こんなところで……能力なんてお使いになったら……道場が粉々に吹き飛んでしまいますわよぉ……百恵様? 今月に入ってもう五枚も百恵様関連で始末書書かされている私の身にもなって欲しいものですがねぇ~~……うぉりぁぁぁぁぁぁぁ!!」
さらに深く技が決まっていく。
それまでに受けた苦労を体現するが如く、深く深く……。
教室に引っ張っていかれ強制的に座らされると、目の前に山のような本が積み上げられた。
『秘法・超能力道入門』『超能力者大辞典』『あの世との会話集』『月刊ヌー』
「……先生、これは?」
「見てわかんない~~……? オカルトぉ雑誌よぉ……」
通り魔に刺された女性役のように、うつ伏せに床に張り付き、ギロリと視線だけをこちらに向ける先生。
そのポーズに何の意味も無いことはもうわかっている。いちいち気にはしない。
「……オカルト雑誌を読むことが座学……なんですか」
「そうよぅ。……娯楽雑誌と馬鹿にしてはダメよ~~……? 無能力者にはぁ~~単なる与太話に聞こえてもぉ、能力者にはぁぁ、案外勉強になることも~~……書いてあるのよぉ……うふん」
「そ……そうなんですか……??」
とりあえず手にとってペラペラとめくってみる。
「……『あなたも飛ばせる波動波』とかタイトルを読む限り、ほとんど子供騙しな気もするんですが……」
怪しさ爆発と言った目で訝しむと、
「まぁ~~……確かにぃ~~子供の受けはいいわねぇ。……でもぉ、その著者ぁ、JPAのぉぉ、所属会員よぉ~~……?」
「は? ……このジョイマッスル滝口とかいう人が??」
著者の写真には、頭を七色に染めて十束くらいのちょんまげを放射線状に結っている六十代くらいのお爺さんが写っている。
「そう……。その人ぉ、本当にぃ撃つわよぉお……波動波」
「な……!……」
「書いてある~~……通りにやればぁ……飛ばせるかもねぇぇ波動波ぁ……」
「え? ……じゃあこの、波動波を打つための気の練り方とか本当の話!??」
「たぶんねぇ~~……」
「そ、そんなんいいのホイホイ教えて!???」
「べつにぃ良いんじゃないのお~~……ほとんどの人間はぁぁ出来ないんだし。万一出来たぁ~~人間がいたらぁ、それはぁ優秀なぁぁ才能を持ったぁ能力者の卵ってわけだから~~……スカウトに行けるしねぇぇ。そうやってぇ~~本で弟子でも釣ろうとしているんじゃないぃぃぃぃ……?」
どうやら他の本もみんなJPAに所属する先輩超能力者が書いた代物らしかった。
こうやって全国に潜む能力者を発掘すると共に、超能力の研究とその成果を共有するために出版しているそうだ。
「そういうわけだからぁ~~……先輩能力者様からのぉ、ありがたぁ~~~~い知識をぅ勉強しなさい~~~~……ぐふ」
と、白板に大きく『自習』とダイイングメッセージを残し、先生は息絶えた。
「……おい」
「遅かったのぅヒロインよ。待ちわびたぞ?」
三時間の座学(?)を終え、再び道場へやって来た私。
そこにはすでに百恵ちゃんが待っていて、畳の間の中心にランドセルを背負ってあぐらをかいて座っている。
「……ええ、と次は組み手だったっけ?
組み手って何するの? 柔道の続きかなぁ? それならまだ全然教わってないんだけど……って、ええっ!???」
その言葉が言い終わらないうちに周囲の空間が所々歪み、バチバチと音を立てる。
百恵ちゃんの能力によって作り出された圧縮空気の爆弾が次々と私を包囲する。
「……柔道? なにを甘ぬるいこと言っておるのじゃ? 組手と言ったら吾輩とのガチンコバトルの事に決まっておるだろうがっ!!
今こそどちらが格上か見せつけてやろうぞっ!! 覚悟せよヒロインッ!!!!」
「え、ええ~~~~~~っ!!!!」
驚く間も、拒否する間もなく無数の空気爆弾が一斉に膨れ始める。
ま、まずいっ!!
組み手って何?? 喧嘩するってこと??
これだけの数一斉に爆発したら私なんか木っ端微塵に吹き飛んでしまうかもしれないぞっ!??
そうなったらどうなるんだ? 復活できるのか??
「――――ちょちょ、ちょっと待ってっ!!!!」
そんな自信は微塵もなく、かといってこの状況から逃げ出せる術もない私は、ただただ頭を押さえうずくまる。
――――そこへ、
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!
猛スピードな足音が聞こえたかと思うと、
「あほかぁ~~~~~~~~~~っ!!!!」
――――ッズゴッ!!!!
と、百恵ちゃんに卍固めを決める影が一つ。
彼女の世話係にしてJPAS所属の仲居係。瀬戸さんである。
「――――ぐげぇっ!!」
文字通り体を卍に曲げられ悲鳴を上げる百恵ちゃん。
集中が切れたせいか、爆発寸前だった空気爆弾は穴の空いた風船のごとくしぼみ消えていく。
「……な、なにをする……瀬戸……ぉ……!??」
「こんなところで……能力なんてお使いになったら……道場が粉々に吹き飛んでしまいますわよぉ……百恵様? 今月に入ってもう五枚も百恵様関連で始末書書かされている私の身にもなって欲しいものですがねぇ~~……うぉりぁぁぁぁぁぁぁ!!」
さらに深く技が決まっていく。
それまでに受けた苦労を体現するが如く、深く深く……。
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