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第8話 入学説明会③
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「……う、いや……あのよくわかんなかったです……けど、そのESPとかPKとかの超能力が私と何の関係が……」
頭からプスプスと煙を吐きながら質問する。
すると所長が眉をすぼめ、
「おや、案内状を読んでこなかったのかね?
キミはPK能力者と認定されたんだよ?」
「PK……って、何でしたっけ? ……ええと、念力? みたいな?
……いや、まったく心当たりがありませんが??」
「そうかい? しかしキミは見せてくれたじゃないか僕たちの前で、ほらあの時、通り魔事件の時だよ」
「あ……あいや、でもあれは……」
焦って言葉を詰まらす。
「ん? んっふっふふふ。その様子だとキミは自分の能力を人に秘密にしている口だねぇ~~?」
いやらしい微笑みで見てくるおっさん。なんかムカつくんですけど?
「図星のようだねぇ。いや、懸命な判断だと思うよ? ほとんどの人は超能力なんて信じないし、ましてや自分が超能力者なんて言ったら、途端に変人扱いされてしまうからね。
特にキミの能力はビジュアル的に気味悪がられても仕方がない類の能力だしね。化け物扱いすらされかねない。
……非常に希少な能力なのに不遇なことだよねえ、うん、かわいそうに」
それを聞いて私はハッと顔を上げる。
「私の能力のこと、何か知っているんですか!?」
所長はニヤリと笑うと、大きく頷いた。
「もちろん、よぉく知っているよ。キミの能力とその扱い方すらもね」
「お、お、お、お、お…………」
「お?」
私はガバリと立ち上がると、所長に詰め寄りネクタイを締め上げる。
「教えて下さいぃぃぃぃぃっ!!
私……私の正体は何なんですか!? 私の種族はどこにいるんですか??
私が帰るべき集落はどこにあるんですかぁっ!???」
「うが、ぐは、ちょ……と、うぐぐ、やめ、やめてくれたまえ!!」
所長の顔がみるみる七色に変色していく。
「えい」
突然、菜々ちんが私のうなじを人差し指でちょんと突いた。
バチィッ!!
と、私の体に軽い稲妻のような衝撃が走った。
「ぎゃぁっ!!」
私はびっくりして所長を離し、床に尻餅をつく。
「ごめんなさい、痛かった?」
申し訳無さそうな顔をして、私を起こそうと手を差し伸べてくる彼女。
え? いまこの子なにをしたの??
さっきのショックは何??
静電気?? いやいや、もっと違う何かだった!!
わけが分からず席に座らされると、
「やあ、菜々くんありがとう。げほげほ、あ~~びっくりしたよ……いきなりネクタイを締め付けてくるんだもんな。
……やれやれ、折角の高級ブランドが台無しだよう?」
「あ、ご、ごめんなさい」
私は我に返り、素直に謝った。
「まあ、いいよ。キミにとってはそれほどに大事な話しだったみたいだしね」
特に気分を害した様子もなく所長は飄々としたようすで笑ってくれる。
「ていうか……今の、種族とか故郷とかっていったい何なの?」
片桐さんとやらが、少し呆れた顔をしながら訊いてくる。
「え? ……あの、だって……私、その……妖怪ですから」
「は?」
「ですから……どんな怪我をしてもすぐに復活する不死身の妖怪でして、で、皆さんが私の正体について何か知っているのなら、帰るべき故郷のこともなにかご存知なのかと……」
「ぶ、ぶははははっ!! なんだいそれは!??」
とたんに所長が吹き出す。
菜々ちんも今度は遠慮なく笑っている。
片桐さんは壁に手をついてプルっている。
おぉ? なんだよ、三対一でやり合おうってのか!?
「ああ、いやいや、ごめんよ。まさか妖怪なんて言葉が出るなんて思ってもみなかったからさ、いや、キミは面白い子だねぇ?」
と、言われている私は少しも面白くないんですけど?
すると所長は一息ついて表情を整えると、
「キミはね、妖怪なんかじゃあないよ。言っただろう? 超能力者だって。
しかもかなり希少なPK能力者なんだよ」
と私の肩を掴み、真面目な眼差しでそう言ってくる。
「……PK能力者って……だから、そんな念力とか使えませんよ私?」
「うんまぁそれは、さっきのはすごくザックリとした説明だったからね。
よろしい、ではもう少し詳しく説明しようか?」
言って所長は白板のPK能力者の文字を大きく丸で囲んだ。
「さっきの説明の繰り返しになるけども、PK能力とは念力の一種。離れた物を一切触れずに動かす能力のことだ。
しかしこれは何も念力に限ったことじゃなく……」
そう言って白板の余白に更に文字を書き足す。
『念動力・借力・瞬間移動・物体送受信・空中浮揚・念写』
「……とまぁ、思いつくままに書いてみたけど実に様々な種類があるのだよ。
これら全ては物質に干渉する力、PK能力の一種なんだな」
念動力……は、まぁわかる。
瞬間移動や念写もそうなのか?
借力ってなんなんだ!??
「そしてキミの持つPK能力は何なのかと言うと――――」
キュキュッっと白板を鳴らす。
「こちら――『超能力治療』(ヒーリング)に属する能力になるねぇ」
「ヒーリング……能力??」
ゲームなんかでよく聞く名前を聞かされるが、いまいちピンとこない私。
だってゲームとかのヒーリングって僧侶とか白魔術師とかが仲間が傷ついた時に使う回復呪文のことでしょ?
私のは呪文とか魔法とかじゃない、勝手に自分の体が自己修復しているだけなんだモコモコと。
どちらかと言えば、いやどちらかと言わずともモンスターに近いと自分で思う。
しかし所長はそんな私の心中を見透かしたように説明を続ける。
「ヒーリングと一口に言ってもその種類や効果は様々でね、人によって十人十色なんだよ。いや、ヒーリングに限らず超能力なんて代物はみんなそれぞれの個性によって色が変わってくる。一応、グループ分けはしてるけど誰一人として同じ能力なんて存在しないんだよね、これが」
肩をすくめ、わざとらしくヤレヤレといった仕草をする。
「だから、キミの能力だって大まかな正体は分かるけども細かなところまではじっくり調べてみないとわからないんだよね。
そしてそれを調べるのが我々、日本神術協会。
通称『JPA』(ジャパン・サイキック・アソシエーション)の仕事なんだよ」
「…………JPA」
私は私の人生に今後深く、そして永く関わってくるであろう組織の名を呟いた。
頭からプスプスと煙を吐きながら質問する。
すると所長が眉をすぼめ、
「おや、案内状を読んでこなかったのかね?
キミはPK能力者と認定されたんだよ?」
「PK……って、何でしたっけ? ……ええと、念力? みたいな?
……いや、まったく心当たりがありませんが??」
「そうかい? しかしキミは見せてくれたじゃないか僕たちの前で、ほらあの時、通り魔事件の時だよ」
「あ……あいや、でもあれは……」
焦って言葉を詰まらす。
「ん? んっふっふふふ。その様子だとキミは自分の能力を人に秘密にしている口だねぇ~~?」
いやらしい微笑みで見てくるおっさん。なんかムカつくんですけど?
「図星のようだねぇ。いや、懸命な判断だと思うよ? ほとんどの人は超能力なんて信じないし、ましてや自分が超能力者なんて言ったら、途端に変人扱いされてしまうからね。
特にキミの能力はビジュアル的に気味悪がられても仕方がない類の能力だしね。化け物扱いすらされかねない。
……非常に希少な能力なのに不遇なことだよねえ、うん、かわいそうに」
それを聞いて私はハッと顔を上げる。
「私の能力のこと、何か知っているんですか!?」
所長はニヤリと笑うと、大きく頷いた。
「もちろん、よぉく知っているよ。キミの能力とその扱い方すらもね」
「お、お、お、お、お…………」
「お?」
私はガバリと立ち上がると、所長に詰め寄りネクタイを締め上げる。
「教えて下さいぃぃぃぃぃっ!!
私……私の正体は何なんですか!? 私の種族はどこにいるんですか??
私が帰るべき集落はどこにあるんですかぁっ!???」
「うが、ぐは、ちょ……と、うぐぐ、やめ、やめてくれたまえ!!」
所長の顔がみるみる七色に変色していく。
「えい」
突然、菜々ちんが私のうなじを人差し指でちょんと突いた。
バチィッ!!
と、私の体に軽い稲妻のような衝撃が走った。
「ぎゃぁっ!!」
私はびっくりして所長を離し、床に尻餅をつく。
「ごめんなさい、痛かった?」
申し訳無さそうな顔をして、私を起こそうと手を差し伸べてくる彼女。
え? いまこの子なにをしたの??
さっきのショックは何??
静電気?? いやいや、もっと違う何かだった!!
わけが分からず席に座らされると、
「やあ、菜々くんありがとう。げほげほ、あ~~びっくりしたよ……いきなりネクタイを締め付けてくるんだもんな。
……やれやれ、折角の高級ブランドが台無しだよう?」
「あ、ご、ごめんなさい」
私は我に返り、素直に謝った。
「まあ、いいよ。キミにとってはそれほどに大事な話しだったみたいだしね」
特に気分を害した様子もなく所長は飄々としたようすで笑ってくれる。
「ていうか……今の、種族とか故郷とかっていったい何なの?」
片桐さんとやらが、少し呆れた顔をしながら訊いてくる。
「え? ……あの、だって……私、その……妖怪ですから」
「は?」
「ですから……どんな怪我をしてもすぐに復活する不死身の妖怪でして、で、皆さんが私の正体について何か知っているのなら、帰るべき故郷のこともなにかご存知なのかと……」
「ぶ、ぶははははっ!! なんだいそれは!??」
とたんに所長が吹き出す。
菜々ちんも今度は遠慮なく笑っている。
片桐さんは壁に手をついてプルっている。
おぉ? なんだよ、三対一でやり合おうってのか!?
「ああ、いやいや、ごめんよ。まさか妖怪なんて言葉が出るなんて思ってもみなかったからさ、いや、キミは面白い子だねぇ?」
と、言われている私は少しも面白くないんですけど?
すると所長は一息ついて表情を整えると、
「キミはね、妖怪なんかじゃあないよ。言っただろう? 超能力者だって。
しかもかなり希少なPK能力者なんだよ」
と私の肩を掴み、真面目な眼差しでそう言ってくる。
「……PK能力者って……だから、そんな念力とか使えませんよ私?」
「うんまぁそれは、さっきのはすごくザックリとした説明だったからね。
よろしい、ではもう少し詳しく説明しようか?」
言って所長は白板のPK能力者の文字を大きく丸で囲んだ。
「さっきの説明の繰り返しになるけども、PK能力とは念力の一種。離れた物を一切触れずに動かす能力のことだ。
しかしこれは何も念力に限ったことじゃなく……」
そう言って白板の余白に更に文字を書き足す。
『念動力・借力・瞬間移動・物体送受信・空中浮揚・念写』
「……とまぁ、思いつくままに書いてみたけど実に様々な種類があるのだよ。
これら全ては物質に干渉する力、PK能力の一種なんだな」
念動力……は、まぁわかる。
瞬間移動や念写もそうなのか?
借力ってなんなんだ!??
「そしてキミの持つPK能力は何なのかと言うと――――」
キュキュッっと白板を鳴らす。
「こちら――『超能力治療』(ヒーリング)に属する能力になるねぇ」
「ヒーリング……能力??」
ゲームなんかでよく聞く名前を聞かされるが、いまいちピンとこない私。
だってゲームとかのヒーリングって僧侶とか白魔術師とかが仲間が傷ついた時に使う回復呪文のことでしょ?
私のは呪文とか魔法とかじゃない、勝手に自分の体が自己修復しているだけなんだモコモコと。
どちらかと言えば、いやどちらかと言わずともモンスターに近いと自分で思う。
しかし所長はそんな私の心中を見透かしたように説明を続ける。
「ヒーリングと一口に言ってもその種類や効果は様々でね、人によって十人十色なんだよ。いや、ヒーリングに限らず超能力なんて代物はみんなそれぞれの個性によって色が変わってくる。一応、グループ分けはしてるけど誰一人として同じ能力なんて存在しないんだよね、これが」
肩をすくめ、わざとらしくヤレヤレといった仕草をする。
「だから、キミの能力だって大まかな正体は分かるけども細かなところまではじっくり調べてみないとわからないんだよね。
そしてそれを調べるのが我々、日本神術協会。
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