上 下
4 / 11

3.給与吹っ飛び、話通じず

しおりを挟む
私はクレジットカードの利用詳細メールを登録している。万が一、不正利用された場合にすぐに対応できるように。

そして、身に覚えのない利用詳細メールが来たのだ。

知らない利用先。覚えのない高額な利用金額。

その額は、当時の給与の手取り額とあまり変わらなかった。

私は調剤薬局の事務員をしていた。
ある資格を持っていたが、無資格の事務員と給与額は変わらず昇給も無し。一般事務と比べると収入はかなり低い。
実家暮らしと物欲の無さが功を奏して、なんとか貯金は出来ていた。
贅沢な生活は出来ないし、していない。

これだけ高額な買い物をしたのなら自分で覚えているはずである。全く記憶にない。
不正利用を疑った。
しかし、利用詳細メール内で一つだけ心当たりのあるものがあった。
決済された日付だ。

兄から協力のお願い電話のあった、次の日だった。

まさか、まさかな~…
仕事から帰宅して、すぐに兄に電話をかけた。
出ない。
「聞きたい事があるから、手が空いたら電話くれ」とメールを送った。
しかし、兄からは何の連絡も無かった。
苛々する~!

翌日の夜、やっと電話がかかって来た。
ごめんごめん、何~。と陽気な態度に腹が立った。

「先週の電話の翌日にさ、●●って会社から〇〇万円がクレジット決算されてるんやけど、これって…」
「あ~、それ!俺がやってるネットワークのやつ」

当たり前じゃん?という感じで言われた。

眩暈がすると同時に怒りが一気に込み上げた。
何も説明しないまま私のカード情報を登録し、高額な決済を行っていたのである。
兄は私の給与額を知らないし、私も兄の給与額を知らない。
しかし、10万円以上の金額は大金他ならないと思うのだが、それを簡単に使わせる兄の神経を疑う。

正直、最初に金額の説明をしてくれていたら協力を断っていたと思う。

ひと月分の給料を取られたら生活が困る事を告げ、解約の後返金対応するように訴えた。
しかし、兄は

「説明と決済の順番が逆になった事は謝るって。でも、めっちゃ良いから続けてほしい!お前にとっても良い事やから!」

全く悪い事をしたとは微塵も思っていそうにない。
もう「すごく良いから」「俺も良かったから」と同じような事を繰り返すばっかりだ。
まともな謝罪も無ければ、何が言いたいのかも要領を得ない。

「さっきから私の為だの言ってるけど、大金取られて何が私の為になるの。すごく良いからって言うけど、何がどう良いものなのか説明しろ」
「だから、俺が実際に使ってみてめっちゃ良かったんやって!だからお前の為にも使ってみてって!」

堂々巡りの何の説明にもならない返答ばかりが続いた。
話が噛み合わない、というか会話が成り立たない腹立たしさと気持ち悪さがお分かり頂けるだろうか。

私には必要ないからすぐに解約と返金対応をするように言い、電話を切った。

私に協力を頼むくらいだから、私より手取りも多く貯金も多い実母にも協力を仰いでいるんじゃないか、と思った。
金額が金額なので、母にこの事を話した。
母は、兄ちゃんから電話あったよ~と何ともなさそうにしていた。

母は現金主義というか、クレジットカードや電子決済は面倒だし仕組みがイマイチ分からなくて怖いから使わない、というタイプの人だ。
なので、明日にでも通帳記帳して確認した方が良いと伝えた。


翌日。
帰宅した私に、

「お母さんもお金引き落とされとった」

と報告して来たのだが、怒っている感じは皆無だった。
困ったな~(ペロッ)というライトな雰囲気だった。

私は解約と返金をするように頼んでいるから、母も兄と話した方が良いよ。
と言うと驚きの言葉が返って来た。

「そんなにめくじら立てなくてもええやん。兄ちゃんも考えがあってやったんよ」

あっきれたーーーー!!(天を仰ぐ絵文字)


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

カクヨムでアカウント抹消されました。

たかつき
エッセイ・ノンフィクション
カクヨムでアカウント抹消された話。

ちょっと転んだだけなのに

凪司工房
エッセイ・ノンフィクション
筆者である私の父が、転んで足を少し痛めた。最初は本当にただそれだけのことだった。けれど思いもよらない方向へと事態は転がり落ちていく。 これはフィクションではなく、リアル・ストーリィである。

ノンフィクションの爆笑話

神の神
エッセイ・ノンフィクション
僕が散歩をしていたら、、事実ぴったしをお届けします

100000累計pt突破!アルファポリスの収益 確定スコア 見込みスコアについて

ちゃぼ茶
エッセイ・ノンフィクション
皆様が気になる(ちゃぼ茶も)収益や確定スコア、見込みスコアについてわかる範囲、推測や経験談も含めて記してみました。参考になれればと思います。

アルファポリス投稿時間について

黒いテレキャス
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスに投稿する時間はいつ頃がベストなのか?

人間AIの観察記録

あーく
エッセイ・ノンフィクション
学習能力だけが取り柄の僕が体験・観察したことを、時系列は不順ですが書いていきます

プリキュア語り デリシャスパーティ♡プリキュア

九情承太郎
エッセイ・ノンフィクション
「デリシャスパーティ♡プリキュア」を視聴した感想を、ゆるくまったりとエッセイします。 ※他の投稿サイトでも公開しています 表紙は、画像生成AIで出力したイラストです。

廃車の呪い

O.K
エッセイ・ノンフィクション
「廃車の呪い」は、廃車を買い取る会社を経営する主人公が、紛争が起きた国から大量の廃車を買い取ることになります。その中の1台の廃車がエンジンもないのに勝手に動き出し、社員が大けがを負ってしまいます。事故の原因を調査すると、その車が以前に事件や事故に関わっていたことが判明し、いわくつきの車だったことが分かります。事故をきっかけに、主人公たちは廃車の安全対策を徹底し、廃車からの部品再利用を促進する取り組みを始めます。彼らの取り組みは地域社会にも好影響を与え、廃車処理業界全体にポジティブな変化をもたらします。

処理中です...