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Ⅷ 俺はメガミトトモニ。
最終話: 俺は女神と共に。
しおりを挟むサクラを抱きしめたままベッドに押し倒し覆い被さる。見下ろす俺がサクラの左手を取って指に口づけた。これが俺達のイチャ始まりの儀式だ。ちょっと慌てた様子のサクラの顎をすくい上げるとサクラは恥ずかしそうに頬を染めて目を閉じた。
「アスカ」の時はイチャがディープになったとこでドクターストップだったが今ならそれもないだろう。そう思えば俺の喉が勝手にごくんと鳴ってしまった。
「サクラ‥」
サクラが今着てるナイトウェアは俺が収納を獲得した時に嬉し恥ずかし最初に俺一人で買ったものだ。リアルで会えたら着てもらおうと膨大な中からチョイス、当然女神様だったサクラの了承は得ている。俺好みのフリルたっぷりデザインでサクラの愛らしさを引き立ててる。俺のテンション急上昇である。
サクラのお世話はヘラがしていたが今日この瞬間にこれをサクラに着せたヘラGJだ!今度パフェ食べ放題に連れて行ってやろう!
実物サクラめっちゃくちゃカワイイ!なんだこれ?まさに女神!もうどこからでも食べてください的な?超高級据え膳か!これなら本気で一日三回余裕でイけるぞ!じゃあ早速!いッただきます!!
「アスカ」以来の久しぶりの甘々イチャ展開!さあここから盛り上がって参りましょう!というところで‥‥ノックもなしにバンッと扉が開いてお約束の乱入者である。
「ルキ!いつまで寝とるのじゃ!朝食はもうとっくに出来とる‥‥ってお母様!!」
「げッ」
「まあ、三番目のヘラね」
「はいお母様!ヘラです!初めまして!ご気分はいかがですか?目が覚めてよかったです!」
キャーッと黄色い声をあげてヘラが部屋に飛び込んできて俺を突き飛ばしサクラに抱きついた。ちゃっかりサクラに頭なでなでされている。
前言撤回。こいつは速やかに地獄行きだ。
こっからサクラとディープな朝イチャ突入→あわよくば脱初心者だったのに!また寸止め!もう子供じゃないんだし?俺がサクラをベッドに組み敷いてるこの状況を見て何してたかわかるだろ!絶対わざとだ!少しは遠慮しろ!
そして俺に対する態度の方が明らかに雑。話し言葉まで変わってるし。ひッでぇ!暗殺者スケゾウに頼んで部屋にアナログな鍵つけてもらおう!電子キーだとこいつすぐ解錠しそうだ。
ひとまず魔女っ子を猫のように摘み上げサクラからひっぺがした。俺の怪力のなせる技だ。俺と摘み上げられたヘラが鋭く睨み合い火花が散る。サクラを賭けた骨肉の争いがここに勃発である。
「離れろ!サクラは俺の!まだ俺のなでなでタイムが終わってないんだからな!」
「ルキは今まで散々なでなでしてもらっておったからもういいじゃろ!大人気ないのじゃ!見た目ダークキャラとイメージ違いすぎなのじゃ!」
「イメージほっとけ!全ッ然足らないんだよ!エアなでなではノーカン!今から俺たち向こう百年新婚蜜月突入だ!空気読んでさっさと出てけ!」
「百年?!長すぎるのじゃ!どんだけバカップルなんじゃ?!」
「五千年焦らされたんだぞ?!俺がどんッだけ血の涙を流して耐えたと思ってんだ!そんな中でやッッッと!妄想現実ともにあのサクラが俺の嫁になったのに!お前も五千年お預けになってから俺に文句を言え!」
「ルキは五千年寝てただけじゃろが!」
「おうよ!寝ながら耐えたぞッ何が悪い!俺の大事な脱初心者を邪魔すんな!邪魔したら魔王権限で今度こそ断罪すんぞ!」
「脱初心者?なんの話をしとるのじゃ?!だいたい魔王はクビじゃろが!」
「魔王は都合がいいんだよ。俺とサクラの恋路を邪魔するヤツは万死に値する!ボッコボコにして煉獄火炎で地の果てまで吹っ飛ばしてやる!」
「わらわは負けんぞ!ドラゴンゾンビで受けて立つのじゃ!」
だが俺たちは油断していた。俺たちがぎゃあぎゃあ争う中で足元をトコトコと侵入者が通り過ぎていた。そいつは静かにベッドの上に飛び乗っていた。
「きゃあ!リアルポメちゃん可愛い!ずっとなでなでしたかったから嬉しいわ!」
俺らの言い争いの隙をついてサクラの膝にはポメラニアンになったガンドがいた。いつの間に!唖然とする俺たちの前でもふもふ仔犬がアイドル犬よろしくちょろりと舌を出してサクラの膝の上で撫でられている。
久々に見たがその姿を今出すのか?
あざとすぎる!ポメ!恐ろしい子!
俺の心理を今表すとしたらハンカチ噛み締めてキーッだろう。ポメは盲点だった!
「ポメ!お前汚いぞ!俺だってまだ膝枕してもらってないのに!」
『いやぁ、母上にこの姿がよいとリクエストされましてつい』
「何がついだ!あざとい!見損なったぞ!」
「兄者抜け駆けずるい!わらわも~!」
「あーッだからサクラは俺んだ!もうお前ら出てけよ!」
結局は全員サクラに群がっている状況である。寂しがりサクラに家族が増えたことは良かったが、これは弊害だよ。まあ寝室の完全密室化の為の強力遮音結界は別途考えるとして、今はサクラが幸せそうだからよしとしよう。笑顔のサクラを見て、俺も幸せな気分になれたし。
きっとこれからの長い時間の中でバカなやつがバカなことをしようとするだろう。その時は仕方ないから元魔王として仕事をしてやってもいい。だがそれまではここでちょっとだけ‥‥まぁ百年くらいはスローライフしてもバチは当たらないだろう。
俺だって人間だし幸せになる権利はあるんだから!
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太古の森の、誰も踏み入ることが出来ないほどの山奥に暮らす久遠に生きる賢者。
その二人は元魔王と元女神、この世が戦乱に巻き込まれると熾天使たちと共に現れる神の代行者だと。
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