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第一部

第16話 ※

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 今まで服は脱いだことはない。隠れ家では誰か来る可能性もあったから。でも今は自室だ。その危険もない。目の前には愛しいエデル、あの続きをすればいつか肌を見せるとわかっていても恥ずかしい、一人では。もじもじと夜着を握りながら赤面上目遣いにエデルを見上げた。

「じゃあ‥エデルも‥脱いでくれるなら‥」

 その恥じらう様子と掠れた声に今度はエデルが絶句した。呼吸さえ止めて数秒固まった後に何度目かの盛大なため息が聞こえる。

「なんでそうなるんですか‥‥」
「ダメ?一人じゃ恥ずかしいから‥‥」
「‥‥どうなっても知りませんよ?」

 エデルが勢いよく黒いシャツを脱ぎ捨てた。剥き出しの逞しい胸板が見えて慌てて目を逸らす。エルーシアの脈拍が一気に上がった。

 あれ?私まずいことを言ったかしら?

「次はエルシャ様の番です」

 確かにその約束だった。両腕を壁についてエデルがエルーシアを閉じ込めた。逃さないと言わんばかりにエデルはエルーシアを見つめて来る。目の前の剥き出しのエデルの逞しい両腕と胸板にエルーシアの鼓動がさらに跳ね上がった。
 ベッドの上に座り直しエルーシアがおずおずと夜着に手をかける。ドキドキする心臓で呼吸が浅くなった。一方で背筋が震え体の奥から熱い蜜が溢れ出した。エデルの視線に耐えられずエルーシアは羞恥で目をぎゅっと瞑った。

「許して‥‥やっぱり無理‥」
「罰と言ったでしょう?」
「エデルが‥‥」
「自分で脱ぐんです」

 震えるエルーシアの顎を掬い上げエデルがそっと口づける。浅く少し焦らすようなキス、物足りなくてエルーシアから呻き声が出た。

「エデル‥‥」
「頑張って。できたらご褒美をあげましょう」

 罰というのにご褒美をくれるというエデルの甘い言葉にエルーシアの背が押された。震える手が夜着を肩から落とす。ベッドの座り込む腰に夜着がわだかまった。
 サイドテーブルに置かれたランプはひとつだが緩く辺りを照らして明るい。エルーシアは羞恥で目を伏せ両手で自分の裸体を抱きしめた。二本の腕だけでは体を隠すには足りない。

「これはもう要りませんね」

 エデルがエルーシアの腰に絡まる夜着を床に投げ捨てる。そして隠すように体に回した手を取られ壁に縫いとめられる。剥き出しの豊かな胸をエデルに見おろされ羞恥と興奮がゾクゾクと駆け抜けた。胸がキュンと疼いて胸の尖りが硬くなるのがわかる。そこを舌で軽く突かれ体がびくりと跳ねた。
 舌先でくりくりと転がされてさらに硬く勃ち上がる乳首にちゅっとキスを落とされ甘い喘ぎが出てしまった。両手を押さえ込まれて口を塞げない。

「あん‥やめ‥声でちゃ‥」
「‥すごい。やはり着痩せしてたんですね。全部脱がないとわからないですね」
「見ちゃいや‥恥ずかし‥」
「とても綺麗です。もっと、全部見せてください」

 纏わりつくような視線が胸から臍、そして淡い茂みの下腹部に這う。触れられていないのに愛撫されたようにチリチリと肌が痛い。壁から離され仰向けに押し倒される。エデルが横たわるエルーシアの閉じた両膝を折って持ち上げた。慌てて足の甲で秘所を隠すもエデルから信じられない言葉が聞こえた。

「脚を開いて」
「え?」
「罰です。自分で開いて僕に見せてください」

 しばし呆然としたがエデルの意図を理解したエルーシアが眉根を下げ泣きそうな顔になる。そんなはしたない格好は耐えられない。

「ダメ‥むり‥」
「これでは見えません。いつも開いているでしょう?」
「でもそれは」

 それは隠れ家の暗闇の中だ。今はベッドサイドのランプが緩く照らしている。明るい中で見られるなんて羞恥で死んでしまう。

「罰と言ったでしょう?自分で開いて。ちゃんと全部見せてください」
「でも‥‥や‥ダメ‥‥」
「大丈夫です、ここを可愛がってあげますから。頑張ってエルシャ様」

 エデルが自分の人差し指と中指を舐める。唾液を纏った指二本が足の甲で隠した秘所に這わされエルーシアの体が跳ねた。浅くくすぐるように秘裂に指が這わされる。気持ちがいい。でも一番いいところには届かない。

「ゃん‥エデル‥」
「いいでしょう?もっと触れてほしかったら脚を開いて見せてください」

 もっと触れて欲しい。恥ずかしい。気持ちよくして欲しい。劣情が羞恥を上回った。最初に夜着を脱いだ時にエルーシアの脳は限界を突き抜けたのかもしれない。
 朦朧と霞む意識の中、震える両膝に手をかけ自分でゆっくり脚を開きエデルに秘所を晒す。恥ずかしくて死んでしまいそうだ。涙と共に体の奥から熱いものがドロリと溢れ出す。いつも触れられてはいたが見られたのは初めてだ。全身を火照らせたエルーシアの呼吸は浅い。息苦しくて切なくて潤んだ目でエデルを見上げる。その様子をエデルは目を細め恍惚の笑みで見つめていた。
 エデルの視線に耐えられない。エデルと目が合い頬を赤らめ震えて視線を逸らすエルーシアにエデルは満足げに目元を緩めた。

「よくできましたね。やっとエルシャ様の全部を見られました」
「あ‥エデル‥‥あまり‥見ないで‥‥」
「ここも綺麗ですよ?もうこんなに蜜を溢してますね。ここも赤く勃ってきてます。自分で脱ぐのがよかったですか?それとも見られる方?やはり触られる方がいいですか?」

 意地悪な問いかけにエルーシアが真っ赤になって絶句する。それをさも楽しそうにエデルが見おろした。

「さて、無垢なエルシャ様、ご褒美は何がいいでしょうか」
「‥‥キスして‥たくさん‥」
「かしこまりました。存分に」

 笑顔のエデルに抱き締められて口づけられる。お互いの肌が触れ合う抱擁もそこからのキスも初めてでエルーシアは胸をときめかせてそれを受け入れた。エデルの体を直に触れることは今までなかった。のしかかられ口づけが深くなる。貪るようなそれに息苦しくてうめき声が出た。

「エデ‥くるし‥‥」
「もっとです。旦那様に探られたのはどこですか?」
「どこって‥‥ンッンンッ」

 再び深く口づけられ口内を散々弄られ、強引に荒々しく舐られエルーシアの目から愉悦の涙が流れ落ちた。

 エルーシアの両手をシーツに縫い止めエデルが胸に口づける。先程ラルドに攻められた箇所を打ち消すように丹念に舌で舐る。生暖かい口内に胸の尖りを含まれねっとりと舌で舐め転がされれば体の奥のあの切ない疼きがエルーシアを苛み出した。愛蜜が溢れモジモジと太ももを擦り合わせる。

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