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異世界生活:グリーデン編
異世界の友達
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蓮たちは食事を終えて、出店の並んでいる通りで買い出しをして宿に向かった。
小熊のしっぽでベアードに相談した所、眠り熊の部屋を2部屋取ってくれた。
桜とメイが女子会をするときの食べ物や飲み物を買っておきたかったのだ。
間も無く4回目の鐘が鳴る。
向日葵はリルの背に揺られて早くも眠そうだ。
ベアードの妻であるツキノに挨拶と料金を支払い、部屋に移動。
桜とメイは別室に行ってしまった。
「じゃあ、俺らも休むわ」
「ありがとうございました。すごく楽しかったです。是非またお話ししましょう」
フェンとローが片手を上げて言う。
それに対して蓮が応えると、フェンとローはいつも通り不思議そうな表情をした。
「人族にお礼を言われるのは新鮮だね」
そう言ってローは『良いもんだね』と言葉をづけた。
階段を上がり二階へ。
ちょうど前回と同じ部屋のため、窓からリルが見える。
リルを見て蓮が会釈する。
別れる前に、事前に見張りを頼んでおいたのだ。
冒険者ギルドで蓮たちは目立ちすぎている。
やっていることも、受け取っている報酬も規格外だ。
そのため、桜や向日葵を狙う者も現れるかもしれない。
桜は弱くないが、戦闘経験は極めて少ない。
近距離戦になれば戦えないだろう。
リル、ドラコ、ユグドラシルの3名に警戒を怠らないように伝え、蓮自身でも気配を探るようにしているため、この警戒網を掻い潜れる者はそうそう居ないだろう。
離れていたベッドを寄せて並べて一つにする。
そこに横になると向日葵はすぐに寝てしまったため、ユグドラシルに浄化を頼んだ。
「僕は少し鍛錬してから寝るから二人も適当に休んでね」
蓮はそう言う魔素を体に巡らせた。
支援魔法の練習をするためだ。
ドラコとユグドラシルはそれを見て、笑みを浮かべている。
「な、なんで笑うんだよ」
「すみません。闘気と比べると明らかに劣るのでつい……」
向日葵の方が滑らかに魔素を体に巡らせることができる。
さらに、向日葵は蓮はほど集中しなくても魔法を使うことができる。
それを見てユグドラシルが笑う。
蓮の場合はまだまだ戦闘中に使えるレベルに達していない。
いまだに時計がないため時間がわからないが、2時間くらいだろうか。
魔素を体に巡らせたり、手のひらに旋風を起こしたり、体と天井に引力を発生させて浮いたりして、魔力制御の練習をしてから寝た。
クスクス……。
「起きるかな?」
クスクス……。
「っていうか生きてる?」
「……ッ。ブハッ!?」
寝ていた蓮は呼吸ができなくなり、命の危険を感じて目覚めた。
目を開けると真っ暗。
何かが顔にへばりついている。
蓮はその柔らかく温かい何かをそっと引き離そうとするがなかなか取れない。
力を入れすぎないようにゆっくり剥がし、ベッドに寝かせる。
正体は向日葵。
蓮の顔を抱きしめるように寝ていたのだ。
「ん……。ましゅまろ……」
向日葵は何やら口をむにゃむにゃと動かしている。
きっと良い夢を見ているのだろう。
その光景を見ていた桜とメイがクスクスと笑っている。
2人とも仲が深まり何よりだ。
蓮はこの世界で初めて桜に友達ができたことに安堵した。
ただ、可能なら笑ってないで助けと欲しかった、
「お、おはよう。楽しかったかい?」
「うん!とっても!」
蓮はまたグリーデンに来た時はすれば良いし、ユグドラシルが許すなら来てもらっても良いと伝え、ユグドラシルを見た。
ユグドラシルは桜を見て、笑みを浮かべて頷いた。
向日葵の守護者ではあるが、料理神フローラに御剣家のことを任されただけあって、桜にも甘い。
1回目の鐘がなる少し前。
蓮は準備をして冒険者ギルドへ売れ行きの確認をしに行く。
「桜たちはどうする?」
「メイちゃんたちがクエスト受けに行くって行っててさ……」
凄く言いにくそうだ。
しかし、この潤んだ瞳での上目遣い。
いつの間にこんな表情を覚えたのだ。
言いたいことは言える方が良い。
桜は家族に気を使いすぎな一面があるため、先に言わずに敢えて言葉を待つ蓮。
「わ、私も良いのがあれば受けちゃだめかな?」
「よく言えました。良いよ。でも護衛付きで安全なのにしようね」
はっきり言えたことを嬉しく思い、蓮は快諾。
メイの冒険者としての活動に感化されたのか、この生活での生活に慣れてきて魔法への意欲が出てきたのか分からないが、挑戦することは良いことだ。
ただ自身のように無茶な訓練はして欲しくはないし、する必要もないことを伝えた。
「はっ!ぼうけん!?」
少し話しが聞こえていたのか、冒険者ギルドの一部から街の外に出ることを理解して向日葵が目覚めた。
そして、ベッドから飛び降りて華麗に着地するや否や、行く気満々で準備体操を始めた。
宿の外でフェンたちと合流して冒険者ギルドに向かう。
歩いている途中で一つ目の鐘がなっだが、すでに出店の準備が始まっている。
時間にして朝の6時か7時頃だろうか。
この世界の朝は早く、皆働き者なのだと改めて思う。
「たかーーーい!」
ドラコに肩車をしてもらい、蓮よりも遥かに高い目線を体感した向日葵がはしゃぐ。
いつにも増して人目を引く。
「な、なんだか有名になったみたいな気分」
メイは少し恥ずかしそうに言う。
満更でもない様子だ。
聞けば、大型の魔物を討伐した時や偉業を成し遂げた場合は、王レグナムなどでパレードが行われる。
該当者はパレードで馬車の荷台から手を振り、大勢の人の前を移動するため、注目を浴びることがあるそうだ。
メイはいつかそんなすごい冒険者になってみたいと想像を膨らませながら話す。
フェンは柄じゃないと言うが、ローはパレードには興味はないがそのレベルの冒険者になれば装備も生活もより良くできると堅実な考えを示した。
そんな話をしながら冒険者ギルドに入る。
「き!来ましたよ!」
入るや否や、ミミィがアニィに蓮たちが現れたことを伝え、アニィはすぐさま奥に走って行った。
少しするとアニィが戻ってきて、すぐさま奥の部屋に案内された。
その慌てた様子に、ポーションで何かトラブルがあったに違いないと蓮は察知した。
「とりあえず行ってくるよ。くれぐれも安全にね」
ドラコとユグドラシルに桜たちのことを任せて、蓮はアニィについて行った。
「蓮兄どうしたんだろ……」
桜が心配を言葉にすると、冒険者の誰かが口にした言葉が聞こえてきた。
「あ、あいつじゃねぇか?伝説の魔物、闇病のマンティコアを倒したって奴」
「お前信じてんのかよ。そんなわけねぇって」
マンティコアは確かに蓮が倒した魔物の名前だ。
それが一体、何が問題なのだろうか。
桜は、自身が不安そうにしていると向日葵も不安になると思い、切り替えてクエストを探すことにした。
小熊のしっぽでベアードに相談した所、眠り熊の部屋を2部屋取ってくれた。
桜とメイが女子会をするときの食べ物や飲み物を買っておきたかったのだ。
間も無く4回目の鐘が鳴る。
向日葵はリルの背に揺られて早くも眠そうだ。
ベアードの妻であるツキノに挨拶と料金を支払い、部屋に移動。
桜とメイは別室に行ってしまった。
「じゃあ、俺らも休むわ」
「ありがとうございました。すごく楽しかったです。是非またお話ししましょう」
フェンとローが片手を上げて言う。
それに対して蓮が応えると、フェンとローはいつも通り不思議そうな表情をした。
「人族にお礼を言われるのは新鮮だね」
そう言ってローは『良いもんだね』と言葉をづけた。
階段を上がり二階へ。
ちょうど前回と同じ部屋のため、窓からリルが見える。
リルを見て蓮が会釈する。
別れる前に、事前に見張りを頼んでおいたのだ。
冒険者ギルドで蓮たちは目立ちすぎている。
やっていることも、受け取っている報酬も規格外だ。
そのため、桜や向日葵を狙う者も現れるかもしれない。
桜は弱くないが、戦闘経験は極めて少ない。
近距離戦になれば戦えないだろう。
リル、ドラコ、ユグドラシルの3名に警戒を怠らないように伝え、蓮自身でも気配を探るようにしているため、この警戒網を掻い潜れる者はそうそう居ないだろう。
離れていたベッドを寄せて並べて一つにする。
そこに横になると向日葵はすぐに寝てしまったため、ユグドラシルに浄化を頼んだ。
「僕は少し鍛錬してから寝るから二人も適当に休んでね」
蓮はそう言う魔素を体に巡らせた。
支援魔法の練習をするためだ。
ドラコとユグドラシルはそれを見て、笑みを浮かべている。
「な、なんで笑うんだよ」
「すみません。闘気と比べると明らかに劣るのでつい……」
向日葵の方が滑らかに魔素を体に巡らせることができる。
さらに、向日葵は蓮はほど集中しなくても魔法を使うことができる。
それを見てユグドラシルが笑う。
蓮の場合はまだまだ戦闘中に使えるレベルに達していない。
いまだに時計がないため時間がわからないが、2時間くらいだろうか。
魔素を体に巡らせたり、手のひらに旋風を起こしたり、体と天井に引力を発生させて浮いたりして、魔力制御の練習をしてから寝た。
クスクス……。
「起きるかな?」
クスクス……。
「っていうか生きてる?」
「……ッ。ブハッ!?」
寝ていた蓮は呼吸ができなくなり、命の危険を感じて目覚めた。
目を開けると真っ暗。
何かが顔にへばりついている。
蓮はその柔らかく温かい何かをそっと引き離そうとするがなかなか取れない。
力を入れすぎないようにゆっくり剥がし、ベッドに寝かせる。
正体は向日葵。
蓮の顔を抱きしめるように寝ていたのだ。
「ん……。ましゅまろ……」
向日葵は何やら口をむにゃむにゃと動かしている。
きっと良い夢を見ているのだろう。
その光景を見ていた桜とメイがクスクスと笑っている。
2人とも仲が深まり何よりだ。
蓮はこの世界で初めて桜に友達ができたことに安堵した。
ただ、可能なら笑ってないで助けと欲しかった、
「お、おはよう。楽しかったかい?」
「うん!とっても!」
蓮はまたグリーデンに来た時はすれば良いし、ユグドラシルが許すなら来てもらっても良いと伝え、ユグドラシルを見た。
ユグドラシルは桜を見て、笑みを浮かべて頷いた。
向日葵の守護者ではあるが、料理神フローラに御剣家のことを任されただけあって、桜にも甘い。
1回目の鐘がなる少し前。
蓮は準備をして冒険者ギルドへ売れ行きの確認をしに行く。
「桜たちはどうする?」
「メイちゃんたちがクエスト受けに行くって行っててさ……」
凄く言いにくそうだ。
しかし、この潤んだ瞳での上目遣い。
いつの間にこんな表情を覚えたのだ。
言いたいことは言える方が良い。
桜は家族に気を使いすぎな一面があるため、先に言わずに敢えて言葉を待つ蓮。
「わ、私も良いのがあれば受けちゃだめかな?」
「よく言えました。良いよ。でも護衛付きで安全なのにしようね」
はっきり言えたことを嬉しく思い、蓮は快諾。
メイの冒険者としての活動に感化されたのか、この生活での生活に慣れてきて魔法への意欲が出てきたのか分からないが、挑戦することは良いことだ。
ただ自身のように無茶な訓練はして欲しくはないし、する必要もないことを伝えた。
「はっ!ぼうけん!?」
少し話しが聞こえていたのか、冒険者ギルドの一部から街の外に出ることを理解して向日葵が目覚めた。
そして、ベッドから飛び降りて華麗に着地するや否や、行く気満々で準備体操を始めた。
宿の外でフェンたちと合流して冒険者ギルドに向かう。
歩いている途中で一つ目の鐘がなっだが、すでに出店の準備が始まっている。
時間にして朝の6時か7時頃だろうか。
この世界の朝は早く、皆働き者なのだと改めて思う。
「たかーーーい!」
ドラコに肩車をしてもらい、蓮よりも遥かに高い目線を体感した向日葵がはしゃぐ。
いつにも増して人目を引く。
「な、なんだか有名になったみたいな気分」
メイは少し恥ずかしそうに言う。
満更でもない様子だ。
聞けば、大型の魔物を討伐した時や偉業を成し遂げた場合は、王レグナムなどでパレードが行われる。
該当者はパレードで馬車の荷台から手を振り、大勢の人の前を移動するため、注目を浴びることがあるそうだ。
メイはいつかそんなすごい冒険者になってみたいと想像を膨らませながら話す。
フェンは柄じゃないと言うが、ローはパレードには興味はないがそのレベルの冒険者になれば装備も生活もより良くできると堅実な考えを示した。
そんな話をしながら冒険者ギルドに入る。
「き!来ましたよ!」
入るや否や、ミミィがアニィに蓮たちが現れたことを伝え、アニィはすぐさま奥に走って行った。
少しするとアニィが戻ってきて、すぐさま奥の部屋に案内された。
その慌てた様子に、ポーションで何かトラブルがあったに違いないと蓮は察知した。
「とりあえず行ってくるよ。くれぐれも安全にね」
ドラコとユグドラシルに桜たちのことを任せて、蓮はアニィについて行った。
「蓮兄どうしたんだろ……」
桜が心配を言葉にすると、冒険者の誰かが口にした言葉が聞こえてきた。
「あ、あいつじゃねぇか?伝説の魔物、闇病のマンティコアを倒したって奴」
「お前信じてんのかよ。そんなわけねぇって」
マンティコアは確かに蓮が倒した魔物の名前だ。
それが一体、何が問題なのだろうか。
桜は、自身が不安そうにしていると向日葵も不安になると思い、切り替えてクエストを探すことにした。
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