異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー

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異世界生活:グリーデン編

相談

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小さな木製のコップ1杯でHPとMPとSPの全てが中回復するとんでもない性能。

その飲み物を冒険者ギルドへ銅貨3枚で提供すると言う蓮。

「そいつは許可できねぇな」

販売価格は商人が決めるため、文句は言えないはず。
しかし、ガバルは蓮の職人ギルドへの登録を拒否してでも対立するつもりだという。

「理由をお聞かせいただけませんか?」

「決まっている。今いる調合師が喰いっぱぐれるからだ」

グリーデンに居る調合師の中で、ポーション系の生産を生業としている者は3人。
その3人の商品がが売れ無くなってしまうため、許可を出すわけにはいかないというのだ。

「なるほど。ではその3人を雇用すれば問題ないですか?」

「ふむ。本人らが良いなら問題はないな」

もし蓮の飲み物が普及し、ポーションが売れ無くなれば、すぐさま3人を雇用することを約束。

「いろいろと確認したいことがあるので詳細は明日もう一度お話しできますか?」

蓮がそう言うとガバルは頷き、話がまとまってから職人ギルドへ登録することとなった。


外に出て足早に冒険者ギルドへ向かう。
途中で鐘の音が聞こえた。

1日に4度なる鐘。
これは夕暮れになる3度目の鐘だ。

冒険者ギルドに着くと、ちょうど入り口の前で桜たちに鉢合わせた。

「おかえり。その服どうしたの?」

桜と向日葵はユグドラシルの用意した世界樹の衣の上から、この世界の冒険者たちが来ているような服を着ていた。

「にぃに!」

桜との会話を遮り、久方ぶりの再会のように向日葵は蓮に抱き付いた。
蓮はそれを優しく受け止め抱き上げた。

昼寝から目覚めた時に蓮が居なかったため寂しかったようだ。

「周りの人と同じような服装の方が良いかなって。蓮兄れんにぃのも買ってあるよ」

蓮は喜びの表情を浮かべた。
そして桜に買い物が問題なくできたのかを聞くと、桜は嬉しそうな笑みを浮かべ、拳を前に突き出し親指を立てた。

「それはよかった。あ、そうだ。今日はこの街に泊ってもいいかな?」

蓮は詳細説明は後にして、職人ギルドで交渉している内容の大枠を伝えた。
桜もそれならば仕方がないと了承。
どことなく嬉しそうな所を見ると、まだ買い物がし足りないようだ。

色々と話しを聞きたいが、暗くなる前に残金を受け取るために中に入ることにした。


リルは外で待機。
自在扉を押して中に入る。
初めて入る冒険者ギルドの建物の中。

中央には受付。
その右隣りにはクエスト用だろうか掲示板がある。
両サイドに二階に上がる階段。

商人ギルドには人族が多かった、冒険者ギルドには亜人と獣人が多い印象を受けた。

そのまま受付に向かうが、冒険者たちの視線が蓮達に突き刺さる。

蓮に抱かれた向日葵。
その横を歩く可愛い桜。
豊満な胸元を見せながら歩くユグドラシル。
長身で体も胸も大きく、竜人族にはない尾があるドラコ。

個性を寄せ集めたかのような集団が入ってきて受付に向かうのだ。
視線を集めて当然。

しかし、誰も声をかけようとはしない。
それどころか視線が集まっては無くなり、集まっては無くなっていく。

「ド、ドラコ?少し落ち着いて?」

「このくらいやらないと舐められるじゃない」

蓮は原因に気が付き声をかけた。

そこには視線を向ける冒険者全員を睨み返すドラコが居た。
門前では覇気を発動したため、失神者が続出したが、今回は闘気をむき出しに、圧倒的な実力を示し威圧した。

美女、美少女の歩みに目を奪われる者の、ドラコがそれをことごとく蹴散らしているのだ。

蓮の制止に闘気を収めはしたが、表情には戦意が漲っている。

しかし、そのおかげで道ができ、すんなりと受付に辿り着けた。

受付には兎人族のミミィの他に、犬人族とエルフ族の女性が居た。

「ミミィさん。戻りました」

「あ、レン様!おかえりなさい!ちょっと待っててくださいね!

ミミィはそう言うと奥に走って行き、グランを呼んできた。

「おお!戻ったか!」

そしてグランは『お前たちがトラブルを起こさないか心配したぞ』と笑って言葉を続けた。
その言葉に対して、蓮は『僕も同じ気持ちでした』と答え、横目でドラコを見た。

「おっとそうだ。忘れる前に渡しておく」

グランはそう言うと、桜に渡した時よりも少し大きく膨らんだ布袋を蓮に渡した。

それを見て建物内にどよめきが走る。

「残金だ。使いやすいように金貨3枚と大銀貨4枚、それと銀貨10枚に分けてある」

解体場でハンディルが見た時は大金貨一枚は下らないと話していた。

前払い分を含めると倍の金額となるため、蓮は多すぎるのではないかとグランに伝えた。

「いや、適切な金額だな。ライトニングタイガーから魔石が出たんだ」

冒険者ギルドは討伐難易度をAランクにしている強力な魔物からは魔石が取れることがある。
魔石は魔法の効果を宿した武器や防具、道具などに使用されるため貴重だそうだ。

「多い分には助かります。それと、少し話したいんですが……」

「ん?構わんぞ。アニィ。後を頼んでいいか?」

グランがそう言って振り返ると、受付に居たエルフ族の女性が頷き返事をした。
グランが『何かあれば躾ておいてくれ』と言うとより意気込みを感じる返事をした。

「ついでに紹介しておく。あれがうちの副ギルドマスターのアニィだ。怒らせるなよ」

「要らぬ情報を広めないでください」

いつの間にかグランの横に居たアニィが言う。

きっと幾度となく怒られているのだろうと蓮は察した。

受付のミミィの横に居るのは犬人族の女性はソフィというそうだ。
遠目に見ていたソフィは、紹介されている事に気が付き会釈をした。

それぞれ種族は違うが、ミミィ同様に容姿が整っている。
そのためグランが居ない時を狙って声をかける冒険者が後を絶たないそうだ。

「ユグドラシル様。グリーデンにお越しいただきありがとうございます」

アニィはそう言うと深く頭を下げ、ユグドラシル様に来訪の感謝と、自身にできることがあれば何でも言ってほしいと伝えた。
エルフ族は森の民。
植物を司る精霊のユグドラシルは、女神にも等しい存在だそうだ。

副ギルドマスターのアニィが頭を下げたことで、周囲の冒険者が再びざわめきだした。

ユグドラシルって精霊じゃねぇのか?
お、俺初めて見た。
あいつら一体何者なんだ?
ドラコ隣の女も並みじゃねぇぞ。
そ、外にバカでかいシルバーウルフも居たぜ。


様々な言葉が聞こえてくる。
これ以上目立つことを避けるためにグランが咳ばらいをして視線を散らす。

「飯でも食いながら話そうか。支度をしてくるから外で待っていてくれ」

グランの計らいで場所を移して話をすることになった。
桜はグランが気にっているようで、『グランさんって良い人だよね』と嬉しそうだ。
貫禄や大人びた風貌から、父親を思い出しているのだろう。

蓮達は先に出て、グランを待つことにした。
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