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異世界生活:グリーデン編

旅立ちの日

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翌朝。
早速支度をして人間の住む街『グリーデン』へ向かうことにした。

「しっかり掴まってなさい」

蓮、桜、向日葵はドラコの背に乗り移動する。
リルは風魔法で足場を作り、空を駆ける。

ユグドラシルは植物があればどこでも移動できるため、蓮達がグリーデン付近に到着後に念話で呼ぶことになった。

「リル、まいごならない?」

向日葵がリルを気遣う。
その言葉にドラコとユグドラシルは驚いた。

「案ずるな。我は速い」

リル自身も、まさか心配される日が来るとは思っても見なかったため、少しの驚きの後に優しく答えた。
気分は悪くない。
気持ちが乗ったところでさっそく出発。

ドラコが翼に力を込める。
大きな羽ばたき音と揺れ。
向日葵が酔わないか心配になったが、加護で問題ない事を思い出した。

ドラコの背には掴まれる物が無いため、ユグドラシルが用意した布をドラコの首に巻き、手綱たづなの様にして捕まる物を用意した。

それに掴まりながら3人は寄り添い、揺れに耐え上昇。

広がるは絶景。

どこまでも広がる新緑の森と平原。
光を反射し、宝石の様に煌めく湖。
比較ずる建物が無いため、より一層に高くそびえる山々。
遥か遠くに見える水平線。

ドラコの背に乗り初めての遊覧飛行。

「ドラコも魔法が上手なんだね」

ひとしきり絶景を堪能した後に桜が言う。
蓮は一体どういうことか分からなかった。

「2つ……。いえ、3つ同時に使ってるわよね?」

自重を軽くする地魔法。
浮力を増すための風魔法。
空気抵抗を無くすための結界魔法。

桜が言うには、ドラコは3つの魔法を同時に、しかも自然と使用しているというのだ。

「サクラは本当に魔法の才能に恵まれてるわね」

桜がドラコの使用した魔法を見極めたことに気が付き、ドラコは驚いた。
蓮では気づけないほど自然に使用された魔法を桜は見抜いた。
凄まじい才能だ。


「あそこに、何匹かいるぞ」

驚いていると、リルが魔物を発見。
リルの探知は広く、蓮の索敵スキルでは見つけられない。

少し進んだ平原に羊型、鹿型、兎型の魔物の魔物が見えた。
数は全部で10匹ほど。
近くで草を食べている姿から、肉食ではない魔物は他の種類の魔物ともめることも無いのだと見て取れた。

「ちょっと先に行って狩ってくるよ」

ドラコの存在に気が付けば、逃げてしまうだろう。
蓮はドラコにゆっくり飛んで遅れてくるように指示。

ドラコが、高度と速度を下げと同時に、蓮は桜と向日葵に『行ってきます』と伝えると、ドラコの背から飛び降りた。
着地と同時に、大地を強く蹴りながら駆ける。
急いで森を抜け平原に出る。
速度を落とさずに、高速移動のまま平原を駆け抜け次々に魔物を狩る。

ブラックウール2体。
フェアリーラビット3体。
トールエルク1体。

走りながら取り出した世界樹の片手直剣で、瞬く間に頭部を一突き。

必要以上に狩る必要はない。
街で売る分と、食料として置いておく分だけを狩り、他は逃がすことにした。

「魔物からするとただの通り魔だな」

そんな独り言を言っていると、ちょうどドラコたちが追い付いてきたため、獲物をアイテムボックスに入れ、跳躍し、ドラコの背に乗った。

「ありがと。ただいま」

蓮が乗りやすいように背で受けるような仕草をしたドラコにお礼を言い、桜と向日葵に帰りを告げる。

「にぃにすごいね!」

蓮が高い所から飛び降りたこと。
森を素早く駆け抜けたこと。

ドラコとの戦闘時は泣いていたからか、突然だったから分かっていなかったようだ。
蓮の身体能力を目の当たりにして、向日葵は目を輝かせている。

「絶対に真似しちゃだめだよ」

向日葵が真似て跳びを降りでもしたら一大事だ。
蓮は優しくも強く言い聞かせた。

「お疲れ様。?」

桜は蓮を労うと、蓮は不要だと答えた。
桜が聞いたのは、街で売るための商品だ。
朝から用意した商品は4パターン。

元々作っていたリンゴとミカン。
それぞれを10個ずつ搾って飲みやすくしたジュース。
ミックスジュースも試したが、混ぜない方が美味しかったため、リンゴジュースとミカンジュースにした。

ユグドラシルに用意してもらった布にくるんで搾り、木製の水筒に入れて持ってきた。
小さなコップ一杯でHP、MP、SPがそれぞれ中回復する優れものだ。
添えぞれ1つの水筒で10杯淹れられるようにサイズを調整した。

桜の氷魔法で冷やしてからアイテムボックスに入れているため、常に冷たくて飲みやすい。

後は桜が魔力を流し込み、新しく作った小さなリンゴとミカン。
大きさは直径5cmセンチメートル
効果は同じく全てが中回復。
冒険者が鞄に入れて持ち運びやすいと考えたのだ。

固形物が良いのか液体の方が良いのか。
固形のミカンはつぶれやすいため不要かもしれない。

色々考えたが、色眼鏡を外して、合計4パターンを用意した。
後は売れるかの確認をするだけだ。

蓮が、ブラック企業で鍛えられた営業力を発揮する時が来たと意気込んでいると、ドラコは上昇。

「この山を越えると街が見えるはずよ」

ドラコの言葉に蓮達はわずかな不安を残しながら、期待で胸を躍らせた。
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