高塚くんと森くん

うりぼう

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番外編

高塚くんの妄想劇場

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(やっと)

やっとこの日がやってきた。
オレはサンサンと照りつける太陽の下、緩む口元を抑えきれずにニヤニヤしながらプールサイドに仁王立ちして森が出てくるのを待った。
そう、今日は待ちに待ったプール解禁日。
プールと言えば海パン一丁その他に身を隠すものなど何もない。
今日というこの日をどれだけ待ち焦がれていた事か。

初めは女の子の水着姿目当てだったけど、今となっては森ただ一人の姿を見るためだけに水泳の授業があるこの高校を選んだと言っても過言ではない。

(はーやーくー出ーてーこーいー)

じっと着替えを見つめていても良かったのだが、初日の今日はあえて楽しみをとっておくことにした。

きっと可愛いに違いない。
きっと物凄い色気を醸し出しているに違いない。
想像しただけで鼻血噴く勢いなんだから、改めて一から着替えるシーンなんて見た日にゃ出血多量で死ねる。
噴き出る。
間違いない。

(あーでも水泳か。森泳げんのかなあ?去年どうだったっけ?)

森に惚れたのが秋だから、残念ながら去年の授業は覚えていない。
勿体無い事したなあ。

(泳げそうなんだけど)

というか確実に泳げるのだろうけど。
例えば森がカナヅチだったとして。
オレがマンツーマンで教える事になっちゃったりなんかして。
そうすると、あの生の裸体を。
すべすべでつやつやで滑らかできめ細かいあの柔肌を思う存分触れちゃったりして。

『ほら、もっと足開いて』
『おま、どこ触って……!』
『はーい、腕はこのまま。そのまま蹴ってー』
『ッ、ちょっ、そこくすぐったい……っ』
『そこってどこ?ここかなあ?』
『やだって!そこ、やっ』

今日も今日とて妄想全開。
本人の実際の性格などまるっきり無視して更にエスカレートしてしまうかに思えたのだが。

(水中プレイかなやっぱ。水入っちゃう、とか言われたりし)

「いい加減にしやがれこの変態やろおおおお!!!」
「おわ!?」

妄想している間に更衣室からプールの方へと視線を移していたのが災いしてか、背後からの見事な森の蹴りが腰にクリティカルヒット。
無様に水中へとダイブしてしまった。

「ぶわっ、鼻に水入った!」
「キモイんだよ何が柔肌だ水中プレイだ!!」
「!!!なんでそれを……はっ、テレパシー!?」
「だだ漏れなんだよテメェの妄想はいっつもいっつも!ちょっとはまともな事考えらんねえのか!」
「なっ、オレはいっつもマジで真剣に森のこと……!」

考えてんのに、と言いかけて固まる。

「?何だよ」

水中からじっと森を見上げる。

太陽の光が反射して、森の髪の毛を明るく照らし、滑らかな肌がきらきらと輝いてみえる。
てゆうか

「ちょーっ!森ちゃんってば超せくしー超可愛い!やっぱ腰細いね、足も細いね!乳首とか晒してどうするつもり!?舐めたくなるじゃんもー!ね、ね、一緒に入ろ、そんで溺れてくれたらオレ真っ先に人工呼吸するから!」
「マジでしね変態いいいい!」
「がぼっ!?」

言いかけたところでプールサイドに膝をついた森に頭を押さえつけられ水中に沈められた。
一瞬だけだったけど鼻に水入った。

「もう浮かんでくんな!一生沈んでろ!」
「ちょっ、ちょ、森!」
「マジで死ぬから!高塚死ぬから!」
「……げほっ、もり……ってオイ!」

水中から浮上した時真っ先に目に入ったのは、暴挙を止めようと森を羽交い締めにするクラスの野郎ども。
ああでもふがふが鼻息荒くして威嚇する森も可愛い。
じゃなくて。

「お前ら森から離れろ羨ましい!」

即座に復活して奴らを蹴散らす。

「全く油断も隙もない!」
「そりゃテメェの事だ、なんだこの手!?ケツを触るな!」
「ぶふ……っ」

隣に立ちぷりぷりのケツを触ったところで顔面に裏拳。
相変わらず、森の愛は痛かった。












おまけ。


水泳の授業終了後。
数個並んだ簡易シャワーの一室にて。

「森ちゃんっ一緒にシャワー使おー?」
「ザケんなテメ、入ってくんな!!」
「ほらほらちゃんと水着脱いでから浴びないと」
「触んな、ちょっ、なに脱がそうとしてんだよ!?」

水着を下ろそうとする高塚と抵抗するオレ。
冗談じゃない脱がされてたまるか。

「出てけええええ!」
「ぎゃっ!?」

すぐに変態を個室から蹴り出したのは言うまでもない。






おわり。

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