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*執事視点*
しおりを挟む主人であるイドラ・ギュンター公爵がご結婚されると聞いた時、執事のボルドは「結婚」という名の何か比喩だと思った。
公爵家の執事たるもの、主人の言葉の意図を理解するのは当然だ。ボルドにはギュンター公爵家の執事であるという誇りがあった。先祖代々、王家を支えた大貴族。先代の性根が大変腐っていたが、ボルドはいずれ聡明な次男イドラ様にお仕えできる人生が始まると信じていた。そうしてそれが叶った時、ボルドは安心して妻を迎え自分の代で執事家を終わらせずとも良いという判断をくだした。
粛々と執事としての日々を全うし、あまり口を開くことを好まない主人の性質をよく理解し「あぁ」「そのように」という短い言葉で済むように報告は的確に。主人が屋敷で快適に過ごせるようにと、これまで先代相手には全く発揮されなかった能力を惜しみなく使いギュンター公爵に尽くした。
自分は誰よりも主人を理解しているという自負がボルドにはあった。
それであるので、帰宅した主人がいつもと変わらぬ淡々とした表情で語った「結婚」という言葉が何か国の一大事に違いないと思った。
しかし、続けて主人が下す指示の内容は「花嫁の部屋は一番陽当りが良く窓の大きな広い部屋に」「花嫁の身の回りのことをする女性の選任はミュンゼ夫人に任せるが、花嫁が屋敷に慣れるまでは夫人が行うように」と、どうもおかしい。いや、おかしくはないのだ。ボルドはそこでやっと、主人であるイドラ・ギュンター公爵がご結婚されるおつもりだと理解した。
よほどの資産家の娘か、外国の大貴族だろう。ボルドは主人を敬愛しているが、それはそれとして主人が世間一般的には「死神」「悪魔」「魔族の方が人情がある」と言われる人でなしであると知っている。
なのでその主人がご結婚される、ということは政略結婚に他ならない。というか、貴族の人間なのだから当然といえば当然なのだけれどイドラ・ギュンターがするとなると、そこにどんな企みがあるのだろうかと身を竦ませてしまう。
気の毒な女性がいたものだ。公爵家に嫁ぐなど、そこに愛情がなくとも貴族の女性にとっては名誉なことだったはずだ。皇后を除けばドルツィアで最も高い身分である公爵夫人になれる。たとえ夫と反りが合わずとも約束されて富と名声で何もかも帳消しになるほどのチケットだが、それはその「公爵家」がギュンター公爵家でなければの話。
政治的な思惑の後に迎えられたお飾りの妻に、ギュンターが自由を許すだろうか。下手にギュンターの弱みを探られたり、ギュンター家の力を使って余計な事をしないようにと、部屋に軟禁されるだろうことは明白だった。
「お相手はあのルーナ皇女様ですって!」
ボルドと違い、妻のミュンゼは楽天家だった。
薄暗い公爵家がやっと華やぐと、妻は嬉しくて仕方ない様子だった。
「おまえ。あの女性は今は皇女ではないよ」
「それはそうだけど。この国であの方より「皇女」らしい方なんていやしないでしょ?あの方が伯爵令嬢だなんて、誰も思っちゃいないじゃない」
妻のミュンゼにとっては悪意のある言葉ではなかった。だが誰かに聞かれてもそれが妻の意図通りに伝わるとは限らない。
何しろルーナ皇女といえば、あのポロニア陛下の双子の妹君。双子は後に生まれた方は不吉だとして殺されるところ、黄金の瞳を持っていたので生かされた。その姫君を引き取った伯爵家は災難だと誰もが同情した。
誰もが彼女を「黄金の姫」と呼ぶ。
ルーナ皇女様。
彼女は自分の美しさをひけらかし、伯爵家に引き取られてからも自分をこれまで通り王族として扱うようにと彼らに 要求したという。
王族への忠誠心のあった伯爵家は、たとえ王室から追放された皇女であろうと、彼女を満足させるために領地の人間に無理な苛税をしなければならなくなった。彼女の食事や新しいドレスや宝石を買うために、ヴェーラ家の領地では母親が娘を売らなければならなかった。
伯爵家には他に2人の娘がいたが、ルーナ皇女は自分が 彼女たちよりも輝いていなければ気に入らないと姉妹を罵ったそうだ。若い二人はルーナ皇女より地味な装いでいなければならず、伯爵は実子には流行遅れの古着を着せ、ルーナ皇女の為にフランツ王国のデザイナーを呼び寄せたという。
本来であれば姉や妹、家族として扱うべき存在を、ルーナ皇女はまるで使用人のように扱ったという。
ルーナ皇女は確かに美しかった。 それは誰もが認めるところ。
けれど彼女の兄であるポロニア皇帝がそうであったように、彼女の内面に美徳があるかと言われれば、それは首を傾げなければならない。
ボルドは主人がルーナ皇女を妻に迎えるということは、何か政治的な理由があるのではないかと考えた。 例えば確かに前皇帝は処刑されたが、ルーナ皇女は間違いなく前王朝の血を引く存在である。
未だ各地に点在する前王朝を支持する貴族たち。彼らは、ルーナ皇女を、その美しい姫君を担ぎ上げ、自分たちの栄光を取り戻そうとするのではないだろうか。そうした連中に対しての牽制の意味として確かに皇帝ステラの腹心、死神の異名を持つほど貴族たちに恐れられている男が皇女の監視役になるというのは最も良い選択なのかもしれない。
「ああ、本当に楽しみですね。この家に女主人がいらっしゃるんですもの!」」
妻のミュンゼはそんな夫の考えを知らず呑気に喜んだ。
全く女というのは考えが足りないものだ。
ミュンゼとて伯爵家にいた頃のルーナ皇女の噂を知っているだろうに、「あたしは自分の目で見るまでは他人の口から聞いたことを鵜呑みにはしませんよ」と賢しらな顔をする。
屋敷内の金銭管理まで任されているボルドと違い、ミュンゼは屋敷の中のことだけやっていればいい女だ。狭い世界しか知らない。なので世間の評判というものを陰口か何かだと思っている。
ミュンゼは公爵にどれほどこの屋敷が若い女性が新婚生活を迎える事に向いていないか、若い女性が一夜にして逃げ出したくなる要素が多いか、熱心に語った。明らかにミュンゼの職責を超えたことだ。ボルドは冷や汗をかいた。公爵は先代と異なり使用人たちに対して寛大だが、それは彼らが自分の部をわきまえた行動を取っているからだ。
ミュンゼの熱意を公爵はいつもの冷ややかな目で一瞥し無視するだろうとボルドは思った。
「よろしいですか、旦那様。このお屋敷はそりゃあ立派ですけどね。それだけじゃいけませんよ。まず壁紙は全て張り替えさせていただきますし、シャンデリアも、えぇ、磨きなおしますよ。普段からお手入れをサボったりなんかしていませんけどね。絨毯だってひっくり返して、埃をよぉく叩きましょう」
「……」
「それにクローゼット!奥様をお迎えになるというお方がなんです!空っぽじゃありませんか。よろしいですか、クローゼットはいっぱいにしておくのが殿方の心得というものですよ。宝石はまぁ、好みもございましょうけれど、公爵家代々の女性が身に着けた由緒あるものが山ほどあるじゃありませんか。それもちゃんと並べておかないと……」
「こ、こら……おまえ。いい加減にしないか」
黙っている公爵が恐ろしく、ボルドは妻を窘めた。
しかしミュンゼにはミュンゼの考えがあり、それを譲るつもりはないらしかった。
「もちろんあたしだって、普段なら余計な口を利く女じゃありませんよ。けれど旦那様は男性でしょう。しかもこう言ってはなんですけれども、これまで浮いたお話しの一つもないじゃありませんか。女性に贈り物などなさったことがないでしょう。こういうのは母親や女きょうだいがそっと助け船を出すものですけれど、お屋敷にはおりません。そうなれば、旦那様を坊ちゃんと呼ばせていただいたあたしが、口を出すべきじゃあありませんか」
「いや、だがね。おまえは私の妻、この家の執事の女房だろう。公爵夫人になる女性の何がわかるというんだね……」
「あらあんたったら、馬鹿なことをおっしゃらないでくださいよ。同じ女でございますよ。旦那様やあんたよりよほどあたしの方がわかっていますよ。自分が迎えられる家に宝石の1つドレスの1着もないなんて。 きっと自分が軽く思われてると落ち込んでしまいますよ。 それはもちろん、後でご本人で好きなものを選んでいただけるようにするべきでしょうけれど、それはそれとして。それでもやっぱり必要でございましょう。伯爵家から公爵家へいらっしゃるんですよ。公爵夫人にふさわしいドレスと宝石をこちらで用意して差し上げるのが、誠意というものでございますよ」
つらつらと、正論正義大儀だというように淀みなくミュンゼは語る。妻の一方的な言い分にボルドは呆れた。
「旦那様、申し訳ございません。妻にはしっかりと私が言い聞かせますので……」
「夫人の思うようにするといい」
「は?」
驚くべきことに、普段無駄や浪費を一切なさらなかった公爵様が、ミュンゼの主張を受け入れた。
どう感じたのかはわからない。ただいつものように淡々とした様子ではあったが、しかしはっきりと「是」とした。
それで、薄暗かった。公爵家の壁紙は一新され。たいして世話もされていなかった庭には美しい薔薇の花が植えなおされた。
これまでひっそりと先々代の公爵夫人の愛した庭を守っていた庭師は「やっと!この庭でかつての日々のように貴婦人のご訪問がある!」と喜んだ。あまりに喜び興奮して血圧が上がり一時危篤になったが、「お生まれになる坊ちゃんお嬢さまに「お庭のじいや」と呼ばれるまでは……!」と死の淵から戻ってきた。まぁ、それはどうでもいいとして。
屋敷の変化が始まった。
そこから屋敷の中が活気ついてきた。
ミュンゼの仕業でもあっただろう。彼女はこれから自分たちが迎える人がどれほど美しいのかと使用人たちに語った。確かにルーナ皇女の美しさを誰もが知るところ。そのお人柄については顔をしかめずにはいられないけれど、まあ美しい人を自分たちの主人にできるということは、使用人達にとって励みにはなった。
特にメイドたちは年頃の娘が多い。
どちらかといえば、つまらないいかめしい顔をした、暗い顔の男に使えるよりも美しい女性に伝えてみたいという気持ちがあるのだろう。
クローゼットの中のドレスが増える度、宝石商があれこれと出入りをして豪華な宝石を置いていく度、メイドたちの顔が輝き始めた。宝石商たちはメイドたちに「公爵夫人がいらっしゃった際に、わが商会をごひいきくださいますよう……」と小さな宝石のついたブローチや髪飾りをそっと渡した。賄賂というほど悪意のあるものではない。どこの屋敷でも行われていること。貴族に仕える娘たちの目当ての一つでもある。ボルドが咎めるほどのことではなかった。
メイドたちは日に日に瞳を輝かせた。もちろんクローゼットに収められるなにもかも、自分たちがこれを身に着けられるとは思っていない。女というものは、美しいものを見ることが嬉しいらしかった。
そしてこの素晴らしい品々を自分たちが手に持ち、やってくる公爵夫人を飾り立てることができる。それを誇りと思える若い娘たちが公爵家のメイドであることは喜ばしいことなのだろう。
そうして、ミュンゼだけではなくメイドたちもあれこれとルーナ皇女を迎えるために準備をする。女たちが活気づけば、屋敷の中が華やぐ。
ボルトは妙に置いてかれた気持ちがした。もちろん執事は自分である。屋敷内の決定権の多くはボルドにあった。だからメイドたちやミュンゼはボルドにあれこれと提案あるいは要求をし、ボルドは自分の判断の及ぶ限りは自分で彼女たちの希望通りになるように許可をし、結果を公爵に持って行った。その流れは変わっていない。
けれど、どこか置いていかれるような気持ちがした。
活気づく屋敷の中で、公爵の生活は何も変わらなかった。
これがもう直に結婚する男なのかとやや不思議に思うほど。
まあ、確かに公爵からすれば結婚などどうでもいいのだろう。大切なのはルーナ皇女を監視することである。それは執事も分かった。
本当ならメイドやミョンゼが浮かれるように大々的な準備をする必要などなかったのだ。
全く持って無駄なこと。
だというのに公爵様を止めることをなさらない。
許している。というほどでもないのだけれど。止めはしない。
料理長が「公爵夫人の一か月分の朝食メニュー」を考えて報告するのも、副官が辺境での異変を報告するのも同じ顔で聞いている。反乱分子の物資運搬のルートを封鎖することを命じるのと同じ声で、公爵夫人の食後のお茶の種類の数を指示した。
そうして迎え入れられた女主人ルーナ姫皇女。
「こんにちは」
微笑み、ボルドに気さくに挨拶なさる高貴な女性。
なるほど、これは確かにたいへん美しい方だった。ボルドは女神が人間の形をなさってこの世に降りたったのではないかと思った。
噂に聞く黄金の瞳。
ただの金の塊ではない。黄金を水晶で包み込んだような瞳だ。生き物の瞳であるからこそ、感情の変化で黄金が輝いた。
なるほど、この瞳を持つ赤ん坊を殺せはしなかっただろう。
どれほど信仰心の高いものであろうとどれほど。
どれほど冷酷な心を持つものであろうと。
忌み子の逸話。過去の呪い、何もかも災いを持たたす存在だと頭で思っていても、輝く黄金の瞳がじーっと自分を見つめてくれば、あまりの美しさに言葉を失う。
ボルドは皇帝ステラたちがなぜ忌まわしきポロニア皇帝の妹であるルーナ皇女を殺さないのか理解できたような気がした。
古めかしい因習に捕らわれた旧王族たちでさえ、赤ん坊の彼女を殺せなかった。
年頃の娘となり、瞳だけではなく輝くばかりの美しい女性に成長したルーナ皇女。
あぁ、なるほど。これは殺せない。ポロニア皇帝を殺しても、他の王族を全て処刑してもこの皇女は殺せない。
かといって放っておくには危うすぎる。
前王朝の旗印にと、どこぞの貴族が担ぎ上げるだろう。その血を求めて自分の妻にして、自分が王配となり彼女を女帝にと、そのように考えるだろう。
なるほど。確かにそれならばご主人様が夫になるべきだとボルドは思った。
「今日からよろしくお願いしますね」
鈴を転がすような。美しい声。
噂に聞いたより、ルーナ皇女の声には優しさがあった。
しかし、優しい女が善良だとは限らない。
ボルドは執事としてふさわしい態度で挨拶をする。
「これから我々はあなた様にお伝えします」と丁寧に申し上げるとルーナ皇女は微笑んだ。
あどけない顔だ。
伯爵家の領民を殺すような悪女にはとても思えない。
「この屋敷の中で彼女に不自由がないように」
ボルドの胸中はさておき、いつもと変わらぬ声でギュンター公爵が執事に命じた。
これほど冷静な新郎は金輪際現れないだろうな、と、ボルドは頭の中でぼんやり思った。頬をバラ色に染めている美しい新婦の横に立つ、死神のような顔色の男。
「はい、それは……もちろんでございます」
ふとボルドは疑問に思う。
わざわざ今のように言葉に出されずとも、ボルドはそのようなことは心得ている。今日この日を迎えるために屋敷中は準備をしてきた。誰もが新しい公爵夫人を歓迎しており、彼女に仕えることができるのを待っていた。ギュンター公爵がそれを理解していないはずがない。
しかしあえて言葉に出したようにボルドには思えた。
(……まさかとは思うが)
らしくもなく、あえて言葉に出した理由。
その言葉はルーナ皇女を自分も歓迎しているのだと、公爵がルーナ皇女に知らせるための言葉……なのだろうか…………。
いやまさか。
そんな。
そんな……不器用すぎる。そんな、初恋を知った若造のような……わかりづらい主張を……あの死神公爵イドラ・ギュンターが?
するわけがない。
うん、これはきっと、自分たちへの最終確認なのだろう。
さすがの公爵様もご結婚されて、少々普段より口数が多くなっているだけなのだ。
ボルドは納得し一人で深く頷いた。
…………きょろきょろと興味深そうに屋敷の中を見上げるルーナ皇女を見て目を細めているが。
……階段を上がる時に腕をそっと差し出したが、ルーナ皇女は気付かず手すりを掴んで上がり始めたが。
………………旦那様ッ!!
いや、大丈夫。
これは政略結婚だ。
我らが公爵様は冷静沈着冷酷で国中から死神公爵と恐れ敬われているお方……!
……ルーナ皇女、いや、ルーナ・ギュンター公爵夫人はただの監視対象だ!
毎朝毎朝、朝食を終え登城される前に「今日こそは必ず夕食前には帰る。せめて夕食中には帰る」とぶつぶつ呟かれているのを聞きながら、ボルドは「監視のためでございますね旦那様」と心の中で頷いた。
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