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第3章 学園の日常

赤と青

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「おーおー、あっちはすげぇ盛り上がってんな」 
「…………」
「さっきから、俺しか喋ってねーじゃねぇか。あ、仲間がどんどんやられて悲しいんだろ」
「·····················とうに覚悟は出来ている」
「はっ、そうかよ」

 オーウェン・フェリペは、退屈そうに鼻を鳴らした。
 対するのは、口元を布で覆っている魔人族。
 その魔人族は学園を襲撃してきた者の、双子の弟である。

「·········お前が邪魔した、メスガキ共は······俺の···獲物だった」
「あのかわい子ちゃん達の事か? 無理無理! テメェなんかにゃ渡さねぇよ!」
「………お前も、殺してやる」

 オーウェンは聞こえた。自分の頭の中で何か糸のような物が切れる音を。

「んだと、コラァ!」
「っ!」 

 オーウェンは、生まれつき気が短かった。
 なにか気に入らないことがあれば、すぐに頭に血が上る。
 今の言葉でさえも、琴線に触れたのだった。
 
 魔闘十ニ聖候補と囁かれるオーウェン。
 その彼の魔力保有量は伊達じゃない。

 その魔力を全開に溢れさせ、謁見の間をかき混ぜるような奔流を起こす。

「俺を殺すだァ? できるものなら、やってみやがれ!」

 オーウェンは手を向け、ただの魔力を固めたものを幾つも放つ。
 左右の手から飛ばし、魔人族を嬲る。

「クソ、ボケ、カス、雑魚、ゴミ!!」
「……ぐっ!」

 男はしばし耐えていたが、数の暴力によりやがて蹌踉ける。
 そこを、オーウェンが見逃すわけもなく、

「『風剣』!!」

 風魔術を腕に纏わせる。
 それを螺旋させながら1mほど伸ばし、レイピアのように細くし貫く。
 
 間一髪で急所を避ける魔人族だが、風剣が肘を掠めた。
 その瞬間、暴発したかのように肘から先が弾け飛ぶ。
 
 これこそが、オーウェンの唯一無二の必殺技『風剣』である。
 腕に纏う風は、一秒間で2000回転。
 それに螺旋を加えており、掠めただけで文字通り吹き飛ぶのだ。

「···きさ、きさきさ、貴様ぁ!」

 白目を向き壊れた人形のように、小刻みに震え出す魔人族。

「あああああ────!」

 男は叫び声を上げる。
 直後、音を立てて、傷口から新たな腕が生えあがった。

 その様子を間近で見ていたオーウェン。
 口元に手を当て、不快なものを見るような目付きで言った。

「おえ、気持ちわるっ!」
   


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