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第3章 学園の日常

前触れのない戦い

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 朝になったが、エスターは眠り続けたままだ。
 起きた痕跡も無い。

 とりあえず寮母にだけ報告しておいた方がいいか?
 いや、そこまで首を突っ込むのは面倒臭い。

 このままにしておいて、急いで学園へ向かう。
 今日は珍しく寝坊してしまった。
 この時間帯になると通学路は人が少なく、同じく走っている生徒が疎らにいる程度だ。
 
 予鈴の2分前に校門を潜る。
 外履きの靴から上履きに履き替え、最短距離で教室を目指す。
 教室へ入った瞬間、予鈴の鐘が鳴った。

 あっぶねー、間に合った。
 前にギリギリの時間で登校してきたにも関わらず、間違えて別の教室に入ってしまってたことがある。

 見知らぬ生徒達の顔を見て、本当に焦った。
 俺抜きでクラス替えしたのかと思ったほどだ。

「おはようクルル!」
「あ、おはようございますクルルさん。ギリギリでしたね」

 いつも通り、先に来ているキーナとマレ。

「おはようございます。昨日はありがとうございました」
「楽しかったわね!」
「またやりましょう!」

 それから数分後にスダンがやってきた。
 やはり、こちらもいつも通りだらしない。

「今日は全校集会があるぞー。全員、結界館へ行け、さっさと行け」

 はて、そんな予定あったか?
 事前に配られている予定表には書かれてなかった気がするが。
 パールはこのこと知っているのだろうか?
 
 そう思い、パールに視線を飛ばす。
 視線の意図に気がついたパールは首を横に振った。
 ということは、急遽決まった話なのか。

「行くぞ、ラスマ!」
「おう! 俺達が一番乗りだぜ!」

 急遽決まった全校集会、その内容を考えていると元気なラスマとプッカは結界館へ向かった。
 最近、2人に友達が増えており、教室の半数の男子が共について行った。

 クラスの中心人物になる奴ってら明るくバカな奴が多い気がする。
 まあ、2人はそれを度外視しても良い奴らだから、自然に人が集まっていくんだろうな。
 
 残った者達もぞろぞろと歩き始めたので、俺達も向かうことにする。

「お父さんからなにも聞いていないんですか?」
「うん、朝に挨拶しに行ったけど特には言ってなかったよ。なんの話なんだろうね」
「聞いてるフリしていればいいじゃない。どうせ、あたし達には関係ない話よ」
「もう、キーナったら。ちゃんとお話は聞かなきゃダメだよ?」

 4人で雑談しながら結界館へ向かうが、前方にいるうちのクラスの者以外は見当たらない。
 他クラスの連中は先に行っているのかな。
 スダンが来るのも遅かったし。

 教室のある3階から2階へ降りる階段が見えてきた。

 刹那、俺の本能が警鐘を鳴らした。 
 これは、膨大な魔力の流れ······!

「後ろに隠れてください······」
「「「え?」」」
「早くしろっ!!」

 事の重大さに気がついた3人は、素早く俺の背に隠れる。
 直後、凄まじい衝撃と轟音が俺達を襲った。

「なに!? なんなのよコレ!!」
「キャ────!!」

 見える限りの窓は割れ飛び、窓下部分は瓦礫となり、音を立てて崩れ落ちる。
 砂煙が晴れると、3階部分の校舎が破壊され、外の景色が文字通り丸見えになっている。

「みんな、大丈夫ですか?」

 前方に注意を払いながら、後ろに隠れる3人に声をかける。

「ケホッケホッ! ええ、大丈夫よ」
「はい、私も大丈夫です」
「俺も大丈夫だよ」

 全員の安否が確認できた。
 判断が一瞬遅れていたら、大変な事になっていたかもしれない。
 目の前に広がる景色を見てそう思った。

「ク、クルルくんの、その纏っているのは······ローブ? いや、動いてる?」

 サラサラと流動しながら、俺を纏っている霧。
 そう、《ロストドレス》だ。 

「これは魔け······むぐっ!」
「勝手に言っちゃダメだよキーナ!」

 いや、パールには言ってもいいんじゃないかな。

「これは、魔剣の能力アビリティなんです」
「へ······? まけん? まけんって、あの七魔剣!?」
「ええ、そうです」

 開きすぎて、目玉が落ちそうなほど驚愕するパール。
 そんなことは放っておいて、今の状況だ。

 遠距離から魔術を放たれた。
 それも明確にこちらへ向けて。
 敵の情報は、上級風魔術ほどの威力を撃てるということのみ。

 またもや、魔力の奔流を感じる。
 第二波が放たれるだろう。
 それまでに早く3人を安全な場所へ、そして俺は元凶の足止めをしなければ。

「3人は素早く結界館へ行って、先生達を呼んできてください。あそこは安全だと思います」
「で、でもアンタはどうするのよ!?」
「僕は殿しんがりを務めます」
「それじゃあクルルさんが······」
「多分、大丈夫です。僕のことは放っておいて避難を」

 早く結界館に行ってくれ。
 こちらが生きているとバレれば、あれよりも威力の高い魔術を放ってくるかもしれない。
 そうなれば、次は守れるかわからない。

「·········分かったよ。ごめんキーナさん、マレさん!」
「ちょ、ちょっとパール! クルルを死なせる気!?」
「いやぁ! 離して! クルルさんが、クルルさんが!!」

 パールに強引に引っ張られ、キーナとマレは連れていかれる。

 そう、それでいい。
 ありがとう、パール。
 これでも一応、Aランク冒険者だ。
 あそこまで心配されることはない、はず。
 ただ、相手の素性がわからない以上、油断は禁物だ。

 3人を見送ってから、魔術の飛んできた方へ構える。

 今はまだ、こちらから仕掛けない。
 狙うならば、魔術を放った後のインターバルだ。
 遠くから放ってくるしてくる場合、術者は着弾するまで様子を見るだろう。
 狙うならば、そこだ。

 ヒリヒリとする空気感。
 今か今かと構えていると、第二波の──巨大な炎の塊が飛んでくる。

 やっべ、マジかよ!
 素早くフードを被り、腕を顔のところで交差させてロストドレスで受け止めた。
 灼熱の炎は後ろの教室を燃やし、すべてを消し炭に還す。

 ちっ、よりによって火属性魔術を撃ってきやがった。
 顔は無防備だから、熱風がモロに当たって熱いんだよ!
 
 もう怒った。
 作戦なんてどうでもいい。
 さっさと、ブッ殺してやる。

 飛んできたのは、ここからおよそ300mくらい先にある、あの草木が生い茂ってる所からか。
 あの辺の隠れているであろう草木ごと吹き飛ばしてやる。

「『絶対暴風アネモス』!」

 手のひらから、小さい風の渦を飛ばす。
 それは大気中の空気を巻き込み、目的の場所に到達する頃には巨大な竜巻へと形を変える。

 危険を察知したのか、人影が飛び上がった。
 そのまま凄い跳躍で校舎下へ、つまりは俺の真下に着地した。

 術者の全貌がハッキリとわかった。
 見上げるように、俺を睨み付けてくる男。
 頭からは、山羊のようなとぐろを巻いた角が生えている。

 あれは······魔人族か?
 実物を見るのは初めてだ。
 角以外は人族となんら変わりはないようだ。

「あなたは? いきなり攻撃してきて、なにか用ですか?」
「…………」

 男は睨むばかりでなにも口にしない。
 答えたくないなら、答えなくていい。
 
 まずは小手試しに、初級の火属性魔術である『火弾ファイアバレット』を顕現させる。
 ──その数、約120発。

「あははっ! ──じゃあ、死んじゃえよ」

 流星群のように落ちていく『火弾』を、魔人族の男は寸でのところで回避していく。

 余裕ぶっている風に見えるが、案外大変そうだ。

 今までいた3階の校舎から飛び降りる。
 自由落下で向かう先は男の頭。

色欲の霧ラストミスト

 愛剣の名を呼び顕現させる。
 勢いそのままに上段で振り下ろすと、魔人族の男は左腕で受け止める体制を取った。

 バツンッッ!

 筋の斬れる音が鳴り響き、男の腕は地面へ落ちた。
 怯んだところへ更に前蹴り。
 深々と腹に沈み、男は下がった。

「──ッ!」

 声にならない悲鳴をあげ、左腕の断面を抑えながら体制を整えた。

「もう一度お尋ねします。なにも話す気は無いんですね?」

 そう問いかけたが、目線はこちらへ向けたまま腕の断面に治癒魔術を掛けている。

 また無視ですか。
 それとも、言語が違くてなに言っているか分からないとかか?
 まあ、どうでもいい。

 俺の表情が、狂気に彩られていくのがわかった。

 人族語を勉強しなかった、この男が悪い。
 加害者はコイツ、被害者は俺だ。
 なら、正当防衛で殺してもいいよね?
 
「──シィッ!!」

 俺は両手で握り直したバスターソードを、体ごと回転をさせて横薙ぎに振る。
 応急処置を終えた魔人族は、難なくバックステップで回避した。

 切っ先を地面にめり込ませて、遠心力を強制的に止め、男に向かって走り出す。
 俺が距離を詰めるタイミングに合わせ、男は腕に力を込めると拳を打ち出した。
 
 体を傾けて拳の軌道から逸れ、横を抜けると同時に脇腹を斬り裂く。

「ッ······!!」

 くそ、浅かった。
 それにしてもコイツ、魔術だけじゃなく接近戦もできるようだ。
 早めに片腕を奪っておいて良かった。
 
 男はふと、こちらから視線を外し、別のところに向けた。

 どこ見てやがる。
 戦いの最中に目を離すとは。
 もう諦めたのか、はたまた俺が舐められてるのか。
 とりあえず、牽制されないように横目で同じ方向を見る。

「クルルさん───!!」

 数名の教師を連れてきたマレの姿がそこにはあった。
 そして、魔人族の男はニヤリと笑みを浮かべ、手をそちらへ向けた。

 まずいっ! 無詠唱か!?

 気がついた時には、魔術が放たれていた。
 巨大な炎がマレと教師達の元へ飛んでゆく。
 突然のことに誰も対応できずにいた。

 その光景をスローモーションに動く視界で眺めるしかない。
 魔術を放っても届かない。なにをしても、もう遅い。

 その時だった。
 マレたちの後ろから『水槍』と『氷槍』に加え、様々な水魔術が飛んでくる。
 それを飛ばしたのは、こちらへ走ってくるプッカとパール、それにクラスメイトだった。

 炎は音を立てて徐々に消化されていくが、それでもまだ勢いは留まらない。

「よいしょぉおー!!」

 マレと炎の間に割り込んだ、愛用の盾を持ったラスマが炎を防ぎ上に弾く。
 男はその光景に目を見開く。

 みんなが来てくれて本当に良かった。
 もしも来ていなければ······考えたくもない。

「な、何者だ!」
「おい、アイツ魔人族じゃないか!?」
「どこから侵入した!」

 我に返った教師達は問いかける。
 だが、またもや魔人族の男は答えない。

 そして再度、魔術を放つため魔力を高めているのを感じ取った。
 ノーモーションで放とうとしているのがバレバレだ。

 撃たせるわけないだろ!

 地面を踏みしめる足へと力を込めて走り出す。
 男に接近し、色欲の霧を長さの違う双剣に変える。

 俺が動き出したのを感じ、男は近距離からいくつもの『風弾』を飛ばしてくるが、全て魔核を破壊して相殺する。
 恐怖から来る焦燥感に、顔を歪めているのがハッキリとわかった。

 追加で飛んでくる『風弾』を左手に持つショートソードで相殺。
 体を回転させながら右手のロングソードで残る右腕を斬り飛ばす。

 両腕を無くした魔人族の男は、もう魔術が撃てない。
 それは、俺が体験したことがあるから知っている。
 
 準備は整った。
 やるなら完膚なきまでに、だ。

 右手に『火弾』を、左手に魔力で作り上げた水素と酸素を合成したものを同時に放出する。

 発生するのは水素爆発だ。
 男の足元に着弾し、予想通り大爆発が起きる。
 空中に身を投げ出されるが、無事と見える。

 なるほど、こいつは頑丈だ。
 水素爆発によって発生した水を、風魔術でかき集めて形を作り出す。

「『叢雨ムラサメ』!」

 真下から真上にいる魔人族の男に向かって、水で生成された大剣が上半身に突き刺さる。
 晴れているにも関わらず、シトシトと赤い雨が降り注いだ。

「あの······魔人族に······勝った···?」
「ほ、本当に死んだのか?」

 未だ信じられないといった様子の教師達。
 『叢雨』を解き、魔人族の男を地面に降ろす。

 髪を掴み上げ、首をはね飛ばす。
 体と離れ離れはなればなれになった頭を、いつの間にか集まっていた別の生徒や教師達に見せるように掲げる。

 その瞬間、爆発したかのように歓声の声が上がった。

『すげぇ! 魔人族を倒しちまいやがった!』
『いつの間こんな事になってたの!?』
『いいぞー! 魔人族なんて根絶やしにしてやれー!』 

 こんなにも魔人族とは、人族から忌み嫌われているのか。
 死んだ魔人族に罵倒が浴びせられ続けているが、どうしたものか。
 まあ、あとは好きにしてくれ。

 頭を放り投げ、その場を後にする。
 未だ鳴り止まぬ歓声の中、A組の集まっている場所に行き、功労者のラスマに治癒魔術を掛ける。

「にしても、お前が誰かと戦ってるってキーナから聞いて、すっ飛んできたら魔人族なんだもんよ! 無茶は程々にしろよ!」
「それはこちらのセリフですよ、まったく······はい、これで大丈夫です」
「さんきゅ!」

 ラスマを立ち上がらせると、マレが走って近付いてくる。

「け、怪我はありませんか? どこか痛いところは!?」
「いえ大丈夫ですよ。それよりマレは大丈夫ですか?」
「あ、はい、私は大丈夫です。それより本当に大丈夫なんですね?」
「大丈夫ですって。怪我しても自分で治せますよ」

 心配してくれるのはありがたいんだが、心配性が過ぎると思う。

 マレは俺に怪我が無いと分かると安堵の溜め息を吐いた。
 そのままプッカ、パール、ラスマの方に向き直り、

「助けて頂いてありがとうございました!」
「気にすんなよ! あんまり意味なかったしな!」
「そうだね、もっと魔力を込めればよかったよ」
「って事だ! 俺の盾のおかげだな!」

 それにしてもなんだったんだ?
 魔人族に恨まれることはしていない······と思う。

 要領を得ないまま、初めての魔人族との戦いに幕が降りた。
 

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