上 下
6 / 11

滋賀県には少々文句を言いたい

しおりを挟む
近江国というのは現代いまでいうところの滋賀県のことだ。

そうそう、滋賀県といえば俺は少々文句を言いたいことがあるんだ。

滋賀県は近頃、やたらと石田三成いしだみつなりとかいう武将をプッシュして、県の宣伝に利用しているんだな。
「配下にするなら石田三成~♪」とかな。

三成って何者だと思ってググってみたら、どうということもない人物だ。
俺よりずっと後の時代の武将なんだが、あいつは単なる無能な社畜じゃねえか。

筆者の冨井が滋賀県の職員と話す機会があったので、俺は冨井の口を借りて言ってやったんだ。

「滋賀県も三成なんてしょぼい武将じゃなく、滋賀県を救った英雄ヒーロー・俵藤太をもっとプッシュすべきじゃないか」

・・ってな。

そうしたらなんとこの県の職員、驚いたことにこう言いやがった。

「たわらのとうた?はて、誰ですかそれ」

滋賀県民というのはそこまで恩知らずなのかね?

お前らの中にももし、滋賀県民が居るのなら耳の穴かっぽじってよく聞けよ。
滋賀県民のお前らが現代いま安穏あんのんとして平和に暮らせるのはこの俺のおかげなんだよ。

俺があのとき、わざわざ近江国に出張でばって、あの大ムカデを退治してやらなかったらどうなっていたと思う?

鬼の頭一匹ですら、泥酔させなきゃ殺せなかった源頼光や、へっぽこ占い師の安倍晴明なんぞの手に負える相手じゃないぞ。
ましてや無能な社畜の石田三成ごときじゃ手も足も出んわ。

俺がやってなきゃ今頃の滋賀県では

「ただいまムカデ警報が発令されました。皆様、外出はお控えください」

てな感じでな、お前らガタガタ怯えて暮らさなきゃいけなかったところだぜ。


文句ついでにもうひとつ言わせてもらおう。

滋賀県の三井寺に『弁慶の引きずり鐘』ってのがある。

おいおい、言っておくがな。
あの鐘を三井寺に奉納したのはこの俺だぞ!
なんで弁慶なんぞの名前が付いてるんだよ!

弁慶っていったら、向う脛に扇子ぶつけられたくらいで泣きをいれた弱虫だろ?

あの馬鹿、山門と喧嘩した腹いせに俺が奉納した鐘を盗みやがってな、比叡山まで馬鹿力で引きずっていきやがった。
それでその鐘をいたら「居のう、居のう(帰ろう、帰ろう)」と響いたのにビックリして、乱暴にも谷底に投げ捨てやがったんだ。
おかげで鐘は傷だらけだよ。
俺が存命中だったら弁慶なんぞは叩き斬ってやったところだ。

だからお前らはこれからは三井寺の鐘のことを間違っても弁慶の名で呼ぶんじゃないぞ。
あれは『俵藤太の鐘』と正しく呼ぶんだ。

特に滋賀県民のお前らは是非とも、県や寺に抗議してやってくれ。
頼むぞ。

あれ、文句が長くなりすぎたかな。
悪かった、物語のつづきは次の回でな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

織田信長に育てられた、斎藤道三の子~斎藤新五利治~

黒坂 わかな
歴史・時代
信長に臣従した佐藤家の姫・紅茂と、斎藤道三の血を引く新五。 新五は美濃斎藤家を継ぐことになるが、信長の勘気に触れ、二人は窮地に立たされる。やがて明らかになる本能寺の意外な黒幕、二人の行く末はいかに。 信長の美濃攻略から本能寺の変の後までを、紅茂と新五双方の語り口で描いた、戦国の物語。

戦国を駆ける軍師・山本勘助の嫡男、山本雪之丞

沙羅双樹
歴史・時代
川中島の合戦で亡くなった軍師、山本勘助に嫡男がいた。その男は、山本雪之丞と言い、頭が良く、姿かたちも美しい若者であった。その日、信玄の館を訪れた雪之丞は、上洛の手段を考えている信玄に、「第二啄木鳥の戦法」を提案したのだった……。 この小説はカクヨムに連載中の「武田信玄上洛記」を大幅に加筆訂正したものです。より読みやすく面白く書き直しました。

真田幸村の女たち

沙羅双樹
歴史・時代
六文銭、十勇士、日本一のつわもの……そうした言葉で有名な真田幸村ですが、幸村には正室の竹林院を始め、側室や娘など、何人もの女性がいて、いつも幸村を陰ながら支えていました。この話では、そうした女性たちにスポットを当てて、語っていきたいと思います。 なお、このお話はカクヨムで連載している「大坂燃ゆ~幸村を支えし女たち~」を大幅に加筆訂正して、読みやすくしたものです。

化け猫亭~化け猫の手、お貸しします~

岡本梨紅
歴史・時代
人は忙しくて手が回らないとき、思わず『猫の手も借りたい』という。そんな猫の手を提供しているのは、人間の姿をした化け猫お蘭。彼女は同じく化け猫族の猫又たちと、『化け猫亭』を経営。今日も店には、猫又たちの手を借りに、お客がやってくる。

武田信玄の奇策・東北蝦夷地侵攻作戦ついに発動す!

沙羅双樹
歴史・時代
歴史的には、武田信玄は上洛途中で亡くなったとされていますが、もしも、信玄が健康そのもので、そして、上洛の前に、まずは東北と蝦夷地攻略を考えたら日本の歴史はどうなっていたでしょうか。この小説は、そんな「夢の信玄東北蝦夷地侵攻大作戦」です。 カクヨムで連載中の小説を加筆訂正してお届けします。

最終兵器陛下

城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
黒く漂う大海原・・・ 世界大戦中の近現代 戦いに次ぐ戦い 赤い血しぶきに 助けを求める悲鳴 一人の大統領の死をきっかけに 今、この戦いは始まらない・・・ 追記追伸 85/01/13,21:30付で解説と銘打った蛇足を追加。特に本文部分に支障の無い方は読まなくても構いません。

遅れてきた戦国武将 ~独眼竜 伊達政宗 天下を統一す~

bekichi
歴史・時代
霧深い夜に伊達家の屋敷で未来の大名、伊達政宗が生まれた。彼の誕生は家臣たちに歓喜と希望をもたらし、彼には多くの期待と責任が託された。政宗は風格と知恵に恵まれていたが、幼少期に天然痘により右目の視力を失う。この挫折は、彼が夢の中で龍に「龍眼」と囁かれた不安な夢に魘された夜に更なる意味を持つ。目覚めた後、政宗は失われた視力が実は特別な力、「龍眼」の始まりであることを理解し始める。この力で、彼は普通の人には見えないものを見ることができ、人々の真の感情や運命を見通すことができるようになった。虎哉宗乙の下で厳しい教育を受けながら、政宗はこの新たな力を使いこなし、自分の運命を掌握する道を見つけ出そうと決意する。しかし、その道は危険と陰謀に満ちており、政宗は自分と国の運命を変える壮大な物語の中心に立つことになる。

腐れ外道の城

詠野ごりら
歴史・時代
戦国時代初期、険しい山脈に囲まれた国。樋野(ひの)でも狭い土地をめぐって争いがはじまっていた。 黒田三郎兵衛は反乱者、井藤十兵衛の鎮圧に向かっていた。

処理中です...