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達人の教え 絶対に負けない方法 1
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「さて、まず最初に・・・あなたの腕前ですと出来るだけ戦わない方がよろしい。試合などもってのほか」
ふたたびカッサバ師とテーブルをはさんでの会話です。
「そういう意味では、あなたの先生のおっしゃることは正しいです」
「はあ、やはり・・・」
率直に言われてしまってます。。。
「かといって、今さらあなたに技術的なことを教えても、たいして強くなるわけじゃありません。直すんなら一から十まで直さなきゃいけませんから。しかしそれはあなたの流派を否定することになるから出来ません」
・・・いや・・・別に固執するほど立派な流派じゃないんですけど。。
「だから私は今からあなたに、絶対に負けない方法をお教えします。まず質問します。勝ちとはなんですか?そして負けとは?」
「・・・・?・・・質問の意味が良く分かりませんが。。」
「ははは。。。それが答えです。勝ち負けの定義がはっきりしなければ、勝つ方法、負けない方法も理解出来っこないんじゃないですか?」
「試合と言うのはスポーツです。ゲーム性のあるものでしょ?勝ち負けを判断する基準がありますよね。しかも審判が存在する。つまり他人が勝ち負けを決定するんですよ。しかしどんなに強い人でも、永久にゲームに勝ち続けることはできません。いつかは負けます」
・・・・それは確かにそうでしょう。
「しかしですね、おおよそ人生における大半の出来事には、明確な勝ち負けの基準なんか無いんです。たとえば私は、技術者として成功しました。お金をたくさん儲けましたよ。私は勝利者だったでしょうか?今の私は出家僧です。財産は何も所有していません。私は今、敗者でしょうか?金がすべてと言う人の基準であれば、今の私は敗者でしょうが、私の基準では私はお金儲けしたころの自分に勝っています」
はあ。。言っていることは大変良い話なのでしょうが、そんな訓話を聞かされても今の私には何の問題解決にもなりません。
「あ、今あなた・・・私が抹香臭いお説教を始めたと思っているでしょう?」
・・・うわ。。さすが坊さんだ。心が読めるのか??
「しかしこれはひとつ目の重要なポイントなんです。つまり絶対試合ではやらないこと。他人に勝ち負けを判定させるなんて、愚の骨頂です。例えばあなたがある男と戦わなければならない場合、試合形式にすることは絶対避ける事。そうすれば殺されない限り絶対負けません。結果に関係なく、あなたは自分の勝ちだと高らかに宣言すれば良いだけです」
「・・・はあ・・・つまり、ボコボコにされても負けを認めなければ良いと」
カッサバ師はニッコリ笑ってうなづきます。
「まあ、もっともボコボコにされて勝ち名乗りを上げるのは、最後の手段ですけどね。どうしても他の手段が通用しなかった場合の最後の選択です」
「と、いうことは・・・他の手もあるんですね」
「2番目のポイントは自分の土俵に相手を乗せることです。さっきの話と重なりますけど、試合でチャンピオンになるような人と、試合するのは相手の土俵に乗ることです。これは避けなければならない。ああ、さきほどあなたの突きと蹴り・・・どうして私に当たらなかったか分かりますか?」
「・・・いえ・・・多分、間合いの見切りを極めておられるからだと思います」
カッサバ師は高笑いをします。
「いやいや。私はそんな名人・達人の類ではありません。あなたの技が当たらなかったのは、あなたが私の土俵の上で戦ったからです」
「・・・・と、いいますと?」
・・・さっぱり分からない。。
「足元を見てご覧なさい。ここの床にはタイルが張ってありますよね」
・・・それは気づいていましたが。。
「私はあなたをここに招き入れたときから、あなたの歩幅をこのタイルの目で測っていました。あなたの一歩はタイルちょうど4枚分です。これは私がここにタイルが張ってあることを、最初から知っていたから出来ることです。つまりここは私の土俵内なのです」
・・・あああ。。。そうだったのか!
「構えた状態から足を踏み出して突く場合・・・・実はこのときの前進する距離は、通常の歩行の距離とほとんど同じなのです」
・・・知らなかった。。
「次にあなたの突きの届く距離。私は目算で割り出していましたが、それには完全な自信を持っていなかった。でもあなたは最初に、私が老人だから手加減して打って来たでしょう?それで正確に測れました。あなたの突きのとどく限界距離はつま先からタイル3つ分です」
・・・・まいった。。。最初の突きは本気で出せないであろうことも、作戦の内だったのか。。
「ですから私はあなたのつま先から、タイル8つ目の位置に立っていれば、あなたの踏み込んでの突きをかわす必要もないんですよ・・・ははは。。タネを明かせば馬鹿馬鹿しいでしょう?」
「・・・いえ。。とんでもないです。そんな戦略を持って戦っているなんて・・・あなたはやはり達人です。しかし、蹴りはどうして当たらなかったのですか?蹴りは初めて出したのに当たらなかった」
「蹴りはもっと簡単です。一般に蹴りというのは遠くに届くと思いがちですが、蹴りの届く距離は軸足から最大歩幅2歩分にはちょっと届かないんです。」
「と、言うことは・・やはりタイル8枚の距離をキープしていれば当たらない!」
「そうそう。しかもギリギリで当たらないもんだから、あなたも驚かれたでしょう?」
・・・おそろしい人です。こんな人がスリランカに居るなんて。
考えてみれば、空手という武術が海外に進出してから、すでに半世紀以上にもなります。
それならば海外にカッサバ師のような達人レベルの人が存在しても、何の不思議もないのです。
「つぎに3つ目のポイントです・・・」
ふたたびカッサバ師とテーブルをはさんでの会話です。
「そういう意味では、あなたの先生のおっしゃることは正しいです」
「はあ、やはり・・・」
率直に言われてしまってます。。。
「かといって、今さらあなたに技術的なことを教えても、たいして強くなるわけじゃありません。直すんなら一から十まで直さなきゃいけませんから。しかしそれはあなたの流派を否定することになるから出来ません」
・・・いや・・・別に固執するほど立派な流派じゃないんですけど。。
「だから私は今からあなたに、絶対に負けない方法をお教えします。まず質問します。勝ちとはなんですか?そして負けとは?」
「・・・・?・・・質問の意味が良く分かりませんが。。」
「ははは。。。それが答えです。勝ち負けの定義がはっきりしなければ、勝つ方法、負けない方法も理解出来っこないんじゃないですか?」
「試合と言うのはスポーツです。ゲーム性のあるものでしょ?勝ち負けを判断する基準がありますよね。しかも審判が存在する。つまり他人が勝ち負けを決定するんですよ。しかしどんなに強い人でも、永久にゲームに勝ち続けることはできません。いつかは負けます」
・・・・それは確かにそうでしょう。
「しかしですね、おおよそ人生における大半の出来事には、明確な勝ち負けの基準なんか無いんです。たとえば私は、技術者として成功しました。お金をたくさん儲けましたよ。私は勝利者だったでしょうか?今の私は出家僧です。財産は何も所有していません。私は今、敗者でしょうか?金がすべてと言う人の基準であれば、今の私は敗者でしょうが、私の基準では私はお金儲けしたころの自分に勝っています」
はあ。。言っていることは大変良い話なのでしょうが、そんな訓話を聞かされても今の私には何の問題解決にもなりません。
「あ、今あなた・・・私が抹香臭いお説教を始めたと思っているでしょう?」
・・・うわ。。さすが坊さんだ。心が読めるのか??
「しかしこれはひとつ目の重要なポイントなんです。つまり絶対試合ではやらないこと。他人に勝ち負けを判定させるなんて、愚の骨頂です。例えばあなたがある男と戦わなければならない場合、試合形式にすることは絶対避ける事。そうすれば殺されない限り絶対負けません。結果に関係なく、あなたは自分の勝ちだと高らかに宣言すれば良いだけです」
「・・・はあ・・・つまり、ボコボコにされても負けを認めなければ良いと」
カッサバ師はニッコリ笑ってうなづきます。
「まあ、もっともボコボコにされて勝ち名乗りを上げるのは、最後の手段ですけどね。どうしても他の手段が通用しなかった場合の最後の選択です」
「と、いうことは・・・他の手もあるんですね」
「2番目のポイントは自分の土俵に相手を乗せることです。さっきの話と重なりますけど、試合でチャンピオンになるような人と、試合するのは相手の土俵に乗ることです。これは避けなければならない。ああ、さきほどあなたの突きと蹴り・・・どうして私に当たらなかったか分かりますか?」
「・・・いえ・・・多分、間合いの見切りを極めておられるからだと思います」
カッサバ師は高笑いをします。
「いやいや。私はそんな名人・達人の類ではありません。あなたの技が当たらなかったのは、あなたが私の土俵の上で戦ったからです」
「・・・・と、いいますと?」
・・・さっぱり分からない。。
「足元を見てご覧なさい。ここの床にはタイルが張ってありますよね」
・・・それは気づいていましたが。。
「私はあなたをここに招き入れたときから、あなたの歩幅をこのタイルの目で測っていました。あなたの一歩はタイルちょうど4枚分です。これは私がここにタイルが張ってあることを、最初から知っていたから出来ることです。つまりここは私の土俵内なのです」
・・・あああ。。。そうだったのか!
「構えた状態から足を踏み出して突く場合・・・・実はこのときの前進する距離は、通常の歩行の距離とほとんど同じなのです」
・・・知らなかった。。
「次にあなたの突きの届く距離。私は目算で割り出していましたが、それには完全な自信を持っていなかった。でもあなたは最初に、私が老人だから手加減して打って来たでしょう?それで正確に測れました。あなたの突きのとどく限界距離はつま先からタイル3つ分です」
・・・・まいった。。。最初の突きは本気で出せないであろうことも、作戦の内だったのか。。
「ですから私はあなたのつま先から、タイル8つ目の位置に立っていれば、あなたの踏み込んでの突きをかわす必要もないんですよ・・・ははは。。タネを明かせば馬鹿馬鹿しいでしょう?」
「・・・いえ。。とんでもないです。そんな戦略を持って戦っているなんて・・・あなたはやはり達人です。しかし、蹴りはどうして当たらなかったのですか?蹴りは初めて出したのに当たらなかった」
「蹴りはもっと簡単です。一般に蹴りというのは遠くに届くと思いがちですが、蹴りの届く距離は軸足から最大歩幅2歩分にはちょっと届かないんです。」
「と、言うことは・・やはりタイル8枚の距離をキープしていれば当たらない!」
「そうそう。しかもギリギリで当たらないもんだから、あなたも驚かれたでしょう?」
・・・おそろしい人です。こんな人がスリランカに居るなんて。
考えてみれば、空手という武術が海外に進出してから、すでに半世紀以上にもなります。
それならば海外にカッサバ師のような達人レベルの人が存在しても、何の不思議もないのです。
「つぎに3つ目のポイントです・・・」
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