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コロンボ・カトゥナヤカ空港 1

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バンコク空港から、スリランカ=コロンボ行きの機内には日本人は私の他に誰も見えませんでした。

私は飛行機に乗るのはこれで2度目ですが、日本~バンコクの時とはかなり雰囲気が違う。
機内に居るのは大半が色の黒いアーリア人種。おそらくスリランカ人でしょう。
まばらに白人とタイ人らしい人たち。

考えてみればいままでは外国に居るといっても、私は常に水口君や中田さんといった日本人と行動を共にしていたわけですから、さほど緊張はしていませんでした。

しかし、ここからは日本人の居ない世界です。
機内アナウンスも英語とタイ語のみ。日本人への特別のサービスなどなにもありません。
緊張と共に身が引き締まる思いでした。

・・・いよいよ本当の旅が始まる・・・・

とは言っても、このときはまだスリランカに行けばデワがいる・・・という安心感もありました。
彼は日本語が話せますので、向こうでもそれほど困ることは無いでしょう。

猛スピードで飛行機が離陸します。
やがて高度を保ち、シートベルトのサインが消えます。
私はバンコクで買ったガイドブックを広げます。

・・・スリランカでの注意事項・・・生水は絶対に飲むな・・・飲み物に入っている氷にも注意。
・・・ふーむ。。やはり水道事情は良くないようだ。注意しよう・・・。

やがてドリンクサービスにつづいて機内食。日本を出たときと同じです。
食事を終えた私は、睡眠をとることにしました。
寝ているうちにスリランカに着くことでしょう。。。

さて退屈な機内も寝ているとあっという間です。
私はスチュワーデスに起こされました。もうコロンボ・カトゥナヤカ空港に着陸態勢です。
大きく旋回する飛行機の窓一杯にジャングルが見えます。

・・・・大きなジャングルだなあ・・・

飛行機は高度を下げます・・・ジャングルは良く見るとヤシの木と、多分あれはバナナの木です!
・・・・なんて雄大な国なんだろう。島国だと思っていたけど大陸のようだ。。

空港はバンコク空港に比べるとやはり貧相な感じがします。
飛行機を降りた私は入国審査に向かいます。
何か聞かれたらどうしよう・・・と緊張しつつ、係員にパスポートを渡しますがバンコク同様、特に質問などは無く、ハンコをベタベタ押してくれます。
私は今回、3ヶ月滞在できるビザを日本で取得しておりますので、そのせいもあるかもしれません。

つづいて税関です。
ここはバンコクのように素通りとはいかないようです。
税関員は私のバックパックを台の上に置いて開ける様に命じます。
バックを開けると、中の荷物をひとつづつ取り出してチェックします。
やはり、内戦・テロの頻発する国なので、警戒は厳重なようです。

着替えのTシャツ、下着、タオルや歯磨き、医薬品など。小さなポーチ類も開けて調べます。
最後にバックパックの底に入れてあった空手の道着を引っ張り出すと、税関員が声を上げます。

「オー!アー・ユー・カラテマスター?」

「イエス・アイ・アム」

面倒くさいので、そう答えておきます。
するとその税関員はまわりの仲間になにか声を掛けます。
税関員たちが数名、ぞろぞろと集まってくる・・・なにかこれはマズかったのか!?

しかし税関員たちは一様にニコニコとスマイルを浮かべております。
これは多分、友好的な雰囲気だ。

「ユー!ブラックベルト?OH・・グレイト」

「ウェルカム・トゥ・スリランカ!」

握手までされました。
なにか、えらいこと歓迎されているようです。

これで実になごやかに税関審査は終了しました。
私は空手家がこれほどまでに尊敬されているという事実に、先人達の足跡を見ました。
それと同時に、この国でうかつなことをやれば、彼らの足跡に泥を塗ることになる。
そう言った中川先生の言葉を思い出しました。

税関を抜けるとそこはあまり広くない空港ロビーです。

「ハロー・ウェルカム!アー・ユー・ジャパニー?」

白くて長いヒゲを蓄えた、なにかインチキ臭い魔術使いのインド人のような男がいきなり近づいてきます。
・・・・なんだ、こいつは?・・・

「ジャパニー!エクスチェンジ・マニー!エクスチェンジ!カム」

ついて来いというように手招きします。
その強引な迫力に気おされて、私はその男のあとを追います。
が、別に闇両替を勧めるわけではなく、空港の正規の両替所に案内されました。

「エクスチェンジ・ヒアー!」

「あ、ああ。サンキュー」

男の勧めるままに、当座の旅費を両替します。一万円両替すると分厚い札束になる。。

「ネクスト!カム」

男はさらに私を誘導します・・・・強引だなあ・・今度はどこへ連れて行く?  
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