38 / 44
第二章:バチャタン奪還戦
謎ばかり増えてしまった
しおりを挟む
「アマラとカマラ、どうして俺たちを助けた?」
俺が問いかけると、アマラが応えた。
「あなたたちが新王都の役人や兵士と戦うのを見ました。あなたたちはバチャタン解放のためにやって来た戦士なんでしょう?」
「その通りだ。俺は戦士マーカスだ」
「僕は戦士ミエル」
「私はライカ。科学者よ」
俺たちはそれぞれ自己紹介した。
「よかった。私たちは、あなたたちのような戦士が来るのを待っていました」
「しかしここの市民たちは口が堅い。状況がよくわからないんだ。説明してくれるか?」
今度はカマラが口を開いた。
「はい。私とアマラはもともとこの都市の住人ではありません。幼いころ狼に育てられた私たちはジャングルで捕まってから、サーカスの見世物として各地を周っていました。3年ほど前に私たちはサーカスを逃げ出して、この街にたどり着き地下に隠れ住むようになったのです」
ここでアマラが話を引き継ぐ。この調子でアマラとカマラは交代で喋った。
「この街は豊かなので、表立ってではありませんが仕事も貰えます。私たちは脚の速さを買われて、メッセンジャーの仕事をして食べて行けました」
「おかげで私とアマラはやっと安住の地を手に入れたと喜んでいたのです」
「ところが一週間ほど前に、あの新王都軍がやってきて、兵士の大群と恐ろしいモンスターたちがこの街を制圧しました」
「王国に任命されている領主は公開処刑され、バチャタンの役人や兵士たちは今も牢獄に収容されています」
「市民たちは厳重な緘口令(かんこうれい)を布かれています。密告者には賞金が出ますので、恐ろしい相互監視社会になりました」
「ここに居る子供たちは、元役人たちの子供です。両親が牢獄に捕らえられているので、私たちがここでかくまっているのです」
「どうかぜひ、この子たちの親を助け出し、バチャタンを新王都から取り返してください」
途中から、どっちがアマラでどっちがカマラか分からなくなってきたが、とにかく彼女たちの話はわかった。
「2つほど質問がある。まず、マシウス新王というのは何者なんだ?」
「それは私たちにもわかりません。でも領主の公開処刑のときには姿を見せました。新王は大きなドラゴンに跨っていました」
「ドラゴンライダーか!?噂には聞いていたが、本当にそんな奴が居るんだな」
ミエルがそう言った。
「もうひとつの質問はお前たちについてだ。お前たち狼に育てられたにしては、話し方に教養が感じられる。どうしてだ?」
アマラとカマラはお互いに顔を見合わせ、そして頷いた。
「バチャタンで私たちを匿って仕事を与えてくれた博士が、読み書きを教えてくれたのです。その博士も新王都に捕らえられています」
「マシウス新王は博士の研究に興味があるようなのです」
まだマシウスの素性はよくわからないが、だいたいの状況はわかった。
「なるほど。その博士の名はなんというんだ?」
するとアマラとカマラはまた同時に応えた。
「「ビクター・フランケンシュタイン博士です」」
・・・フランケンシュタインだって!?
まさか??俺は鞄から魔法の鏡を取り出しググルの呪文を唱えた。
検索窓に「フランケンシュタイン」と打ち込み検索する。
「『フランケンシュタイン』(Frankenstein)は、イギリスの小説家、メアリー・シェリーが1818年3月11日に匿名で出版したゴシック小説」
※出典:Wikipedia
メアリー・シェリー!!
転生前の世界ではメアリーは小説『フランケンシュタイン』の原作者だったんだ。
なんで今まで気が付かなかったんだろう。俺は自分の無知を恥じた。
そしてビクターとはこの世界ではメアリーの生後すぐに亡くなった息子の名だ。
彼女が造り上げた人造人間の名もビクターだった。
しかし、この街に居るビクター・フランケンシュタインは彼ではないだろう。
では、ビクター・フランケンシュタインとは何者なんだ?
結局、謎ばかり増えてしまった。
俺が問いかけると、アマラが応えた。
「あなたたちが新王都の役人や兵士と戦うのを見ました。あなたたちはバチャタン解放のためにやって来た戦士なんでしょう?」
「その通りだ。俺は戦士マーカスだ」
「僕は戦士ミエル」
「私はライカ。科学者よ」
俺たちはそれぞれ自己紹介した。
「よかった。私たちは、あなたたちのような戦士が来るのを待っていました」
「しかしここの市民たちは口が堅い。状況がよくわからないんだ。説明してくれるか?」
今度はカマラが口を開いた。
「はい。私とアマラはもともとこの都市の住人ではありません。幼いころ狼に育てられた私たちはジャングルで捕まってから、サーカスの見世物として各地を周っていました。3年ほど前に私たちはサーカスを逃げ出して、この街にたどり着き地下に隠れ住むようになったのです」
ここでアマラが話を引き継ぐ。この調子でアマラとカマラは交代で喋った。
「この街は豊かなので、表立ってではありませんが仕事も貰えます。私たちは脚の速さを買われて、メッセンジャーの仕事をして食べて行けました」
「おかげで私とアマラはやっと安住の地を手に入れたと喜んでいたのです」
「ところが一週間ほど前に、あの新王都軍がやってきて、兵士の大群と恐ろしいモンスターたちがこの街を制圧しました」
「王国に任命されている領主は公開処刑され、バチャタンの役人や兵士たちは今も牢獄に収容されています」
「市民たちは厳重な緘口令(かんこうれい)を布かれています。密告者には賞金が出ますので、恐ろしい相互監視社会になりました」
「ここに居る子供たちは、元役人たちの子供です。両親が牢獄に捕らえられているので、私たちがここでかくまっているのです」
「どうかぜひ、この子たちの親を助け出し、バチャタンを新王都から取り返してください」
途中から、どっちがアマラでどっちがカマラか分からなくなってきたが、とにかく彼女たちの話はわかった。
「2つほど質問がある。まず、マシウス新王というのは何者なんだ?」
「それは私たちにもわかりません。でも領主の公開処刑のときには姿を見せました。新王は大きなドラゴンに跨っていました」
「ドラゴンライダーか!?噂には聞いていたが、本当にそんな奴が居るんだな」
ミエルがそう言った。
「もうひとつの質問はお前たちについてだ。お前たち狼に育てられたにしては、話し方に教養が感じられる。どうしてだ?」
アマラとカマラはお互いに顔を見合わせ、そして頷いた。
「バチャタンで私たちを匿って仕事を与えてくれた博士が、読み書きを教えてくれたのです。その博士も新王都に捕らえられています」
「マシウス新王は博士の研究に興味があるようなのです」
まだマシウスの素性はよくわからないが、だいたいの状況はわかった。
「なるほど。その博士の名はなんというんだ?」
するとアマラとカマラはまた同時に応えた。
「「ビクター・フランケンシュタイン博士です」」
・・・フランケンシュタインだって!?
まさか??俺は鞄から魔法の鏡を取り出しググルの呪文を唱えた。
検索窓に「フランケンシュタイン」と打ち込み検索する。
「『フランケンシュタイン』(Frankenstein)は、イギリスの小説家、メアリー・シェリーが1818年3月11日に匿名で出版したゴシック小説」
※出典:Wikipedia
メアリー・シェリー!!
転生前の世界ではメアリーは小説『フランケンシュタイン』の原作者だったんだ。
なんで今まで気が付かなかったんだろう。俺は自分の無知を恥じた。
そしてビクターとはこの世界ではメアリーの生後すぐに亡くなった息子の名だ。
彼女が造り上げた人造人間の名もビクターだった。
しかし、この街に居るビクター・フランケンシュタインは彼ではないだろう。
では、ビクター・フランケンシュタインとは何者なんだ?
結局、謎ばかり増えてしまった。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う
月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる