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第二章:バチャタン奪還戦

レイナはサディスティックで強かった

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朝食の後、俺とミエルとレイナの3人は高レベル危険種モンスター退治に出かけることにした。
ミンミンが居なくなった今ではモンスターをおびき寄せることができないので、ライカのモンスター探査機で当たりを付けて狩に行くのだ。

そのライカは残って新しい機械の製作に励むらしい。

「あなたたちがまた危険を冒すつもりなら、この簡易蘇生機を早く完成させなきゃダメなのよ。ミンミンちゃんのスタンガンの原理を応用したいのだけど、どうしてもこの小型バッテリーだけは作れない。困ったわ」

というわけで俺は、ツーハンの呪文で9Vアルカリ乾電池を大量に取り寄せてライカに渡した。
ライカはこれをどこで手に入れるのか知りたがったが、説明が面倒なので無視する。

俺たちはライカを残して村を出て数キロの地点にある森に入った。
ライカの探査によると、ここには鬼(オーガ)が数体潜んでいるらしい。

オーガは角のある人間型の鬼で、基本的に魔法は使わない。
しかし戦闘力はかなり高く、剣などの武器を使う者もいる。
森を歩き回ると、早速1体のオーガを発見した。

「まずは僕にやらせてくれ」

ミエルがそういうと、剣を抜いてオーガに近づいた。
オーガはとても好戦的な種族なので逃げる心配はない。

そのオーガも剣を持っている。
ミエルの姿を捕らえたオーガは素早く斬りかかって来た。

しかしそのオーガはミエルの敵ではなかった。
あっさりとミエルに斬撃をかわされて斬り伏せられる。

これまでミエルの戦闘における良い場面をあまり書かなかったが、彼の剣技はこの世界では珍しく洗練されている。
重い甲冑を身に着けず、軽量の防具のためスピードがあり繊細な技も使えるのだ。
戦士としてはかなり頼もしい存在なのである。

「まずは一体。大したことはないな」

ミエルが余裕で言う。

「油断するなよ、次が現れたぞ。今度は3体だ。どうする?」

「私がお相手しますわ」

レイナが応えた。
ではお手並みを拝見することにしよう。

3体のオーガはそれぞれ剣や棍棒を持って迫ってくる。

レイナに斬りかかって来たオーガは、次の瞬間には宙を舞い地面に転がった。
そのオーガの腕をレイナは逆に決めている。
戦士レベルの恐るべき体術の腕前である。レイナは単なる魔法使いではない。

他の2体のオーガに気を配りながら、倒したオーガの腕を捻り上げる。
骨の折れる鈍い音がした。
腕を折った瞬間、レイナは恍惚とした笑みを浮かべた。
この女、かなりサディストのようだ。

その光景にはさすがに好戦的なオーガもやや怯んでいるようだ。

しかしレイナはオーガの攻撃を待たず、逆に襲い掛かっていった。
2体のオーガは慌てて臨戦態勢を取るが間に合わない。

腕を折ったオーガから、いつの間にか奪い取った剣で瞬時に2体のオーガの武器を持った右腕を斬り落としたのだ。

剣技も恐るべき腕だ。

しかもまたうれしそうに笑っている。
腕を斬り落とされて戦意を喪失しているオーガ達を、どういたぶってやろうか・・・そう考えていそうだ。

「レイナ、いい加減にしてトドメを刺せ」

「あら、もうですか?もう少し遊びたかったのに」

モンスターとはいえ傷つけることを躊躇していたミンミンとは、やはり正反対の性格である。
しかし、強い。これから乗り込むバチャタン攻略にはレイナの性格のほうが向いているかもしれない。

「じゃあ燃やしちゃいましょう」

そういうとレイナは蛇炎術で瞬時に3体のオーガを焼却した。

レイナは武術も魔法系も恐ろしく強い。
そして剛胆であり残酷でもある。
けっして敵に回したくないタイプだ。


この戦闘でレイナの腕前を確かめることができたので、俺たちは村に戻ることにした。
ミエルとレイナは酒場に飲みに行くとのことなので、俺はひとりで鍛冶屋に向かう。

俺が注文にしていた武器は完成していた。

固い樫材に金属のパーツを使用して補強したヌンチャク、トンファーはチョーキの物よりやや重いが、頑丈で破壊力も十分そうだ。
サイは鋭く刺殺に向いている。

これで準備は整った。明日はいよいよバチャタンに向けて出発だ。
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