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第一章:転生と旅立ち
ライカは意外に初心(うぶ)だった。
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翌日。バチャタンへの旅には馬車を使うことになった。
俺には馬車を買うほど金に余裕がなかったのだが、歩いて行くと言ったらライカが文句を言うので結局、彼女に買ってもらったのだ。
300万キルトもする馬車をポンと買えるのだから、ライカはかなりの金持ちらしい。
バチャタンへの道のりは馬車で3日ほどだ。
宿泊は途中の村か、さもなくば馬車中泊となる。
平原を進む馬車の御者はミエルが務め、その助手席に俺が座った。
ミンミンとライカの女性二人は車中だが、お互い喋ることなく押し黙っている。
「なあマーカス、頼みがあるんだ」
「なんだ?ミエル」
「もうしばらく行くと小川のある森に出る。そこで僕が口実を付けるからライカと出かけてくれないか?2時間ほど」
「そういうことか。しかしあまり無理強いはするなよ。ミンミンはこのパーティー唯一の魔法使いなんだから、逃げられたら困る」
「僕はマーカスと違って紳士だよ。心配しないで頼むよ」
ミエルの言う通り、間もなく小さな森があった。
森の木陰に馬車を停車させる。
ミエルが大声で言った。
「ここで馬を休ませ水と草を与える。その間にマーカスとライカには斥候(せっこう)を頼みたい」
「斥候ですって?」
ライカが驚いたように言う。
「この先5kmほど先に小さな丘がある。その丘から見下ろせる場所にニットという村があるんだ。できれば今夜の宿をそこで取りたいんだけど、すでに敵に占拠されている可能性もある。だから2人で行って索敵してほしいんだ」
「どうして私とマーカスが斥候に出かけて、ミエルとミンミンがここに残るわけ?」
「モンスター探索機はライカしか使えない。馬の世話は僕しかできないだろ?必然的な割り振りさ」
ライカは不満げな表情である。
「まあ斥候といってもさほど危険はないだろう。その丘に待機して探索機でモンスターの有無を確認しつつ、2時間ほど村の様子を観察しよう」
俺がそう言うと、観念したようにライカはミンミンの方を向いた。
「あなたは何も役立つことはないけど、せめてミエルを手伝って馬の世話をしてね」
「わかりました。おふたりとも、お気をつけて」
どこか寂し気な表情のミンミンがそう言って俺たちを見送った。
━━…━━…━━…━━…━━…━━━━…━━…━━…━━…━━…━━
ニットの村が見下ろせる丘に、俺とライカはうつぶせになっていた。
丘にはふかふかとした草が生えていて、やたらと寝心地が良いのでうっかりすると居眠りしそうである。
ライカはうつぶせのままでモンスター探索機を操作している。
俺はぼんやりと村を見下ろしながら、ミンミンとミエルのことを考えていた。
ふたりを残してこの丘に来てから、そろそろ1時間ほどになる。
ミエルはミンミンを口説き落としたのだろうか?
あの馬車でミエルはミンミンを抱くのだろうか?
ミンミンはあの小さな身体でミエルを受け入れられるのだろうか?
そう考えるとなぜか少し胸が痛む思いがした。
「マーカス、モンスター探索が完了した。村にモンスターは居ないわ」
ライカがこちらを向いて言った。
「そうか。もうしばらく様子を見て、敵の有無を確認したら戻ろう」
「ええ。・・・マーカス、ちょっと話してもいい?」
「なんだ?」
ライカは少し思いつめたような表情だった。
「ミンミンはあなたの彼女だと思ってたんだけど違うの?」
「違うよ。ミンミンは単なる冒険仲間さ」
「そうか。それであなたはミエルに協力してるわけね・・」
「あ、バレてた?」
「見え見えよ。だいたいミエルは女の趣味が悪いわ。マーカスはそんなことないよね」
そう言うとライカは俺をじっと見つめた。
メガネの奥の瞳は黒くとても美しい。
「俺の趣味はメガネをかけた学者の女だよ」
「・・え。。」
ライカは少し顔を赤らめた。
ライカは高慢ではあるが、かわいい女でもある。
俺は索敵中であるにもかかわらず、不覚にも欲情してしまった。
たまらず肩に手を回すとライカは俺に身を寄せてきた。
そのまま抱きしめる。
華奢な体は強く抱くと折れそうなほどである。
唇を重ねるとライカは身を震わせた。
俺の男性の一部分はすでに、着衣の上からでもわかるほど凶悪な形状に変化している。
その固いものがライカの両脚の付け根の一部分に当たると、ライカは身を強張らせた。
高慢な態度をしているが、男性経験は少ないようである。
いやまさかライカもまた処女(ヴァージン)なのか?
本当にこの世界の野郎どもはいったい何をやっているんだろう。
そう思いながら、俺はそのままライカに覆いかぶさった。
・・・・・
こうして激しい時間が過ぎた後、俺たちは裸で抱き合ったまま余韻を味わっていた。
その時である。
ピーピーとけたたましい音がした。
モンスター探索機である。ライカはあわてて探索機を手に取る。
「たいへん!マーカス。モンスターよ。これはキメラだわ」
俺もあわてて飛び起きる。
「どこに居る?」
ライカは顔を引きつらせて言った。
「さっきの森のあたりよ・・・ミエルたちが大変!」
俺には馬車を買うほど金に余裕がなかったのだが、歩いて行くと言ったらライカが文句を言うので結局、彼女に買ってもらったのだ。
300万キルトもする馬車をポンと買えるのだから、ライカはかなりの金持ちらしい。
バチャタンへの道のりは馬車で3日ほどだ。
宿泊は途中の村か、さもなくば馬車中泊となる。
平原を進む馬車の御者はミエルが務め、その助手席に俺が座った。
ミンミンとライカの女性二人は車中だが、お互い喋ることなく押し黙っている。
「なあマーカス、頼みがあるんだ」
「なんだ?ミエル」
「もうしばらく行くと小川のある森に出る。そこで僕が口実を付けるからライカと出かけてくれないか?2時間ほど」
「そういうことか。しかしあまり無理強いはするなよ。ミンミンはこのパーティー唯一の魔法使いなんだから、逃げられたら困る」
「僕はマーカスと違って紳士だよ。心配しないで頼むよ」
ミエルの言う通り、間もなく小さな森があった。
森の木陰に馬車を停車させる。
ミエルが大声で言った。
「ここで馬を休ませ水と草を与える。その間にマーカスとライカには斥候(せっこう)を頼みたい」
「斥候ですって?」
ライカが驚いたように言う。
「この先5kmほど先に小さな丘がある。その丘から見下ろせる場所にニットという村があるんだ。できれば今夜の宿をそこで取りたいんだけど、すでに敵に占拠されている可能性もある。だから2人で行って索敵してほしいんだ」
「どうして私とマーカスが斥候に出かけて、ミエルとミンミンがここに残るわけ?」
「モンスター探索機はライカしか使えない。馬の世話は僕しかできないだろ?必然的な割り振りさ」
ライカは不満げな表情である。
「まあ斥候といってもさほど危険はないだろう。その丘に待機して探索機でモンスターの有無を確認しつつ、2時間ほど村の様子を観察しよう」
俺がそう言うと、観念したようにライカはミンミンの方を向いた。
「あなたは何も役立つことはないけど、せめてミエルを手伝って馬の世話をしてね」
「わかりました。おふたりとも、お気をつけて」
どこか寂し気な表情のミンミンがそう言って俺たちを見送った。
━━…━━…━━…━━…━━…━━━━…━━…━━…━━…━━…━━
ニットの村が見下ろせる丘に、俺とライカはうつぶせになっていた。
丘にはふかふかとした草が生えていて、やたらと寝心地が良いのでうっかりすると居眠りしそうである。
ライカはうつぶせのままでモンスター探索機を操作している。
俺はぼんやりと村を見下ろしながら、ミンミンとミエルのことを考えていた。
ふたりを残してこの丘に来てから、そろそろ1時間ほどになる。
ミエルはミンミンを口説き落としたのだろうか?
あの馬車でミエルはミンミンを抱くのだろうか?
ミンミンはあの小さな身体でミエルを受け入れられるのだろうか?
そう考えるとなぜか少し胸が痛む思いがした。
「マーカス、モンスター探索が完了した。村にモンスターは居ないわ」
ライカがこちらを向いて言った。
「そうか。もうしばらく様子を見て、敵の有無を確認したら戻ろう」
「ええ。・・・マーカス、ちょっと話してもいい?」
「なんだ?」
ライカは少し思いつめたような表情だった。
「ミンミンはあなたの彼女だと思ってたんだけど違うの?」
「違うよ。ミンミンは単なる冒険仲間さ」
「そうか。それであなたはミエルに協力してるわけね・・」
「あ、バレてた?」
「見え見えよ。だいたいミエルは女の趣味が悪いわ。マーカスはそんなことないよね」
そう言うとライカは俺をじっと見つめた。
メガネの奥の瞳は黒くとても美しい。
「俺の趣味はメガネをかけた学者の女だよ」
「・・え。。」
ライカは少し顔を赤らめた。
ライカは高慢ではあるが、かわいい女でもある。
俺は索敵中であるにもかかわらず、不覚にも欲情してしまった。
たまらず肩に手を回すとライカは俺に身を寄せてきた。
そのまま抱きしめる。
華奢な体は強く抱くと折れそうなほどである。
唇を重ねるとライカは身を震わせた。
俺の男性の一部分はすでに、着衣の上からでもわかるほど凶悪な形状に変化している。
その固いものがライカの両脚の付け根の一部分に当たると、ライカは身を強張らせた。
高慢な態度をしているが、男性経験は少ないようである。
いやまさかライカもまた処女(ヴァージン)なのか?
本当にこの世界の野郎どもはいったい何をやっているんだろう。
そう思いながら、俺はそのままライカに覆いかぶさった。
・・・・・
こうして激しい時間が過ぎた後、俺たちは裸で抱き合ったまま余韻を味わっていた。
その時である。
ピーピーとけたたましい音がした。
モンスター探索機である。ライカはあわてて探索機を手に取る。
「たいへん!マーカス。モンスターよ。これはキメラだわ」
俺もあわてて飛び起きる。
「どこに居る?」
ライカは顔を引きつらせて言った。
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